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ヌルヌル動く「夜明け告げるルーのうた」

監督の湯浅政明は「四畳半神話体系」「マインド・ゲーム」の監督。ひなびた漁村に住む中学生が人魚の「ルー」と出会う話である。

このアニメはとにかくヌルヌルよく動く。なんでも動画をFlash(Webアニメーション向けツール)で作っているそうで、1枚1枚を手で描くより簡単にコマ数を増やすことができる。

ヌルヌル動く絵と独特の色彩、そしてマジック・リアリズム的な演出に幻惑される。今敏も現実と虚構が入り交じる作風だが、「ルーのうた」はリアルな絵ではないからそれとも違う不思議さで心地よい。

映画が終わって外に出て帰り道、目の前の風景が流れていくとき「ルーのうた」のごとくウニウニ動いて見えた。15分くらいでいつもの見え方に戻った。

それにしても湯浅政明のこの秀作をもってしても映画館の入りはよくないらしい。宣伝が足りないのだろうか。「この世界の片隅に」は最初は63館で公開が始まり、評判を呼んで拡大していった。ああいうことはなかなか起きないものなのだろうか。

(「ルーのうた」はこのあとアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞を取った。もっと知られるようになるといいな)

(2018年5月24日更新)