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鹿野司さん、川島隆太教授の「脳トレ」に疑問

【元記事:トレ」に疑問:d:id:manpukuya:20070202:nou

先日の宇宙作家クラブの集まりで、サイエンスライター鹿野司さんが「脳トレゲーム脳と同じようなもの」というような話をしていて、詳しく話を聞かせてほしいと思っていた。

そして、鹿野さんのブログ「くねくね科学探検日記」に、そのあたりの話が掲載された。

最初に「ゲーム脳」理論のトンデモさを引き合いに出した上で、「もっとまともな装いの研究でも、実際にはへんてこりんなのだ。」と川島隆太教授の研究を採り上げている。

以下は引用ばっかりで申し訳ないけれど、とても面白い話。

前編で書いたような結果を見て、みなさんはどう感じるだろうか。

すばらしい、脳研究は社会にこんなに役に立つのだから、どんどん応用すべきだと思うだろうか。

うーん。実は僕は、そうは思わないんだよなあ。まあ、現状はまだそうひどくはないかもしれないけれど、これを安易に敷衍していくのは、イクナイと思うのだ。

くねくね科学探検日記 - 脳科学のダメな人・その1(中編)

学校で前頭前野をフルに使ってきた子どもたちが、お家でゲームやマンガで脳を癒すのは、良いんじゃないのとおっしゃる。

あー、良かったね、川島さんはサブカルの味方だよ。

しかしだ。実は川島さんは、携帯電話を使っているときの前頭前野も、働かないことも突き止めている。

で、脳が成熟した大人が携帯を使うのは良いでしょう、しかし、脳の発達途上にある子供や、脳が衰え始めた高齢者が使うのは、果たして良いことなのでしょうか?とも言っているのだ。

ポカーン( ゚д゚)

えーっと、これはどういう事なんでしょう。

前頭前野が働かない状態は、ある時は癒しだから良くて、あるときは危ないというのは、カナーリ恣意的なように思えるのですが。

くねくね科学探検日記 - 脳科学のダメな人・その1(中編)

さらに、「前頭前野が活性化すればボケは治るみたいなことが一人歩きしてしまうと、たとえば脳に遠赤外線を当てて血流を良くしたらボケが治るみたいな、妙な方向に話が進んでしまう可能性もある。でも、それはたぶん無駄なんだよね。」「キレやすい=前頭前野が未熟だから、脳トレで鍛えようという短絡的な発想は、体重を減らすためにカロリー制限と適切な運動という唯一の合理的な方法を取らず、怪しげなダイエット法に填るのと似た感じがある。」という話へ。

ぼくは脳トレをとくに否定するつもりもない。

でも、この考えかたが権威になって、教育やら何やらに色々制限を課そうとするなら、それには断固反対したいと思うんだなあ。

くねくね科学探検日記 - 脳科学のダメな人・その1(中編)

また、脳の血流の様子を見るために川島隆太教授も使っている、光トポグラフィやfNIRS(エフニルス)といった機器の限界にもふれている。

またエフニルスは2001年に登場したばかりの装置で、まだ何を測っているのか明確でないというポイントも見逃せない。この装置は、非常に簡単に取り扱えるので、トレッドミルで走っているときの脳の様子まで計測できる。

これはデカイ装置の中に入らないと計測できないfMRIなどでは絶対に不可能だ。今までにない計測がたくさんできるようになったことで、研究者たちもちょっと浮かれ気分かもって感じ。昔、脳波が発見された直後は、これで脳のこと何でも解っちゃうよーみたいな浮かれ騒ぎが研究者たちの中で起こったんだけど、それと似た雰囲気が無くはない。

くねくね科学探検日記 - 脳科学のダメな人・その1(後編)

以下は鹿野さんの私見。でもこれもすごく刺激的だ。

僕が15年以上前から唱えている、科学的根拠の全くない俺様理論ではこう解釈できる。

僕は前々から、意識というものは、多くの人が思っている以上に、普段は存在していないと考えている。意識とは、新しいことを覚えたり、難しいことを間違えないようにするときだけ起動して、その操作を無意識化するための自己シミュレーションなのだ。

そして、それが起動している感覚、そのクオリアが意識と感じているものの正体だ。

くねくね科学探検日記 - 脳科学のダメな人・その1(後編)

今回の3本の記事は「その1」とされている。「その2」も間をおかずに公開されるだろう。

参考:「理系白書」の今回のテーマは「科学と非科学」

折よく、毎日新聞の「理系白書」が今回、「科学と非科学」というテーマを扱っている。

昨日の朝刊(東京本社版)から、今年の理系白書がスタートしました。「科学と非科学」。1回目は、波動をうたったビジネスに焦点を当てています。

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/

これから3月まで、いろんな題材を通して、非科学(未科学ニセ科学も)とどう向き合うかを考えていきます。

初日から多くの反響をいただきました。

  • 波動を信じないなんてかわいそう
  • 友人が凝っているのは「波動」ビジネスか?
  • 目に見えない、科学で実証されていないからといって、ぜんぶ「ニセモノ」と否定するのは科学万能主義の弊害だ

などなど、いろんな意見があります。いずれ反響特集もできればと思っています。


理系白書ブログ: ニセ科学、マスコミの責任

ブログ書評向け献本サービス「本が好き!」

【元記事:向け献本サービス「本が好き!」:d:id:manpukuya:20070202:hongasuki

出版社からの献本をリストにし、審査を通った書評者さんはその中から書評したい本を選ぶ。そして書評をアップするとこのサイトに登録される、というようなプロジェクト。面白い!

