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元記事

いろいろの経緯によって、我が家でテーブルトークをすることになった。駅前に集合した他のメンバーを送り迎えする。
 テーブルトークは別名ロールプレイングゲームといい、そのへんにあるコンピュータRPGの始祖となった遊びである。「ゲームマスター」が用意するシナリオにプレイヤーたちが参加する形で行われる。マスターの仕事はいってみればコンピュータRPGのコンピュータの部分で(と書くと、テーブルトークのファンは渋い顔をしそうだが)、プレイヤーのこまごまとした要請に応えなければならない。もちろんコンピュータRPGと違って、プレイヤーの行動はその想像力ひとつで無限の選択肢をもっているため、マスターには世界の全てをうまくマネージメントできる能力と、プレイヤーの突拍子もない行動に対応できる機転が要求される。今回はマスターのL氏以外が全員テーブルトーク初体験ということで、なかなか苦労をかけたようだった。
 セッションの内容を文章に起こしたものは「リプレイ」と呼ばれ、これが小説の形で出版されることもある。今回のセッションをかいつまんでリプレイ風に記してみると…

 「ソードワールド」と呼ばれる世界、オラン国にクレモナという街がある。ここの宿屋で、3人の冒険者が遅い朝食をとっていた。戦士ランディは25歳の正義感あふれる若者、ハーフエルフ族のユーズルは盗賊や吟遊詩人などさまざまな能力を持つ23歳、そしてエルフの「あるさす」は108歳の精霊使いである。そこへ一人の少年が飛び込んできた。リックと名乗るその少年は、クレモナから少し離れたレナン村から来たという。レナン村の司祭でもあるリックの姉が森から戻らず、村長もとりあってくれない。少年が懐から出した金額は冒険者を雇うにはあまりに少なかったが、好奇心が強く美人に弱い3人はリックとともにレナン村に向かうことにした。
 村に着いた3人は村長を訪ねてみたものの、村長の話は今ひとつ要領を得なかった。森の奥からかつて魔物が出たことがあり、そのときは冒険者を雇って村から追い払った、森へは山菜を採りに入ることもあるが決して奥までは行かぬよう言ってある、リックには気の毒だが、リックの姉を探すために山狩りをしてまた行方不明者が出るようなことは村長としては避けねばならない…。はっきりしない部分もあったが、それなりに有効な情報も得られた。どうしてもついていきたいと言うリックを連れ、3人は森へ足を踏み入れた。
 4人が森の奥で見つけたのは、ダークエルフが守る砦だった。激戦の末、数人のダークエルフたちを撃退する。砦の地下室に幽閉されていたリックの姉を救い出した一行は、無事レナン村に戻った。
 リックの姉は、村長に薬草を採ってくるよう頼まれたという。再び村長を訪ねた冒険者たちは、村長から事の真相を聞くことができた。
 ある日一人のダークエルフが村長のもとに現れた。村の司祭が必要だという。村長は、ダークエルフから村を守るためにやむをえず、リックの姉を森の奥にやったのだった。少々後味の悪い結末だったが、リックの姉は無事戻った。彼女は村長を許すという。リックもまた、冒険者たちとの数日間で得るものがあったようだ。3人は次の冒険を求め、クレモナの街へと戻っていった。

てなところである。話すと短いが、不慣れもあって結局このセッションは6時間以上かかってしまった。それでも、マスターとプレイヤーたちの連携で新しい世界を作り出し、その中で「役割を演ずる(ロールプレイング)」楽しみは十分に得ることができたのだった。それから、人を家に呼ぶことになると片づいていいですね。