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H3ロケットに関する記者説明会

今回初披露となったH3ロケットの模型
左からH-IIAH-IIB、H3ロケット

開催日時

  • 2015年7月8日 15時30分~

登壇者

  • JAXA 第一宇宙技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田匡史(おかだ まさし)
  • JAXA 第一宇宙技術部門 H3プロジェクトチーム サブマネージャ 有田誠(ありた まこと)
  • JAXA 第一宇宙技術部門 事業推進部 計画マネージャ 森有司(もり ゆうじ)

中継録画

H3ロケットに関する記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!

http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/5003.html

※03:10くらいに始まります(最初1分ほど音声なし)

【放送予定】7月8日(水)15:30~ H3ロケットに関する記者説明会 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-

http://blog.nvs-live.com/?eid=307

※02:00くらいに始まります(最初1分ほど音声なし)

配付資料PDF

参考資料PDF

2020年:H3ロケットの目指す姿(岡田)

ようやく皆さんにお話できるようになった。新型基幹ロケットはなかなか姿を現さないと思われたかもしれない。

過程をお見せできない面があったが、ようやく姿を作り上げることができた。まとまった形でご報告できるタイミングとなった。

私は高校生と話すのは得意だが大人の方と話すのは苦手。だんだん調子が出てくると思う。

機体名称について

すでにご案内の通り名称をようやく決めた。H3(エイチスリー)ロケット。皆さん「(仮称)」としてお使いいただいていてなじみがある。面白みはないかもしれないが。

愛称をつけるかどうかは三菱さんと検討していく。


現状と課題

多くの方は半分くらいの内容はご存知と思うがご了承いただきたい。

だいち2号の打ち上げ。大好きな写真。とてもいい天気。

N-I、H-I、H-II、H-IIAと段階的に開発してきた。
このまま使い続ければいいという意見があるかもしれないが…。

H-IIAロケットの課題

衛星の大型化に対応しきれなくなってきている。H-IIAはH-IIと同じ大きさ。古いコンセプト。

また今後各国の新しいロケットが参入してくる。

設備の老朽化は宇宙開発予算を圧迫する。

開発機会が不足すると技術者が離れていく。

機数が少ないと事業を続けにくい。

世界の競合ロケット

現在と2020年ごろ。

技術者の継承

どのロケットの開発経験があるかの立体グラフ。
私はいま53歳。H-IIロケットの開発の終わりあたりから携わっている。

新たな世界への転換

自律的で持続可能な輸送へ

余剰予算を将来の投資に。国際競争力のあるロケットを。

政府の方針

民間事業者の主体的な参加。

H3ロケットとは?

要求分析

どんなロケットにするか。長い時間をかけて分析した。マーケティング…需要分析、競合分析、顧客要望(VoC)分析。

狙い

VoCを実現することを第一に考えたロケットに。
信頼性、価格、サービスが揃っていなければ。打ち上げだけでなく事業開発も。

どんなロケットかと聞かれるとこう答える。

狙いからコンセプトへ

3つのテーマ。コスト削減、信頼性、柔軟なサービス。

ライン生産:ロケットの受注がなくても淡々と生産を続けるように

新エンジンの開発に新しい開発手法を。民生の部品を使いつつ故障に強く。

受注から打ち上げまでの期間、打ち上げ間隔、射場での作業期間、それぞれ短縮する

H3ロケットのシステム概要

最低コンフィグは定常段階で50億円を目指す。

SRB4本では静止トランスファー軌道へ6.5トン。H-IIBよりひと回り大きい打ち上げ能力。

イプシロンと同様の方向性(技術をそのまま使っているわけではないが)。複雑な液体ロケットに自動点検機能を。

H-IIAロケットの打ち上げ間隔53日を半分くらいに。

射点について。新設備はあまり作らずすんだ。よかったこと。ロケットを変えたときVABの頭につっかえると建て直しになる。オリンピックのこともあり建設費が高い。立て直さずにすんでよかった。

ブロックハウス(ロケットの運用管制室)はいまほぼ全員MHI、その人々はほぼ全員外に出て離れたところから管制する。
100~150名の人員を1/3~1/4にするオペレーションを考えている。

