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新型コロナウイルスのワクチン接種(第2回)

この記事の続きです。

今日、第2回のワクチン接種に行ってきた。会場が前回と同じなので手続きも基本的に同じで、「2回目ですね」「2回目ですね」とよく聞かれた。ひょっとすると前回も「1回目ですね」と何度も聞かれていたかもしれない。

予診票を確認して受付、問診、ワクチン接種、接種完了の手続き、待機とどんどん進む。待機のとき「12分待ちます」と言われた。15分じゃないんだ。聞いてみると「接種したあとの手続きやここに歩いてくるまでの時間を考慮して、ここでの待機時間は12分にしています」とのことだった。なるほど、少しでも回転をよくしたいんだな。ひょっとすると前回もキッチンタイマーは12分だったかもしれない。

待機時間が終わって、気になる症状は今回もなし。これで新型コロナウイルスワクチンの接種は無事に終わった。あとは2週間待てば抗体が十分にでき、感染しない効果や感染しても発症しない効果を約90パーセント得られる。また重症化もしにくいそうだ。ああよかった。

感染症専門医が解説! 分かってきたワクチンの効果と副反応|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省

とはいえ絶対感染しなくなるわけではないので、感染すると自分は軽症でもほかの人へうつしてしまうかもしれない。今のように感染者がたくさんいる状況では2週間たってもマスクや手洗いは欠かせない。自分はもう安心でも、周囲の人たちがもっとワクチンを接種するまでもうしばらくのがまんだ。

追記:副反応について

第1回、第2回とも左腕を上げると少し痛くなるのが1日ほどあったくらいで、熱が出たりはしなかった。ファイザーは副反応が小さいと聞いたことがあるが、それでもここまで楽だとは思わなかった。

副反応の大きさはどうやって決まるのだろうか。もしワクチンを打つまでに新型コロナウイルスにどのくらい曝露したかで決まるのだとしたら、感染対策がうまくいっていたことになる。(実際どうなのかは調べてみないと)

追記:第3回のワクチンを打ちました

ツイートは「フォローしているアカウント」のみ返信可をデフォルトにしたい

少し前にツイート時の設定が増えて、ツイートへリプライできるアカウントを制限できるようになった。

  • 「全員」…誰でも返信できる(デフォルト。今まではすべてこの設定だった)
  • 「フォローしているアカウント」…ツイートした人と、ツイートした人がフォローしているアカウントが返信できる
  • 「@ツイートしたアカウントのみ」…ツイートした人と、ツイート内で@されたアカウントが返信できる

今は基本的に「フォローしているアカウント」の設定でツイートするようにしている。

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ツイートしていると間違った情報をもとに反論してきたり、顔見知りでもないのに敬語も使わず罵倒してきたり、目立ちたがりがどうでもいい話をしてきたりすることがたまにある。そういういわゆる「クソリプ」を自分のツイートにぶら下げたくない。

ツイートもブログのエントリも、自分がネットに向けて発信するコンテンツである。であれば、そこにどんなリプライやコメントを掲載するかはなるべく自分でコントロールしたい。昔のような誰でもリプライできて、一度リプライされたら表示されっぱなしなのはとても乱暴な状態だと感じる。これはコメント欄を閉じられないブログのようなものだ。(※今のTwitterにはリプライごとに非表示にする機能もある)

引用ツイートで、元のツイートにぶら下げたくなるものが来ることがある。その場合、自分で元のツイートにリプライする形でそれを引用ツイートする。ラジオ番組への感想をパーソナリティが選んで紹介する感覚だ。

「ネットに公開したからには何を言われても受け入れるべき」みたいな意見もあるだろう。そうだとしてもあらゆるリプライが誰にも見える状態で固定されるのは望ましくない。Twitterではリプライできなくても引用ツイートがある。ツイートに「×件の引用ツイート」と表示され、そこをクリックすればツイートへの引用ツイートを一覧で見ることができる。これなら「デマツイートが野放しになる」「問題のあるツイートへの指摘が隠れてしまう」という懸念もある程度和らぐし、現に今そういう不満の声が大きいとは感じない。

