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思い出のマーニー

映画の日に観に行った。イギリスの児童文学を原作に、舞台を日本に置き換えている。

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー〈下〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー〈下〉 (岩波少年文庫)

思い出のマーニー (新潮文庫)

思い出のマーニー (新潮文庫)

主人公の中学生、杏奈は喘息の療養のため田舎の親戚のところで夏休みを過ごすことになる。そこで出会った不思議な少女マーニーとの交流を通じて杏奈は成長していく。

プロットがとてもよくて、いろいろな謎が解けていき人から人へつなぐ思いが明らかになっていく終盤はなかなか盛り上がる。また湿地をゆくボートは海や川と違って水面が静かなので独特の空気感がある。この描写は自分がむかし湖でこいだボートの感触をなつかしく思い出させてくれて気持ちがよかった。アニメを見てこのように自分の記憶がよみがえってくるのは実はすごいことだ。

一方でちょっと残念だなあと思うところもあって、一番は盛り上がるその終盤である。一人の語りでどんどん話をまとめにいってしまうところがもったいない。その人は事実を語っていますよという仕込みがもっと欲しいと感じた。

作画では水滴の表現が最近のジブリの水滴でこれも気になった。表面張力が強すぎるというか粘度が高いというか、ちょっと水っぽくない水になっている。「借りぐらしのアリエッティ」や「崖の上のポニョ」のようなファンタジーではこれもいけるが、この映画のような繊細な演出の作品ではそこだけ現実離れして見える。

そして最後に、これは勝手な希望なのだけどスタジオジブリにはもっとスケールの大きい話を作ってもらいたいとも思った。しかしこれは「思い出のマーニー」のイマイチなところではない。上のような気になるポイントもあらかじめわかっていれば大丈夫だし、とてもいい映画なのでみなさんぜひ観てみるといいですよ。

映画館で売っていた「マーニー」グッズから。

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観た人ならわかる日記帳。実物よりちょっと小さいですがこれなかなかいいですねえ。

(9月15日記)