3Dプリンタ「Replicator2」がやってきた

さる筋から3Dプリンタをお借りした。機種はMakerbotReplicator2である。

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個人向けの3Dプリンタで一般的な方式はFDM(熱融解積層)といって、樹脂を溶かして一層ずつ積み重ねていく。Replicator2もFDM方式で、扱える素材はPLAのみ。ほかの機種(後継機種のReplicator2Xなど)ではABSも使えたりする。ABSに対応している機種は造形テーブルにヒートベッドがついている。

PLAは比較的硬く、やすりがけや塗装には向かないとされる。ABSはいわゆる普通のプラスチックであり、出力後の加工が楽なのだそうだ。

じゃあABSが使える機種がとにかくよくてFDM方式の機種はすべてそこを目指すものなのかというとそうでもないらしく、Replicatorの最新機種はPLAのみの対応に戻っている。

さて、3Dプリンタでなにを出力するか。Thingiverseというサイトには3Dプリンタ向けのさまざまなデータがアップロードされている。ここの場合データのダウンロードは無料である。

3Dプリンタの出力見本でよく見るチェスのルークもThingiverseにある。

これは内部に階段があるなど、金型の一体成型では作れない形状になっている。こういうのも3Dプリンタなら一発出力ですよ! という宣伝に使いやすい。

しかし3Dプリンタならばどんな形状でもささっと出力できるわけではない。出力にはそれなりに時間がかかるし、データの形状によってはサポートつきで出力しなければならない。

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たとえば上のような直径2センチ、高さ1センチの円筒は、樹脂吐出時のヘッドの移動速度を秒速70ミリとしたとき10分以内で出力できる。ただしこれは内部の充填率(infill)を20%と低めに設定しているからで、infillを90%に設定したら約25分と見積もりが出た。とはいえinfillをそこまで上げるのはよほど頑丈に作りたいときである。通常のinfillは10%〜20%程度でよいと感じる。

またサポート(支え)は、出力時に樹脂が垂れないようにするのに使う。たとえばステッキのような形状をそのまま出すとき、FDM方式では手に持つ側の先端を空中に積層することになって樹脂が垂れてしまう。そこでデータの向きを変え、手で持つ部分が下になるように出力したり、それでも樹脂が垂れるときはサポートを一緒に出力してあとで手作業で除去したりする。

ちなみに材料となるPLA素材のフィラメントは、1キロで3000円とするとグラム3円。上の円筒はラフト(土台)含めて約2グラムだから約6円ということになる。

フィラメントは通常、本体の後ろにホルダーを取り付けて設置する。しかし我が家の狭い机にそのような空間はない。

こんな設置方法もある。

まずはReplicator2の手前に置けるようなフィラメントホルダーを作ることにした。

モデリングは使い慣れた123D Designで。

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これは軸部分のパーツである。全体は慣れた木工で作っておき、ずれてほしくないところだけ高精度な部品にする。なにも全体を3Dプリンタで作る必要はない。適材適所である。

モデリングができたらSTL形式で出力する。サポートやラフトは3Dプリンタの出力用ソフト「MakerWare」でつけてもよいが、オートデスクの「Meshmixer」はいい感じのサポートをつけてくれるらしい。

STL形式のファイルをMeshmixerで読み込み、サポートをつけて改めてSTL出力した。

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123D Designで作ったSTLMeshmixerで開くと、初期設定ではモデルが立ってインポートされる。最新版のMeshmixerでは「View」メニューの「Config」に「Flip Z-Y on Import/Export」があり、これをオンにするともとのSTLと同じ向きでインポートされる。

Meshmixer上でモデルを回転させるには「Edit」−「Transform」で赤い円弧をドラッグする。マウスポインタを目盛りの上で移動させると5度単位の回転になる。

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インポートした物体のエッジはなめらかに表示される。CG向けの表示方法だ。立方体を立方体としてパキッと表示してほしいときは、スペースキーを押して「Mesh」−「Normals」にある3つのアイコンの中央を選択すると各面がよくわかるようになる。

デフォルトの表示
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スペースキーを押してここを選択
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各面の形状がわかりやすくなる
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「Analysis」−「Overhangs」でサポートを付加する。各項目の内容は上の「3Dプリンターでのサポートの減らし方(Meshmixerの使い方)」で解説されている。

そのほか、「Y-Offset」はモデル全体を持ち上げる設定である。

うまい感じのサポートがついたら「Export」ボタンをクリックしてSTL形式で出力。

次にMakerwareで「Add」からSTL形式のデータを読み込む。「Put object on platform?」のダイアログボックスはどちらを選んでもよい(あとで手動で接地させる)。モデルが立ってインポートされたら「Turn」をダブルクリックして「X」の「+90°」をクリックする。

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「Move」の「Center」ボタンをクリックするとステージ中央のベースに移動し、最下部が接地する高さに置かれる。

「Make」ボタンをクリックすると出力ダイアログボックスが表示される。

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「Advanced Options」ではinfillや1層の厚み、印刷時のヘッドの移動速度などを指定できる。

「Raft」はラフト(土台)をつけて出力するかどうか、「Support」はひさしのような形状に出力のためのサポート材を付加するかを指定する。「Raft」はオンにし、「Support」はすでに付加してあるのでオフにする。

Preview before Printing」をオンにしておくと、「Make It!」ボタンを押したとき素材の重さや造形にかかる時間などが表示される。

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これで出力の準備は完了だ。

ところでフィラメントホルダーを作るまでのフィラメントホルダーをどうしよう。

ひとまずブックエンドとクリップ、ペンを使ってこうした。

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さあ出力してみよう。

失敗例を2つ。手前の部分が途中ではがれてしまった。2つまとめて出力しようとしたが失敗するとダメージも2倍である。1つずつ出すことにして、ヘッドの移動速度も落とすなどして出力し直す。

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うまく出力できるとこういう感じになる。

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ラフトやサポートは手で簡単に外れる。

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1x4の端材を凵の字に組み付けて、先ほど出力したパーツを載せればできあがり。

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(接地部の面積が小さいため倒れやすいとわかり、あとで足を拡張した)

さて次はなにを出力しようかな。

ところでいま3Dプリンタを買うならどの機種がいいかというと、自分の情報収集の範囲ではAFINIA、それと同型のUP! Plus2、もしくはもうすぐ発売されるCube 3なんかがいいんじゃないでしょうか。いずれもABSを扱えて16万円くらいです。

AFINIA H480 3Dプリンタ

AFINIA H480 3Dプリンタ

あとこちらの本もよろしくお願いします。3Dプリンタでなにができるのか、どんなふうに使われているのか、などの情報が満載です。

3Dプリンタ デスクトップが工房になる (インプレスムック)

3Dプリンタ デスクトップが工房になる (インプレスムック)

(8月7日記)

追記:フィラメントホルダーのパーツをThingiverseにアップロードしました