今はもう「フォローしているアカウント」のみリプライできるツイートをするのにすっかり慣れ、これでうまくいっていると感じる。たまにツイート時に設定変更を忘れて「全員(リプライできる)」のままツイートしてしまうと不安になる。マスクをするのを忘れて外出してしまったときのような気持ち。

そういうことがないように、ツイートはデフォルトで「フォローしているアカウント」にしてほしいのだがそういう設定はない。Twitterとしてはなるべくたくさんのユーザーと活発にやり取りできるようにしておいて、Twitterでの滞留時間を長くしてほしいのかもしれない。

追記

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上で「ツイート時に設定変更を忘れて『全員(リプライできる)』のままツイートしてしまうと不安になる」と書いたが、いつの間にかツイート後に設定を変えられるようになっていた。ツイートを表示して右上の「…」から「返信できるユーザーを変更」を選択すれば最初の画像の「全員/フォローしているアカウント/@ツイートしたアカウントのみ」の選択肢が出てくる。

「ルックバック」のあの場面をどう描いてもらいたかったか(ネタバレあり)(追記あり)

藤本タツキの読み切り「ルックバック」が公開されたのは19日。まだ3日しか経っていないのにものすごい反響である。

「ネタバレあり」なのでこのあと作品の内容に触れていきますよ。見出しだけでは全体像が見えないことがあります。まずリンク先を読んでみませんか?

というかすごい作品なので読んでください。

読みましたか? 読みましたね。

では続きです。

「ルックバック」が傑作であることは間違いない。これは京都アニメーションの放火殺人事件をモチーフにしているという。藤本タツキは「長門は俺」というペンネームを使っていた時代もあるそうで、ここでいう「長門」は長門有希、「涼宮ハルヒの憂鬱」の登場人物である。そしてそのアニメを制作したのは京都アニメーションだった。となればあの事件に思うところも大きかったのだろう。この作品は事件から2年経った翌日に公開された。痛ましい出来事を前にして、それでも自分は前に進んでいくという作者の決意表明であると感じた。

ほかのマンガ家さんたちの感想。「ルックバック」はマンガ家マンガなので皆さん直撃を食らっている。そして表現がそれぞれうまい。さすが。

まとめの中ではこれ↓がよかった。広江礼威先生は優しい。

さて作中、通り魔殺人事件が起きる。その犯人の描写が問題になっている。

犯人のセリフはこんな感じである。「さっきからウッセーんだよ!! ずっと!!」「元々オレのをパクったんだっただろ!?」

この描写は統合失調症にありがちな幻聴や妄想をステレオタイプ(典型的なイメージ)的に表現していると感じた。そしてそういう人間が通り魔殺人を起こす内容になっていたのが引っかかった。こういう人はこういう事件を起こすものと思われてしまうのではないか。案の定、当事者の人々から意見や懸念が表明された。

精神科医斎藤環も下のようなツイートをしている。

統合失調症は現在、適切な投薬によってコントロールできる病気である。幻聴や妄想に駆られて通り魔を起こすようなことはない。しかし「精神分裂病」と呼ばれていた昔から、この種の人間が傷害事件を起こす描写はさまざまな作品でくり返されてきた。その誤ったステレオタイプに乗っかって理不尽な暴力が表現されるのは避けてほしい。

「ルックバック」の劇中、犯人が統合失調症であるという説明はない。しかしそのことをもって、声を上げた当事者に対して「犯人が統合失調症とは限らないではないか、統合失調症に特有の被害妄想だろう」と詰め寄るのは差別と偏見に満ちており間違っている。我々は説明されていなくても作品から情報を受け取ることができるからだ。現にこの作品が京アニの事件をモチーフにしていることは作品中まったく触れられていないが、知れば誰もが納得している。

