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「ない」をなんでも「無い」と書か無いでほしい

最近、「ない」をとにかく「無い」に変換してしまっている文章をよく見かける。「知らない」を「知ら無い」、「できない」を「でき無い」といった具合である。先日は「見ない」を「見無い」と書くのを見た。これらの「ない」はすべてひらがなで書くのが正しい。

漢字で「無い」と書ける「ない」は形容詞であり、存在を否定する意味を持つ。一方ひらがなでしか書け無い「ない」は助動詞で、動作や状態を否定する。「食べるものがない」(形容詞)は「食べるものが無い」と書けるが、「パンを食べない」(助動詞)を「パンを食べ無い」とは書け無い。

形容詞の「ない」は反対語に「ある」が来るので、迷ったら「ない」を「ある」に言い換えられるか試してみるとよい。「食べるものがある」とは言えるが「パンを食べある」とは言わ無い。

間違った「無い」を書いてしまう事情もわから無いでは無い。「しらない」を変換して「知ら無い」が候補に出ることは無いが、たとえばiOSでは「しら」まで入力するともう「知ら」が候補に出てくる。ここでいったん確定して「ない」を入力すると「無い」が候補に出てくるから、それを選択すれば「知ら無い」のできあがりである。

候補に漢字が出てきても、ひらがなで確定するのは少し勇気がいる。しかしなんでも漢字で書けばいいというものでは無い。そもそも「知ら無い」や「でき無い」は「漢字でも書けるがひらがなに開くのがよい」という話ではなく単に間違いである。

関連:間違ってはい無いけれどひらがなに開いたほうがよい表現

  • 開いたほうがよいと思う漢字(d:id:Imamura:20100505:kanji
  • 素人さんの原稿でとりあえずチェックする、漢字にしないだけで読みやすくなる単語 - Togetterまとめ(http://togetter.com/li/822130)《「事→こと」、「物→もの」、「1つ→ひとつ」》
  • たられば氏による「特にこだわりがなければ開いた(平仮名にする)ほうが読みやすくなる表現」の一覧 - Togetterまとめ(http://togetter.com/li/828413
  • 日本語入力について - アスペ日記(d:id:takeda25:20120511:1336746332)《次の世代になったら、「漢字を多く書く人≒適切に仮名を使えない人≒頭の悪い人」という図式になるかもしれない。個人的には、そうなってほしい》には大いに共感する。

さて、この記事では「ない」をなるべく「無い」と表記してみた。間違った「無い」もたくさんある。これで違和感がなかったら危険である。