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元記事

テーブルトークのセッション2回目。今回もリプレイ風に書いてみよう。

 ランディ、ユーズル、あるさすの3人の、クレモナでの暮らしも少々長くなってきた。といって、先立つものが寂しい状況ではほかの町に移る気もなえてしまう。先日のレナン村での仕事も、結局目立った報酬といえばダークエルフの砦で手に入れたブレスレットくらいだ。幸い宿屋の主人が、見も知らぬ少年の頼みを引き受けた先日の一件から一行を気に入ったようで、まとまった収入があるまでつけておいてくれるという。その上、懐具合が悪く身動きがとれない一行を見かねてか、ひとつ用事をもちかけてくれた。
 主人の古い友人が、ここから北へ2日ほどのランザスという町で武器屋を営んでいるという。彼に手紙を届けてもらいたいとのことだった。世話になっている身で役に立てるならと、3人は北へ向かった。
 途中すれ違った隊商から気になる話を聞いた。ランザスの町では疫病が出ているという。果たして町の門は固く閉ざされ、門番は3人に町に入らぬよう忠告してくれた。しかしここで引き返すのでは仕事を果たせない。せめて武器屋を訪ねてみようという話になった。
 町の目抜き通りは閑散としている。武器屋の扉をノックしてみると、現れた主人の顔には赤い点が無数に出ていた。これが今ランザスの町で流行している赤点(せきてん)病の症状だ。一行は預かった手紙を渡し、病気は体力があれば見かけほど悪いことにはならないが、老人や子供に命を落とした者もあること、神殿の図書館に治療法があるかもしれないことなどを主人から聞いた。
 神殿の図書館では、病気の治療法について書かれた文献を総出で探している最中だった。3人も文献探しを手伝うことになった。
 文献探しは深夜にまで及んだが、ついに関連の本が見つかった。それによると、今から100年以上前に同じ病気がはやったことがあり、この時はルーシェントというエルフが治療法を確立したという。これで治療に使う薬草の種類はわかったが、調合については書かれていなかった。
 翌朝、ランディは手の甲の赤い点に気づいた。どうやら病気にかかってしまったらしい。しかし、魔物も出る野原に薬草の捜索隊が出ると聞き、ランディは病をおして捜索隊に加わった。一方ユーズルとあるさすは、森へエルフのルーシェントを探しに出ることにした。あるさすはエルフ、ユーズルはハーフエルフである。同じエルフの血が流れていれば、森へ隠れたルーシェントともなにか通じるものがあるだろう。
 薬草を探しに出たランディたちは、果たしてホブゴブリンの襲撃を受けた。少々の傷と引き替えに、彼らは魔物を撃退した。
 あるさすとユーズルも、幸運にもルーシェントに会うことができた。過ちを繰り返す人間たちへの諦念がルーシェントの心を支配していたが、説得の結果、2人は病の治療法を受け取ることができた。
 いくつかの偶然と幸運が重なり、ランザスの町からはふたたび病が駆逐された。また同じ病気が出ても、次こそはすぐに対処できるだろう。3人は次の冒険を求め、クレモナの街へと戻っていった。