ではどうすればよかったのか。「犯人は精神科への通院歴があったが投薬を怠っていた」という説明が入れば、少なくとも統合失調症の患者が必ずこのような事件を起こすわけではないと理解されるかもしれない。2011年に栃木県鹿沼市で起きたクレーン車の事故では、てんかんの持病を隠して運転免許を取得した男が薬をちゃんと飲まずに運転し、発作が出て死亡事故を起こしてしまった。このときは日本てんかん協会が「投薬を怠っていたなら非常に遺憾」という声明を出している。

でもよく考えたらこれはダメだ。統合失調症の患者は適切な投薬がないと無差別殺人を起こす可能性があるという誤解が残ってしまう。

では犯人のセリフをなくしてはどうか。それでもあの場面は成立しそうだ。男の後ろに倒れている学生が見えるなどすれば、無差別殺人であることがわかりやすいかもしれない。しかしその場合「元々オレのをパクったんだっただろ!?」というセリフをどうしたらいいだろうか。京アニ事件の犯人が動機として「自分の作品を盗まれたと思った」と語っていたからだ(ただし京アニ社長によると犯人の名前で京アニへ投稿された作品はないという←間違いでした。「「『ツルネ』などが盗用」青葉容疑者が主張 京アニ事件 京アニ放火!:朝日新聞デジタル」によると「容疑者と同姓同名の名前で京アニに応募があった作品は、長編と短編の1本ずつ」。ただし京都府警が作品を確認したが「いずれも盗作と受け取れるような類似点は見当たらなかった」とのこと)。京アニの事件を思い起こさせつつ、それを統合失調症ステレオタイプに寄せず描けるものだろうか。そこは藤本タツキの力量に期待したい。

ともかく、今の作品の状態からさらに工夫をこらすことで、統合失調症への偏見や差別を助長しかねない描写から脱することができそうな気がする。

と書いていたら、もう単行本化が発表されたそうだ。9月3日発売。

さて、くだんの場面は単行本化にあたって描き直されるだろうか。発売が楽しみだ。

追記

ブコメに返答します。

  • id:filinion 私は「あっ統合失調症患者だ!」とは思わなかったけど…。京アニ事件の犯人(患者ではない)が「自分のをパクられた」という思い込みで凶行に及んだ、という現実がある以上、その方向で描くのは避けがたいのでは…。

統合失調症ステレオタイプに従っているので自分はそう感じた、ということです。犯人の「パクられた」をふまえつつどう描くかは作者の力量に期待しています。

そのような診断は出ていません。また劇中の犯人にもそのような説明はありません。「作中の犯人は薬物中毒なんだと思った」という人もいました。しかし専門家も含め、統合失調症の描写であると感じる人が少なからずいるのは確かです。荻上チキ氏も上の増田氏に応答して「悪魔化・患者化された記号としての加害者描写は、(…)幻聴に関連する特定の疾病群に対する偏見を助長する可能性は気になりました」と指摘しています↓。

  • id:ivory105 その顔俺のことバカにしてんだろ!みたいな思い込みで激昂するのよくあるシーンだと思うんだけどそれとどこが違うのか。勝手に統合失調症だって決めつけてる上どう描けば良かったかとか思い上がりも甚だしい

思い込みで激高するシーンはままあると思います。では「さっきからウッセーんだよ!! ずっと!!」はどうでしょうか。いわゆる健常者とされている(精神に障害を来していると説明されていない)登場人物がこれを言い出したら違う話になってくると思いませんか。

「勝手に統合失調症と決めつけている」はその通りです。しかし皆さんも「この作品は京アニの事件をモチーフにしている」と決めつけていますよね、ということを上で書いています。

思い上がっているつもりはありませんが、作品に対して「こうだったらもっとよかったな」という話は普通にしませんか?