ロケット技術の集大成

H-IIロケットは初の純国産大型ロケット。システム作りを獲得した。

H-IIAロケットは30機近く運用した経験。また基幹ロケットの高度化。

H-IIBロケットは主エンジンのクラスター化。

これらの集大成としてH3ロケットを開発する。

信頼性向上の取り組み

ロケットエンジンの開発はロケット開発の運命の半分くらいを担う。

本質的に低コストなエンジンに。

今までは最後までトラブルがわからない設計・開発手法だった。
シミュレーションを活用し、危ないところをなるべくつぶしておくというチャレンジに。

第1段エンジン:LE-9

燃焼器だけの単体試験(LE-X)

コスト半減への取り組み

H-IIAロケットの貴重な経験からフィードバック。

3つのポイント。システム構成の簡素化。低コストの製造・運用コンセプトを設計段階で作り込み、日本の得意な技術の活用。

搭載機器の再配分でコンポーネントを減らすなど。

あそことここに同じねじを使うなど。

ライン生産。準備作業や待ち時間を減らす。ラインに流しやすい機体にする。
モジュールにしておくことの利点。
主エンジンは2基か3基かで選べる。工場でこう流れてきて、最後に主エンジンを2基にするか3基にするか選んでくっつけられるようにしている。これがモジュール化。

固体ブースターの結合分離機構を簡素に。

種子島での作業を減らす。

目指す運用コンセプト

注文から打ち上げまで2年、打ち上げ間隔2か月、組み立て作業1か月を大幅に短縮する。

2020年以降は多数のロケットをどんどん打ち上げていく。

開発・運用体制


民間事業者とJAXAの役割


開発体制


今後の予定

開発スケジュール

2020年度に試験機1号機を打ち上げるためのラフなスケジュール。

開発が本格化するのはエンジン試験が始まる2016年後半くらいから。
エンジン燃焼試験、SRBの試験などなど。

個別試験に続いてシステム統合。2020年度の中で。そのまま年度内に試験機打ち上げ。

今年度は基本設計。2016年度は詳細設計。

まとめ

わたしの夢はこういう写真。

(冒頭提示された「だいち2号」の打ち上げの噴射煙が3つ並んだ写真。同時に3機打ち上げられるくらいの高頻度で回していきたい意気込みということのもよう)

質疑応答

日経新聞やの:システム概要について。SRBがついていないもの。これは静止軌道には行かないのか

岡田:静止軌道には行けます。運べる重量は詳細設計で決まる。いまのところ特段数字は決まっていない。

マイナビニュースかみやま:エンジンについて。LE-5Bを改良とのことだが具体的な改良点を。またLE-11エンジンはどうなったか

岡田:一番の改良点は長寿命化。H-IIAロケットのものより大きい2段目を運ばなければならない。タンクが大きいので。燃焼時間が延びる。
LE-11は当初の構想でいろいろトレードオフ。2020年に打ち上げを実現しなければならない。1段と2段をまったく新規に同時開発したことはない。そのチャレンジをしてもよいか考えて、長寿命化は必要だけれども今回は確実に開発できる方法を選んだ。
そこは最後にはある程度の決断をする部分。

読売新聞ふゆき:LE-5BからLE-9に代わるとき推力はどのくらい上がるか

岡田:LE-5Bは上段に使っているエンジンで推力は14トン。LE-5B改良型は14トンで変わらず。
LE-9は150トン。推力は10倍以上。LE-9の使い道は下の資料のように2基か3基を束ねて1段目に使う。LE-5B改良型は2段目に1基搭載。

ふゆき:どうやって推力を大幅に上げるのか

岡田:燃料をエンジンに供給するためにターボポンプがある。そのターボポンプを駆動するガスをどうやって作るか。
LE-5Bでは燃焼室の壁を冷やしている液体水素、それが燃焼室の壁を冷やして自分の温度が上がってガスとなる。
改良型はガスの作り方を変える。
LE-9では、駆動に力が必要な駆動ガスを燃焼室で作ってあげなければならない。
燃焼室を長くした。冷やす面積を増やすことでガスの温度がなるべく高まるようにしてそれでターボポンプを駆動する。
どうやってタービンを駆動するガスの熱を奪い取るかが肝心。
熱効率をよくする設計。

