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ゲームマーケットでルールの洪水に溺れる

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「非電源系」とも呼ばれる、ビデオゲーム以外のゲームを扱うイベント「ゲームマーケット」に行ってみた。特に目当てがあるわけではなく、どんな雰囲気なのかを知りたかった。

会場は「東京ビッグサイト青海展示棟」。ビッグサイトだけれど最寄りは東京テレポート駅で、オリンピックのために一時的に作られた建物だった。

多様性がある優れたデザインのものが多かった

アナログゲームのカードやパッケージ、駒などはどれもしっかりデザインされている。ルール作りからデザインまで、一人でやっているところばかりではないだろう。同人誌とは異なり、分業化が進んでいるように思われた。そもそも多くのアナログゲームは一人で遊ぶものではない。集まった人たちで分業しながら作ってみようとなるのだろう。

絵柄はバラエティがあり、ストレートにマンガ・アニメ調のものは少ない。この点、コミケデザインフェスタの中間のように感じた。

会場にルールが充満していることを想像してちょっと恐くなった

コミケで売られている同人誌は買ったら読むもので、読み方を学習する必要はない。デザインフェスタで売られているグッズも、使い方を学ぶ必要がある複雑なものは少ない。一方、ゲームマーケットで売られているゲームはどれもルールを理解しないと楽しむことができない。しかも人生ゲームのように偶然性だけで勝負が決まる双六などはなく、戦略性を高めて面白くするために細かい調整がされている。全ブースの全商品がそうやって作り込まれたルールを持っていて、遊ぶためにルールを学ぶ必要があると思うとクラクラしてきた。

ビデオゲームなら、シューティングゲーム格闘ゲームといったジャンルさえわかれば基本的な遊び方を想像できる。操作方法やアイテムの効能など細かいところはタイトルごとの個性となるが、定番ジャンルなら目的からわからないということはない。もちろんビデオゲームでも、既存のどんなタイトルにも似ていないものはある。テトリスはごく簡単とはいえルール学習なしに遊べる人はいないだろうし、80年代のナムコリブルラブルフォゾン、モトスのような独創的なゲームを出していたがこういうのは少数派だ。

アナログゲームにもジャンルというか傾向はあって、それをこちらがよく知らないから余計に恐くなるのかもしれない。たとえばゲームの目的は手元のカードを早くなくしたほうが勝ち、チップをたくさん集めた方が勝ち、犯人を当てるか逃げ切るかを競う、といったパターンを挙げることができる。でもねえ、最終的な勝敗のつけ方がよくあるものでも、その目的へ至る遊び方のアイデアは本当に千差万別でそこが面白いしクラクラする。

たとえばこれ。

ストーンヘンジのような積み木を立てて、その間をフーコーの振り子みたいに天井から吊した鉄球を通して遊ぶ。発想が自由すぎて面白いし恐くなる。優れた現代美術の作品を見たときの不安に近いかも。

そんな感じで、ゲームマーケットでは頭がクラクラするものをいろいろ見られていい刺激になった。