  • id:xorzx 「自分の作品をパクられた」=「総合失調症」って固定概念がどうかしてない?【引用者註:以下追記分】妄想する人全てが総合失調症じゃ無いし、妄想しない総合失調症の患者さんもいるだろうに。

妄想は統合失調症の典型的な症状です。

【追記分について】そうですね。妄想している人だから統合失調症と言っているつもりはなくて、妄想と幻聴が統合失調症ステレオタイプだと感じた、と上で書いています。

  • id:gowithyou こういうのを「クソリプ」って言うんだよ。創作物の内容に他人がこうすべきだと口を出すのは思い上がり以外の何物でもない。だったら自分で一から創作してみろよ出来ないだろ?

思い上がっているつもりはありませんが、作品に対して「こうだったらもっとよかったな」という話は普通にしませんか?

  • id:danseikinametaro タイトル見て医者が書いたのか?と思ったら違った。「どう描けばよかったのか」って何様だよ。

あーなるほど、「どう描けばよかったのか」に引っかかるんですね。わかりました。タイトルを「どう描いてもらいたかったか」に変更します。ところで医者が書くのであれば「どう描けばよかったのか」でもOKなんですか?

  • id:versatile なんだかな。あるシーンだけが一人歩きして意味不明な消費のされ方をしていくのはもったいないね。作者には是非またこれくらいの長さの話を描いて欲しい。個人的にはチェンソーマンの続きはどっちでもいいっす

記事中で紹介した記事は残らず「すばらしい作品だがあの場面だけはちょっと…」という書き方になっています。傑作であることは確かだと自分も思います。それだけにあのシーンについて議論することが「意味不明な消費のされ方」だとは思いません。

藤本タツキは短編もうまいので、『ルックバック』の単行本にはほかの短編も収録してほしいですね。あるいは別に短編集を出すとか。

  • id:catan_coton どう描けば良かったか?あのままでいいよ。

もちろんそれも一つの意見です。タイトルは変更しました。

  • id:ajptan 「パクった」という事件の動機に対するアンチテーゼとして作中背景に元ネタを分かりやすい形で散りばめたのでは…と解釈したので、あのセリフは絶対に必要な言葉だったんじゃないかと勝手に思ってる。

そうですねー。意見をふまえてどう処理するかは単行本でわかるでしょう。もちろんなにも修正せずそのまま載せたとしても、それは作者や編集部の判断として尊重します。

さらに追記

斎藤環が「ルックバック」について記事を書いた。

精神障害の当事者が声を上げたのに対して心ない反応が多かったという話は胸が痛む。「『そういうとこだぞ』という反応には『患者が合理的に考えられるはずがない』『稚拙な論理の穴を突いてはずかしめたい』『そもそも患者の妄想語りなど訊くに値しない』という三重の差別意識がこめられているように思う」。

そしてナルホドと思ったのは次のくだり。

せめて幻聴を匂わせなければ、という気もするが、それだと完全に某事件の某容疑者がモデルに確定してしまう。難しいところだ。

「意思疎通できない殺人鬼」はどこにいるのか?|斎藤環(精神科医)|note

「パクったんだろ」は京アニ事件の犯人のことを匂わせるために必要なセリフと思っていたが、幻聴を思わせる描写があるためにむしろこの男は京アニ事件の犯人をモデルにしていないということになる、という指摘である。確かに京アニ事件の犯人に幻聴を疑わせる言動があったという報道はなかったと思う。とすると作中で犯人にセリフがまったくなくても、作者の表現したいことは完成できるのかもしれない。

追記

修正されたが…という話を書きました。

単行本を読んだ感想を書きました。

『キューブサット物語』の電子版が7月24日ごろ発売の予定です

わたしが編集を担当して2005年にエクスナレッジから発売した本が、川島レイさんの『キューブサット物語』です。東大と東工大の学生たちが10センチ立方、重さ1キロの超小型人工衛星を作って宇宙へ打ち上げるという、当時はまず考えられなかった快挙を2003年になし遂げるまでの話です。