有田:製造の技術も新しい大きなチャレンジ。

フリーライター大貫:SRBについて。ストラット廃止以外にコストダウンなどの設計変更はあるか

有田:基本的にはほぼ同じ大きさ。若干の改良。
低コスト化のための改良。部品点数を減らす。モーターケース国産化。性能向上のために推力パターンを見直す。H-IIAから振動レベルを減らす。
一番大きな改良は結合方式を簡素にすること。これが一番目立つ改良。

大貫:大きさはSRB-Aと変わらないが別物か

有田:いまのヘリテージは最大限活用しつつ別物と考えていただければ。

宇宙エレベーターニュース秋山:SRBの検討についてノズルのジンバルをなくす検討があったがこれはどうなったか。
需要動向分析について。SSO(太陽同期軌道)の商業衛星を打ち上げることはあるか。また16ページの分析でコンステレーション(複数の衛星を協調させて運用する方式)を目指すなどはあるか。

有田:ジンバルはなくす。ジンバルがあるのは主エンジンのみで。
現状、商業衛星の市場を形成しているのは静止通信衛星放送衛星のみ。
SSOの民間事業衛星は上がってはいるが年間何機も上がらず数年に1機程度。静止軌道は年間20機程度の需要。
需要動向としてSSOは出てきにくい。
どちらかといえば官需中心となる。

岡田:待ち受け型だけではなくコンステレーションやタイアップも考えていかなければならないだろう。

森:SSO衛星は1トン前後で推移と考えておりH3よりはイプシロンなどやや小さいロケットになるかと思う。

NHKはるの:顧客の要望に応えるとのことだが画餅にならないか心配。価格についていえばH-IIAの半額は実現できるのか。
具体的な根拠、見通しがあれば示してほしい

岡田:今の段階では見通しがある。今は設計がまだ進んでいない。一番考え抜いて50億にはまっていないと先に進めない。今の段階では実現性があると考えている。
開発に困難はあるため試験をしてみたらいろいろ戦いが出てくるだろう。なんとか実現したいと思っている。

共同通信ひろえ:「このままだと10年後には輸送手段を維持できなくなる」とあるがどういうことか

岡田:10年後にはロケットを開発する人がいなくなる。ロケットを開発したことのない人ばかりになってしまう。JAXAもそうだし各企業もそう。
わたしも10年後にはここにはいないので開発できる人がいなくなる。
この打ち上げ機数では産業として徐々に先細りになってしまう。企業の撤退が宿命としてある。
10年後は正確ではなく「このまま放っておくと大変なことになる」という意味。

ひろえ:H3の開発コストは

岡田:政府の資料では1900億円。

日経新聞うえさか:50億という打ち上げ費用はあくまで年間5~6機生産する前提か

岡田:はい。標準的な打ち上げ価格をこれから作るときなにを前提にするか。
我々よりは三菱さん企業チームが考える。もっともいけそうな前提で。
少なくとも5機以上は必要。

13ページの資料。当初の打ち上げ価格(図の左)は年間3機くらいを見ている。これを半分にする(図の右)となると機数を増やさなければならない。

うえさか:タクト生産方式も考えているか

岡田:はい。細かい生産設計にはまだ入っていないが三菱さんに聞くと考え方の大きな転換について聞けるだろう。
タクト生産はロケットを4つのセグメントに分けて製造しつつ順繰りに同じタイミングで移動していくようなもの。

読売新聞ちの:打ち上げ間隔の「大幅な短縮」は具体的には

岡田:ものによるが半分くらいにしなければならないだろう。

ちの:在庫を抱えるリスクは三菱重工の責任?