版元、書評する人、運営のメリットはそれぞれ下のような感じ。

  • 出版社は、自社の本の露出を増やすことができる。書評も「感想」以上のものを期待できる。
  • 書評者は読みたい本を買わずに読むことができ、かつ自分の書いた書評もより多くの人に読んでもらえる。
  • サイトの運営側は、版元から提供してもらうプロモーション費用で、運営費をまかなう。

弊社のような小さい版元の本を買ってもらおうとしたとき、最初にハードルになるのは「その本の存在を知ってもらう」ことだ。そういうチャンネルが増えるならぜひお願いしたい。

さっそく連絡を…と思ったら、版元向けの連絡窓口が見つからない。やむなく、書評者申し込みのフォームから連絡をしたところ、すぐにご連絡をいただいた。さてどうなるかな?

(版元向けの窓口を作るよう、お願いもしておいた)

  • 関連記事:「立ち読みでもいいから本や雑誌を読んでください」(d:id:Imamura:20061101:tachiyomi:自分の「本を読んでもらう」ことへのスタンス表明。

「小さな旅」東京の夜景特集は明日の早朝に再放送

【元記事:「小さな旅」東京の夜景特集は明日の早朝に再放送:d:id:manpukuya:20070202:yakei

「巨大建築」カテゴリはちょっと違和感があるけどいいの!

ネタ元はd:id:zaikabou:20070128#1169940789さん。

小さな旅「働く光 まぶしく〜東京ミッドナイト〜」

放送時間
2007年2月3日(土)午前4:30〜午前4:55(25分)
番組内容
東京の夜。華やぐイルミネーションの片隅に、暗い作業現場で、黙々と作業に没頭して暮らしを支える人々を羽田空港東京湾コンテナ埠頭に訪ねる。村上由利子アナウンサー。
詳細
冬の夜の東京。人々を誘うさまざまなイルミネーションが街を彩る。その光の中に、私たちの生活を支えるために働く人々を照らす灯(あか)りがある。羽田空港の滑走路や新宿駅の工事現場、そして東京湾コンテナターミナルのクレーン。人々のいなくなった都会の闇で作業を急ぐ若者たち。寒風の中にも汗をかき、時には危険な仕事の中にやりがいを見いだして腕を磨き、働いている。夢を抱きながら働く人々の思いをまぶしい光にたどる。
NHK 番組表

こういう番組はハイビジョンテレビで見るとものすごく細かくて嬉しい。楽しみ楽しみ。

とり・みきのオジギビト研究本

街角のオジギビト

街角のオジギビト

20年の蓄積がいま本に。筑摩書房は、路上観察學会の記録を残すのに熱心ですばらしい。

オジギビト研究はもともと、雑誌連載だったエッセイマンガ「愛のさかあがり」で始まっている。

その集大成が今回の本か。「愛のさかあがり」は今は絶版のようだけれど、オジギビト関連や「痛い話」シリーズなんかは今読んでも十分面白いと思う。

働かなくても食っていける社会よ、早くこい

【元記事:働かなくても食っていける社会よ、早くこい:d:id:manpukuya:20070202:work

生活保護でかなりの贅沢をして暮らせるけど、『働く』為には、ものすごい才能と努力が必要になる社会」である。

これが本当にやってくるかどうかはわからないが、世界はこの方向に向かっている。よほど何か強力な人為的な介入をしない限り、こうなると私は思う。


アンカテ(Uncategorizable Blog) - 働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ

この話、とても面白い。

思うに、好きなことをしてお金をもらえたら、それが他人の目には労働にしか見えなくても、すごく嬉しい気がする。

今の自分の仕事はそのクチにけっこう近い。「こんな本を作りたい」と自分で考えて、それを作らせてもらえる。もちろん、自分だけの趣味を全開にして作った本では単なる同人誌なので、より売れるようなしかけを盛り込んだりはする。それでも自分にとって、ほかの仕事をするよりはものすごく幸せな状況だ。

だから、「働かなくても食っていける社会」がやってきても、自分はやっぱり本を作っているだろう。

こういう話でいつも思い出すのが、プラネタリウムメガスター」を個人で作った大平貴之さんだ。

彼こそ、好きなことをひたすらつきつめていった結果、ついにそれが労働になり「プラネタリウムリエーター」として食っていけるようになった人である。

この人は、20年以上にわたってプラネタリウム作りにまい進してきた。その間、彼の好奇心や探求心を止めるものがなく、学業や仕事の合間にプラネタリウムを作り続けることができ、そして今はただ、プラネタリウムのことだけで生活できている。この一点において、今はすでになかなかいい世の中じゃないのと思う。

id:DocSeriさんは上の記事を紹介して、「無産主義者を自認する私としては、人は働かずして生活できるようになるべきだと思っている。」として次のように書いている。

残念ながらすべての分野から労働をなくすことは当分できそうにない。まだまだ人手が必要な分野というものはある。けれどそれらも将来的には自動化されてゆくだろう。そうなったとき、労働ははじめて趣味になれる。すべての人が等しく苦行から解放され、純粋に趣味で研究し趣味で製造する世界に。


妄想科學日報 - 人は労働から解放され得るか

これはすばらしい。早くこんな社会になってほしい。

働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ」の記事では、そういう社会を実現するためのハードルは「『働かざる者食うべからず』という倫理である」としている。

この倫理を持ち出す人は、働く以外にやりたいことや好きなことがあまりない人なのかもしれないと考えた。そして、「趣味は仕事」でやってきた団塊世代が、退職後に別の趣味を一生懸命探している様子が思い浮かんだ。

(後日追記:「働かざる者食うべからず」は「労働力を提供できない者は餓死せよ」というスローガンではなかった。不労所得だけで暮らしている資本家を糾弾する言葉だった。「お客様は神様です」のように誤解されているフレーズなんだな)

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