2005年当時の発売告知記事
キューブサット物語〜超小型手作り衛星、宇宙へ』3月22日発売(https://ima.hatenablog.jp/entry/20050311/cubesat

本は数年前に絶版となり、版元から著作権を引き上げた著者の川島さんから依頼されて編集と電子化を担当することになりました。

人工衛星を作るにあたっては、どんなことをさせるか=ミッションが決まったら、いきなり本番の機体を設計し組み立てるわけではありません。ブレッドボードモデル、エンジニアリングモデルを順に作ってブラッシュアップした上で、実際に打ち上げるフライトモデルを作ります。

東大と東工大のチームはお互いの様子をうかがいながら、競うようにキューブサットを開発していきました。同じ目標を目指す仲間であり、同時にライバルでもある関係がうまく作用したと感じます。2つの大学の学生たちは数々の試験とトラブルを乗り越え、2機の超小型人工衛星を作り上げました。

同時に、人工衛星を宇宙へ打ち上げるロケットも探さなければなりません。大きな人工衛星を打ち上げるロケットについでに安く載せてもらう方式なので、メインの衛星が遅れるとキューブサットの打ち上げも自動的に遅れたりします。自分でコントロールできないもどかしさがあり、ロケットの調達は衛星の製作とはまだ別の苦労があったかもしれません。

ほかにもいろいろ語りたくなりますがこれくらいにして、実際に読んでみてください。

電子版では表紙に記載した通り、本書に登場する教員や当時の学生の皆さんにメッセージを寄せていただいています。今は「はやぶさ2」のプロマネになった津田雄一さん、同じく「はやぶさ2」プロジェクトメンバーの澤田弘崇さん、イプシロンロケットの開発メンバーの宇井恭一さん、スペースXで再利用型ロケットを開発している桑田良昭さん、超小型人工衛星でビジネスを行うアクセルスペースを起業し代表を務める中村友哉さん。そのほか総勢27人の方に18年前をふり返っていただきました。

さらに東大のキューブサットXIサイ-IVフォー」が宇宙から撮影した地球の画像も多数収録しました。書籍ではカバーの見返しに8枚載せただけでしたが、カラー写真をたくさんご覧いただくことができるのは電子版のメリットですね。打ち上げから時間が経つにつれてレンズが変色していく様子がよくわかります。

キューブサット物語』電子版の目次
  • キューブサット物語』電子版のための前書き
  • はじめに
  • 第一章 始まりはいつもハワイ[1999年11月]
  • 第二章 キューブサット・プロジェクト始動[1999年12月~2000年11月]
  • 第三章 汗と涙の開発競争[2000年11月~2001年5月]
  • 第四章 キューブサット試練の日々[2001年5月~2001年12月]
  • 第五章 二転三転する打ち上げ[2002年1月~2003年5月]
  • 第六章 ロシア経由宇宙行き[2003年6月]
  • 第七章 打ち上げの日[2003年6月30日]
  • エピローグ[2004年6月30日]
  • あとがき
  • キューブサット物語』から18年後のメッセージ
    • 中須賀真一/松永三郎/ボブ・トイッグス/山元透/津田雄一/澤田弘崇/永島隆/酒匂信匡/宇井恭一/中谷幸司/有川善久/村上誠典/伊藤孝浩/宮村典秀/宮下直己/此上一也/小田靖久/岡田英人/居相政史/船瀬龍/程島竜一/桑田良昭/占部智之/金色一賢/中村友哉/新井達也/程毓梁
  • キューブサット「Ⅺ-Ⅳ」が撮影した地球
  • 関連サイト

2003年にロシアの小型ロケットで打ち上げられた2つの人工衛星は、今でも宇宙にいて運用されています。

キューブサットという10センチ立方の人工衛星はその後、超小型衛星のデファクトサイズになりました。当時は打ち上げロケットを探すのにとても苦労しましたが、今では国際宇宙ステーションからキューブサットを放出するプログラムが運用されています。高校生や個人のグループもキューブサットを製作するようになりました。