岡田:はい(笑)。しかし我々も何もしないわけではなく事業開発をしていく。

ちの:打ち上げ能力6.5トン「以上」とあるがどのくらいまで打ち上げ可能になるか

岡田:設計が途中なのでなんとも。基本設計が終わった段階ではっきりさせたい。
というのは三菱さんは今までH-IIAのときはロケットが完成してから営業していた。今後は完成がある程度見えてきたら営業を始めないと立ち上がりが遅れる。
いろいろな数値が激変する設計を今しているので今はなんとも。

時事通信かんだ:資料21ページ、打ち上げシステムの簡素化について

岡田:打ち上げ作業は2か月間隔とすると準備1か月、作業1か月というのが現状。
損傷箇所の修繕がある。焼け焦げたものを直す。これを焼けにくくするなど。材料や設計など複数の方法を考えている。でっぱりの少ない発射台にして焼け焦げを減らすなど。
熱防御の断熱塗料も考えている。

かんだ:フェアリングのバリエーションについては

岡田:なかなか難しいですが…バリエーションをたくさん持つとさまざまな需要に的確に応えられる一方コストが上がる。
あまり種類を持ちたくない。H-IIBのような数にはしない。

産経新聞くさか:各事業者が新ロケットを開発している。H3がそれらと渡り合っていくにあたって独自の強みは

岡田:(間)ちょっと難しいですが…。
H3ロケットは基本シングルロンチ。機動力のある液体ロケットにしつつコストを下げたい。
分析する限り2020年に登場するロケットのデータを見ていくとシングルロンチでこれほどがんばれるロケットはほかにないと考えている。
加工についても日本は安く作れると信じている。ものづくりが強いから。
26ページ。同じものを作るなら日本が安いといいたい。

日本ならではのきめ細かさ、おもてなしができるはず。
サービスとものづくりで強みを発揮する、この2本立て。

読売新聞たきた:打ち上げサービスについて。H3の打ち上げサービスをMHIがやるのか

岡田:はい。

たきた:それは試験機の時から? 何機か上げてから移行するのか

有田:MHIとの基本協定では打ち上げサービス事業の実施も含まれている。
協定の中に試験機の製造はMHI。打ち上げの責任はJAXAがもつ。

たきた:試験機はいまのところ2機の予定とあるが衛星の受注は

有田:打ち上げの責任はJAXAがもつが、どういう衛星を上げるかなどはまだ決まっていない。

たきた:LE-7のラインはもう閉めるのか。LE-5系列を強化していくのはLE-7の設計で今後が見通せない面があるからか

岡田:LE-7とLE-5は兄弟みたいなもの。同じ液酸液水を使う。LE-7がなくなると液酸液水の技術がなくなるというわけではない。LE-7の2段燃焼サイクル、これはスペースシャトルのSSMEと同じだがここでいったん使用をやめる。
LE-7の技術は体系として残した上でエンジンサイクルとしてはLE-5Bを採用するということ。
エンジンのサイクルを絶ってしまうというようなイメージではない。

NHK水野:開発が順調に行って2020年に試験機打ち上げ、価格も50億円を達成できたとして、売れるロケットになるのは何年後を見込んでいるか。信頼性をアピールするには20機など打ち上げなければならないのか

岡田:本当はすぐに立ち上がらなければならない。ファルコン9を見ればわかるように20機打たないとお客さんがつかないということはない。
試験機が打ち上がったら次かその次には商業のお客さんの引き合いがあるような状況にしなければならない。そうでないと立ち上げがスムーズではない。
年間6機や10機に近づけるにはそれがあまり遠いと体力が続かない。事業開発はそこが工夫だと思っている。

東京新聞さかきばら:基本シングルロンチにしたいとのことだがデュアルロンチにもメリットはある。あえてシングルロンチにするのはイプシロン増強型との競合を避けるためか

岡田:デュアルロンチは輸送サービスとして運用していく難しさがある。相手が見つからないと打ち上がらないなど。
アリアンスペースもそういうところを苦労していると聞いたことがある。
シングルロンチが我々の方針。うまくいけばメリットがあるがシングルロンチで安い価格を提供していく。
デュアルロンチは求められればできるようにはしていきたい。

ニッポン放送はたなか:コスト半減、国際競争力を高めるには為替市場の影響などもあろう。影響度をどう考えているか

岡田:そこはシビアな話。為替レートの分析をしてある程度のところまでは競争力のあるロケットでなければならないという意識でやっている。
為替レートの変動にはそれなりに耐えられるように考えている。また為替レートのデメリットをキャンセルする購買の方法を考えたりしなければならないだろう。
本当の円高になったとき…1ドル100円を切るようなときは新しいことを考えなければならない。そのときはH3の発展をさらに考えるなど。
とはいえ為替変動はかなりのことを想定してはいる。

