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はやぶさ2、最高の打ち上げ

これまでの流れ
今日の予定

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午前9時過ぎに宿を出て種子島宇宙センターへ。今日のTシャツは黒にした。黒は晴れると暑いが、ここで色の薄いTシャツを着るとかえって曇るような気がする。ジンクスを逆手に取ってみた。

種子島宇宙センターに到着し、報道席に三脚などをセッティングしていく。今回はiPhone 6Plusにワイコンをつけて、固定カメラで打ち上げを撮影することにした。音響はいつものミキサーにピンマイクをつなぎ、音レベルを絞り気味にする。

機材の全体はこんな感じ。

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ミキサーのダイヤルはこのくらいにした。(これだとちょっと大きかったことがあとでわかる)

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報道席からの眺め。

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たくさんのカメラが射点を狙っている。

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iPhoneも狙います。

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双眼鏡にデジカメを押し付けて射点を撮影。

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空は雲が出てきたり切れたりで快晴とはいかない。H-IIAロケットの打ち上げでは条件がよいと固体燃料ブースター(SRB-A)の切り離しを見られるが、この具合では難しいかもしれない。

打ち上げ1時間前、「エックスマイナス60分」の放送が入る。プレスルームのカウントダウンクロックが動き始めるはずだが…あれ?

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聞いてみたら故障しているとのこと。ニキシー管を使っているから修理もままならないらしい。それは仕方ないかも。でも残念だ。

打ち上げ時刻が近づいた。報道席へ出てiPhoneの撮影を始める。打ち上がった。離床の瞬間、射点には直視できないほどの光が現れる。双眼鏡はあるが、これを覗くのはSRB-Aの切り離し近くまでがまんする。なぜなら双眼鏡でズームして打ち上げを見てしまうと、見えるものがテレビやYouTubeと変わらなくなってしまうからだ。広い視野の一部に煙の柱が立ち、先端がゆっくりと宇宙へ上がっていく。わざわざここに来たからにはそれを体感するのがよい。

そしてiPhoneで撮れたのがこういう動画だった。この撮影は取材のおまけだからカメラは基本的に固定である。ロケットを追う動画はほかの人ががんばって撮影してくれるからわざわざ自分が貧弱な機材で狙う必要はない。

Launch of H-IIA rocket / asteroid explorer Hayabusa 2 from yimamura on Vimeo.

音が途中、ちょっと途切れてしまうのが惜しい。でもバリバリという衝撃波の雰囲気はうまく撮れたと思う。

SRB-Aの分離は報道席からちょうど雲の切れ目になり、双眼鏡で見ることができた。雲が多かった割に結果は最良である。打ち上げまでの10年近くにはさまざまな紆余曲折があったがちゃんと宇宙へ行った。打ち上げでもやきもきさせられつつ最後にはいい感じになるあたり、はやぶさの後継機らしいと思った。

それにしても今回の打ち上げは気分の高揚や感激がまったくなかった。打ち上げがうまくいくかわからない、いつもの緊張感だけがある。夕べまで打ち上げの実感がなかなか得られなかったのとはまた違う感覚だ。

目の前からロケットが消えても、はやぶさ2が切り離されるまでは打ち上げ成功とはいえない。切り離しは打ち上げから2時間近くあとである。さらにH-IIAロケットは今回から、2段目を2回燃焼させることになっている。このとき1回めの燃焼終了から2回めの燃焼開始までは1時間半もある。アナウンスが入るまでは安心できず、手持ち無沙汰な時間が流れた。

下の動画は、はやぶさ2の切り離しの様子である。

これで打ち上げは成功、いよいよはやぶさ2小惑星1999JU3へと向かっていく。

そうか。打ち上げははやぶさ2の旅の始まりにすぎない。だからこれだけで感激するようなものではないのかもしれない。

打ち上げ後の記者会見で、プロマネの國中均先生は硬い表情を崩さなかった。会見後のフォトセッションでは「もっと笑って」と何度も言われるが、無理して笑顔を作ろうとしているのがはっきりわかった。

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ロケットの側はお仕事が終わってほっと一息だが、打ち上げられた側はこれからが長い旅になる。今後のことを考えると笑っていられないのだろうと思った。

こちらとしては打ち上げがひとまず無事に終わり、初めてSRB-Aの分離を見られたし撮影も即席にしてはうまくいった。20時半すぎに種子島宇宙センターを出た。

しかし好事魔多し。西之表に戻ってきたところでパトカーにつかまり、一時停止違反をとられてしまった。とほほ。ゴールド免許の記録が途切れてしまった。

夕飯は鈴鹿でとった。

明日は東京へ戻る。

(2月4日記)