キューブサット物語』電子版は7月24日ごろ、AmazonKindleで発売予定です。ぜひご覧ください。

それから、著者の川島レイさんはこの本の前に書いた『上がれ! 空き缶衛星』をすでに電子化してKindleで発売しています。こちらは『キューブサット物語』の前日譚で、大学生たちがジュース缶の中に人工衛星の機能を詰め込み、モデルロケットで大空へ打ち上げるまでが描かれています。ご興味のある方はぜひどうぞ。

親本のレビュー

関連記事

追記

無事発売できました。よろしくお願いいたします。

東京都の緊急事態宣言を8月22日に解除するにはどうしたらいいだろうか

これまでの記事

7月11日までの蔓延防止等重点措置は終了し、12日に再度緊急事態宣言が発出された。4回目の緊急事態宣言である。今回は8月22日までと長い期間なので、それまでに新規感染確認者数を100人程度に減らしたい。しかし今は7日間平均の前週比が1.2倍と増加傾向にある。まずこれを1倍以下に下げ、減少傾向にしない限り毎日の新規感染確認者数は増え続ける。

前回の緊急事態宣言は4月25日からで、そこから昨日までのグラフは下の通り。

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東京都は7日間平均の前週比が上がって1倍を超えそうなときに緊急事態宣言を解除して、蔓延防止等重点措置に移行した。感染者が減る理由はなく、そのまま前週比は1.2~1.3倍に上昇、たまらずわずか3週間で緊急事態宣言を再発出することになってしまった。

これは今後どう推移するだろうか。上のグラフの右端を8月22日まで引き延ばして、新規感染確認者数が100人程度に減るペースと、今日の7日間平均の前週比がこのまま変化しなかったとき、8月22日に新規感染確認者数が何人程度になるかを計算した。

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これまでは新規感染確認者数が100人程度になれば、その後緊急事態宣言を出さずにすむとされていた。しかし感染力が強いデルタ株が広がっていくと、もっと減らさないと再拡大するかもしれない。一方でワクチンの接種も進んでいて、今までほどには感染拡大しにくくなっていくかもしれない。上のグラフは今後のそういった変化を考慮しない、ごく単純な計算結果である。

8月22日に新規感染確認者数を100人にするには、明日から7日間平均の前週比が0.71倍まで急減しなければならないという計算になった。あまりに非現実的でまず無理である。毎回書いているが今回も、政府が設定した期限までに新規感染確認者数が十分減ることはなさそうだ。そしてこれも毎回書いているが政府がこういうグラフを作っていないわけがない。でも8月22日を期限にしてしまうんだな。

また今の調子(1週間で1.29倍)で新規感染確認者数が増えていくと、8月22日にはなんと3,397人になるという計算になった。グラフではそこまで描くと上を突き抜けてしまうので省略した。

だってこんなになっちゃいますからね。期間が長い指数関数は恐ろしい。

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もちろん本当にこうなるとは思っていない。今までは新規感染確認者数が1,000人! みたいな高い数字が出ると人々の行動が抑制的になるのか、なんとなく波が下がってきた。しかし回数を重ねるうち、あまり下がらないまま次の波が上がり始めるようになってきている。

下のグラフは去年の3月1日から今年の7月12日までの新規感染確認者数とその7日間平均、7日間平均の前週比とさらにその前後7日間平均をまとめたもの。第3波や第4波では、下がってもあまり谷が深くならないまま再び数値が上がっていることがわかる。

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(→大きい画像を見る

現在はすでに第5波といっていい山ができ始めている。政府は働き盛りの人たち(ワクチン接種が後回しになっている人たちでもある)が仕事のために家を出なくてすむよう、「金は出すから家にいろ」をやってほしい。方法は特別定額給付金でもいいし消費税の減税でもいい。そしてオリンピックはやめてほしい。政府の感染対策が不十分で感染者が減らず、緊急事態宣言を出して飲食店やそのほか国民に苦労を強いておきながら、なぜオリンピックだけが特別扱いなのか。ウイルスは対策がゆるいところがあればそこから必ず感染を広げる。そういうことをしているから人々はうんざりして外に出てしまう。自分の命や健康よりオリンピックが大事という人はいない。希望だの感動だのの代わりに自分の命が危険にさらされるなんて願い下げだ。

