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小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(SCI運用直前の状況)

(編集中)

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/4/2)ライブ中継(配信) | ファン!ファン!JAXA!

小惑星探査機「はやぶさ2」は、現在、リュウグウの中心から約20km上空のホームポジションの位置にいて、衝突装置運用の準備を行っています。

今回の説明会では衝突装置分離運用開始直前の「はやぶさ2」の状況、衝突装置運用のスケジュールについて説明を行う予定です。

小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(19/4/2)ライブ中継(配信) | ファン!ファン!JAXA!

日時

  • 2019年4月2日(火)14:00~15:30

登壇者

中継録画

(どちらもところどころ少し途切れているようでした)

NVS

配付資料

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本日の内容


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目次

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はやぶさ2」概要

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ミッションの流れ概要

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1.プロジェクトの現状と全体スケジュール

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2.降下運用の結果

クレーター探索運用(事前)(CRA1)の結果

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CRA1で観測した領域

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3.衝突装置運用

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衝突装置運用シーケンスの解説(動画)

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基本的にHGA(高利得アンテナ)で通信

Gate5は垂直降下をやめるタイミング

Gate6は地上局の切り替えタイミング

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SCIの分離シーケンスがうまくいったかや探査機の健全性、DCAMの分離がうまくいったかなどは当日にわかるが、クレーターができたかどうかは当日にはわからない。DCAMの画像も当日取得は努力するが難しい。

2週間後にホームポジションに戻ったうえで再度リュウグウへ接近する運用(CRA2)を行うまで、クレーターができたかどうかは確認できないものと考えてほしい。

4.その他

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5.今後の予定

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クレーター探索運用は4月22日の週。

参考資料

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衝突装置

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分離カメラ

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クレーター掘削深さ

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衝突実験で見られるイジェクタの放出の様子

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衝突装置によるサイエンス

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質疑応答

読売新聞とみやま:クレーターの確認スケジュールについて

吉川:22日の週に降下運用を行う。その結果のデータをダウンロードするのに少しかかる。クレーター生成前とあとを詳しく比較したいのでデータ量が多くなる。
クレーター探索運用は画像を取得する。その画像を地上へ下ろしてサイエンスチームが事前と事後の画像を比較する。

とみやま:資料17ページの降下開始の可否判断について。Gate1の「12:00」とあるのは地上時刻?

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久保田:その通り。

とみやま:資料14ページだと降下開始が機上時刻で午後1時(地上時刻13:17)とある

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久保田:判断の開始は正午でそこから少し時間がかかる。結果を送信してはやぶさ2に届くまで17分。午後1時の降下開始というのは目安と思ってほしい。

とみやま:プラネタリーディフェンスの観点からの重要性は

吉川:地球に衝突する小惑星が見つかったとき回避するのがプラネタリーディフェンス。映画のように小惑星を爆破するのではなく、軌道をそらすのが研究者の間で考えられている。
はやぶさ2の衝突装置は小さいので、これでリュウグウの軌道が変わることはないが、衝突装置をぶつける実運用からどんな問題点があるかなどを洗い出せる。

NHKはるの:クレーター生成運用の難しさを端的に表すとしたら

久保田:JAXAタッチダウン運用によって、探査機を小惑星の所定の位置へ高精度で誘導する技術は確立した。
今度は衝突装置を狙ったところへ衝突させる。衝突装置を分離したあとの流れを考えて、先を見た自動化が必要。探査機自身にも回避行動が必要。自動シーケンスが実際の小惑星の現場でできるかが難しい面がある。分離できなくなった、分離するときや分離後、そのほかさまざまな状況を見越している。自動化のためにいろいろやっていることが難しさであり新しさ。
今回の運用はうまくいけば大きく時刻がずれることはないだろう。しかしものを分離するのはさまざまなリスクがある。トラブルに対応するシーケンスを組むのが難しい。科学者や研究者が集まって考え抜いた。なにかで姿勢が乱れて衝突しない可能性もゼロではないが、おそらく半径200メートル内に衝突させることはできるだろう。
自動シーケンスが想定通りにいくかどうかが難しいところ。
クレーター生成運用をどうたとえるかはいろいろな人と考えたが難しい。なぜかというと世界で初めてのことだから。最初に考えたのは、やぶさめで走りながら、動く標的に向かって矢を射ること。しかしこれは的を射ていない(笑い)。たとえるのが難しいことをしようとしている。

吉川:資料15ページの図で赤い文字(SCI分離からの時間)と青い文字(SCI作動からの時間)のところ。ここで探査機は非常に複雑な動作をする。実際にこの通り衝突装置が分離されて自身は移動しDCAMを分離する、それがちゃんと成立するかどうかがキモ。
GO判断をしたら我々にすることはないが、仕込みが大事ということ。

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たとえとしては、目隠しのやぶさめというイメージ。ここで矢を射ればよいと事前にわかっていてその通りできるか。

はるの:いろいろな仕込みの具体例は

久保田:セーフホールド。なにかおかしくなったら安全のため回転して太陽指向し地球と通信する。通常のセーフホールドではその場で回転するが今回は待避が必要なケースも考えられる。場面に応じてどちらへ回避してからセーフホールドに入るかを仕込んでいる。
また万が一SCIが分離しなかった場合、SCIはタイマーで起動するので非常に危険。SCIには分離確認用の太陽電池をつけてある。分離コマンドを実行してから40分間後にSCIが作動するが、それまでにSCIの太陽電池に太陽光が当たらなかった場合、うまく分離していないと判断してSCIが作動しないようにしている。

はるの:プロジェクトチームとしての抱負は

吉川:これまでの運用ははやぶさの初号機でしようとしたことだった。今回は初号機では考えていなかったまったく新しいことをしようとしている。緊張もしているが準備も周到にしている。ぜひ成功させたいと意気込んでいる。
探査機の安全を最優先したいが新しいことに挑戦して探査の新しい領域を切り開きたい。

久保田:タッチダウンの時あれほど粒子が舞い上がるとは予想していなかった。SCIでどうなるかと心配している面もあるがリハーサルほか準備を進めてきた。人事を尽くして天命を待つという心境。インパクタが当たってどうなるか、リスクはあるがワクワクしている。小さい穴しか空かないという意見もあるし大きなクレーターができるという意見もある。それがわかると小惑星の内部がどうなっているかの科学につながる。準備を万端にして進めている。

フリーランス秋山:DCAM3とはやぶさ2の通信について

久保田:DCAM3は垂直降下に入ってから分離する。分離したらスイッチが入って通信できるようになる。デジタル通信とアナログ通信。通信可能時間は2時間ほど。最初ははやぶさ2の回避行動のため離れていくが、離れすぎると通信が届かなくなる。インパクタが衝突したあと、はやぶさ2は移動速度を下げつつ通信を継続する。DCAM3の撮像データは2時間くらいではやぶさ2に転送できるだろう。ただそのデータはすぐに地球に届くわけではない。はやぶさ2のメモリからデータレコーダに移動してからそれを再生(=地球へ送信)する。当日にすべて地上へは下ろせない。何ショットか取り地球に下ろしても、ちょうどよいところが映っているかはわからない。
DCAM3は分離したカメラで写真を撮影して送る。かなりのアクロバット、離れ業。IKAROSで同様の分離カメラでの撮影を行っていてその経験を生かす。いろいろな動きをしながらカメラを分離して、タイミングよくインパクトの瞬間を撮影できるか。またIKAROSと異なり撮影対象は探査機ではない。
アナログとデジタルの両方で通信しつつ

(編集中)