日経サイエンスなかじま:種子島のVABに合うように設計したのか、設計したら偶然うまくおさまったのか

岡田:おさまるようにがんばった。わりといいセンのサイジングができたので。一例でいうと天井につっかえないよう低いところから立つなどといった工夫をしている。

なかじま:打ち上げの管制場所を移動する目的は安全確保か

岡田:いいえ。ブロックハウスには150人ほどが詰めている。打ち上げ準備で仕事が終わっても外には出られないので残らざるを得ない人が出たりする。
日常の中で打ち上げられるようにするのが目的。仕事が終わったら帰れるように。人員削減とコスト削減の両方。

フリーランス大貫:種子島宇宙センターについて。老朽化が進んでいる一方H-IIの30年前の設備をそのまま使う面もある。老朽化対応が先送りになるということか。
また衛星を年間6機打ち上げるとなると衛星の受け入れ設備も増強が必要と思うがそれはJAXAがするのかMHIがするのか

岡田:種子島は塩水との闘い。サビサビのボロボロだったりする。そこを補修することで意外と使えたりする。鉄骨はイチから作ると高いが補修で寿命が延びる。
老朽化対策は今後も必要だが新しくするよりは安い。どうするかはケースバイケース。
衛星建屋については三菱さんとこれから話をします。ロンチサービス会社が建物を持っているという例はないかもしれない。

マイナビニュースかみやま:第1段エンジンを2基もしくは3基と選べることのメリットとデメリットは

岡田:メリットは能力の微調整ができること。デメリットはバリエーションが増えることで生産コストの上昇がある。そこは天秤にかけた。

かみやま:H3は再使用ロケットの方向性の検討はするのか

岡田:我々のプロジェクトチームとしてはない。採用すると

かみやま:最小構成で50億円とのことだがSRBをつけるバリエーションでの打ち上げ価格は

岡田:国際競争力の観点から具体的な価格についてはお話しできない。価格の話は三菱さんがこれから決めること。

毎日新聞さいとう:H-IIロケットの開発にも携わったとのことだが、世界中に市場を広げるロケットを作る上で従来の官需との一番の違いは

岡田:マーケティングを常にしながら開発している。衛星の需要動向、競合の動きなどを常にウォッチしながら開発している。
皆さんからすると当たり前じゃないかと思うかもしれないが。

有田:これまでは性能をよくすることに比較的注力してきたが、H-IIAで30機運用してみると運用にもけっこうお金がかかると肌身に沁みてわかった。
このロケットは維持や運用といった完成後も戦っていけるようなものにしなければならずそういったことを意識して取り組んでいる。

さいとう:開発には人材育成もあるとのことだが若い人にどういうことをしているか

岡田:ある程度やってみせはするが手を出したくなるところをぐっとがまんしたりはする。それは皆さん同じだと思う。
ロケット野郎にとって開発はめったにない人材育成の機会。この機会をのがさず取り組んでいる。

NVSかねこ:H-IIAはいつ廃止になるのか

岡田:いつごろかはいま検討中。宇宙基本計画でも今年度中に文科省が計画をまとめることになっておりお手伝いしている。
重要なのは、こういうふうに計画的にフェーズアウトさせるのは難しい。H-IIからH-IIAへの切り替えは(打ち上げの連続失敗で)一気に進んで、そういう面では楽だった。

宇宙作家クラブ渡部:横置きのまま部品を組み付けるとあるがどこまで横置きで進めるのか

岡田:細かな艤装品は横向きで組み付ける。火工品など。立てたときは1段と2段を結合してすぐチェックアウトに入れるような状況。
H-IIA/Bは立てたあと艤装しているものもある。それで下図の「機体組立」の部分は半分くらいに短くなる。この図の比率はかなり実際に即している。

岡田:最後に一言。
今日はありがとうございました。開発は緒に就いたばかりでほぼなにもしていない。設計しているだけ。いくつかの要素試験程度。
来年の後半から開発の山を上り始める。みなさんに情報をお伝えしつつ進めたい。ぜひ厳しい目、優しい目でよろしくお願いします。

(以上)

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