先日の都議選で、自民党の候補はオリンピックの話をしないよう気をつけていたそうだ。下は片山さつき議員のツイート。「五輪開催色前面に出さない」とある。反対が多いことは理解しているようだ。それでも開催してしまう。

オリンピックは開催してしまえば自動的にドラマが生まれて国民は自動的に感動し支持率も回復すると見込んでいたのだろうが、ここまで来るとそれも厳しくなってきたと感じる。スポンサーも「オリンピックを応援しています」と言いにくくなっているそうだ。

「逆風下の五輪で、今は『とにかく目立たない』が最優先。億単位の金を払って何をやってんだ、という感じ」だそうだ。これはこれでスポンサーは自業自得、国民の命や健康より自分たちの商売の方が大事だったんですねとも思っちゃう。スポンサーは被害者のつもりかもしれないが、外から見れば共犯者だ。

さて、明日あたりに新規感染確認者数が1,000人を超えるという予測も出ている。これでみんながびっくりして、グラフが下がり始めたらいいな。

その予測というのはこちら。id:Knoaさん(はてなブログはまだ記事がないのか…じゃあはてなブックマークで)によるものである。

これが特に最初はなかなか当たっている。今までの予測と実際の数字との比較を下のグラフにまとめた。

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後半やや高めに出てはいるものの、特に最初の1週間はかなり正確な予測だった。

この予測は現在8月15日まで出ている。今後どうなると予測しているだろうか。

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新規感染確認者数は明日1,000人を超えたあと、水曜から土曜を中心に1,000人以上の日が続く。8月7日に1,798人をつけたあと下がり始める予測となっている。もちろんこれはあくまで予測で、今後も1週間ごとに更新されるようだし必ずこうなるとは言えない。でもなんとなくの目安にしていれば、新規感染確認者数が急増したときの心構えになるのではないだろうか。

関連リンク

デルタ株について読んだ記事。

デルタ株は子供が発病しやすいので学校閉鎖を考えておくべきという話など。西浦博教授インタビュー。

ワクチンについて。これも西浦博教授インタビュー。

さらに西浦博教授のツイート。ワクチンの接種率が上がった国(イギリスなど)で感染が再拡大するなど、ワクチン後にも対策が必要という話。


関連記事

1回目を打ちました。

追記

続きを書きました。

新型コロナウイルスのワクチン接種(第1回)

1週間ほど前、新型コロナウイルスワクチンの接種券が自治体から届いた。えっもう? こんなに早く来るとは思っていなかったので、さあゴールへ向かって接種予約の争奪戦に参加しましょうと言われても気持ちがついていかない。

近所のかかりつけに電話をしてみたら、1日に接種する人を絞っているそうで高齢者もまだすんでいないとのこと。

先日、自治体の接種会場の予約受付があった。ワクチンはファイザー製。指定された日時にアクセスしてみると案の定「現在混雑しているため接続数を制限しています」と出る。F5アタックを10分ほど続けて通り抜け、無事に予約を取ることができた。

今日、予約した時刻を少し過ぎてから接種会場へ。入ってみると、接種待ちの人たちが行列を作っている。わりとどんどん流れて、5分ほどで持参した書類の事前チェックに進んだ。問診票の内容を確認される。そこから数分で受付へ進み、パソコンに情報が入力された。次は待ち時間なしで問診。問診のブースはいくつもある。医師にひと通り聞かれて答えたら次へ。パイプ椅子の後ろに同じ椅子、という並び方で椅子が4つ置かれていて、その列が複数作られている。指定された列の前から順に座っていく。壁には「肩を出しておいてください」の貼り紙。すぐに4人たまるので「立って前に進んでくださーい」と言われ、4つ並んだオープンのブースに前から順に配置された。このブースの列もいくつかあった。椅子に座って荷物をかごに入れていたらワゴンがやってきた。医師がとなりの椅子に座って「アルコール消毒して大丈夫ですか」と聞かれ「大丈夫です」と答えると、肩にガーゼでいつものように消毒が行われてブスッ。えっもう?

採血されるときなどは椅子に座ってから血管を浮かせるために肘の内側をこすったり叩いたりするし、針がうまく血管に刺さるように看護師さんもしばし集中する。しかし筋肉注射だとそういう儀式がまったくなく、消毒したらいきなりブスリなのであっけなかった。

ブースを出たらまたパソコンがある机に案内され、そこで係の人がなにか入力したりシールを貼ったり。ここで次回の予約についての紙を渡された。そして15分の待機時間を過ごすコーナーへ。椅子は100人分以上あるが今日座っていたのは50人くらい、案内されて座ると椅子にかけられていたキッチンタイマーがセットされた。

さっき受け取った紙を見た。2回目の接種予約はこのURLかQRコードからとある。アクセスすると混雑していることもなく、あっさり3週間後に2回目の予約を取ることができた。

15分たつとキッチンタイマーがピピピと鳴る。全員が同じキッチンタイマーで、椅子にはランダムではなく案内された順に座っているため「ピピピ」の音がだんだん近づいてくるのが面白かった。アナフィラキシー的な症状は出ず、今日はこれで終了。お疲れさまでした。

接種会場の流れはとてもスムーズで、最後の待機時間を含めても建物に入って30分ほどで出てこられた。混雑に応じて受付や問診、接種など、人がたまる場所にいくつコーナーを置くべきかといったノウハウが積み重ねられてきているのだろう。

2回目のワクチンをすませて2週間経ったら、晴れて免疫が完成することになる。新型コロナウイルスが日本に入ってきて約1年半、ついに出口が見えてきた。ワクチンを打っても感染を100パーセント防ぐわけではないから、感染を心配しながらの生活はまだ続く。とはいえずっと暗いトンネルの中を進んでいたのが終わりに向かっていると実感できるのは晴れやかな気分になる。

追記

3週間後に2回目を打ちました。

『Make: Electronics 実践編』販売開始

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電子工作を基礎から独習する本、『Make: Electronics第2版』に続いて、同じ著者による『実践編』が刊行されました。わたしはこの本の編集をお手伝いしています。

本書は“21世紀のエレクトロニクス入門書”として、米国そして日本でも読者に支持されている『Make: Electronics 第2版』の続編です。この「実践編」では、最初に実験または製作を行い、理論を解説するという「発見による学習」というプロセスをさらに深めます。デジタル電子回路、オペアンプとそのフィードバック回路を中心に、555タイマー、コンパレータ、マルチプレクサ、加算器、エンコーダー、ポジティブ/ネガティブフィードバック、オーディオアンプなどについて、詳細に解説。そのための作例は、「擬似乱数生成器」、「易占マシン」、「危機一髪型コインゲーム」など、ユニークなものばかり。回路同士を組み合わせて、応用プロジェクトを生み出すための考え方、試行錯誤の過程についても知ることが可能です。本文オールカラー。

O'Reilly Japan - Make: Electronics 実践編

『実践編』では、『第2版』で学んだ知識を土台にしたさまざまな作例が紹介されます。ここまで来ると自分程度の知識ではついていくのが大変で、本の内容の通りに作ることはできたとしても原理までちゃんと理解するのは難しそう。でもAdruinoのようなマイコンボードに頼らず、ロジックICやコンデンサなどの電子部品をパズルのように組み合わせて作り上げていくのが楽しい人にはたまらないでしょう。

Make: Electronics第2版』の骨のある応用編として、手に取っていただければと思います。

関連記事:『第2版』刊行時のエントリ