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はやぶさXRSに係る論文撤回の申し入れに関する記者説明会(の質疑応答)

事前配布物


記者説明会開催日時

  • 2014年8月29日(金)15:00~
  • 於:JAXA東京事務所地下1階プレゼンテーションルーム

登壇者

公式発表と配布資料

中継録画

質疑応答

(あくまで概要です、正確な内容は動画をご覧ください)

時事通信かんだ:かぐやのHW的不具合を受けて再点検する中でわかったのか、論文に対してこれはおかしいという指摘があって再点検?

藤本:「かぐや」でおかしいということは…という経緯。

かんだ:この指摘がなされるまで、筆者サイドで気付いたことはあったのか

岡田:これに続く論文があり、著者の中では事実上発覚していた。しかしその情報の共有はされていなかった。生データに戻らなければならず専門的なこと。(…)キャリブレーションが違うという情報が共有されたのはだいぶあと。

かんだ:本論文のみの話なのか

藤本:普通コンドライトであるという結論に変化はない。

かんだ:同種の間違いがXRSを使ったほかの宇宙機で生じる可能性があるか

藤本:それはない。XRSを解析した論文は2本。2本目は1本目をある程度修正している。引用している論文は45くらいある。多くは参考情報として引用しておりそれらの論文の結論に影響は与えない。


共同通信すえ:ほかに修正を検討している論文はあるのか

藤本:今のところそういう話は聞いていない。

すえ:資料の17~18ページと較正の話はどう結びつくか

藤本:信号が強ければ間違いようがないが弱いとノイズを誤認しやすい。条件がこうならこう出るだろうという思い込みがあり、それに従う結果が出たため理想的な条件での考えのもと解析を進めてしまった。
データを見た上で係数を決めていく。信号が弱くほかの原因が作る、ラインのように見えるものを正しい信号だと誤認してしまった。もしかするとノイズかもしれないというところに思いが至らなかった。

すえ:おかしいと思った人はなぜ言い出さなかったのか

岡田:学生だったのでそういうことを言い出さなければならないということに思い至らなかったのではないか。


赤旗なかむら:データ解析が間違っているのではないかと気付いたのは論文が出る前だったのか

岡田:気付いていたとは思うが…。

藤本:当該論文は2006年、次の論文は2008年に出ている。2本目の論文の主要著者は別の解析方法に気付いていた。そのときもっと議論をして訂正するかどうかを話題にしていればと思う。
一番観測条件がよいと思われるデータを使って解析した。観測条件が悪い時のデータも使って時間で信号を稼ぐという方法もあるがまったく異なる手法であり異なる論文になるだろう。それを実際に行うかどうかは先生方が考えること。


ニッポン放送はたなか:ゲインとオフセットについて

岡田:ゲインが2倍になるということは距離が2倍になるということ。

はたなか:

藤本:結論を出せないので論文を撤回するということ。

はたなか:S/N比がよい条件はなかなか出せなかったのか

岡田:10ページのグラフ。強い太陽フレアが発生したときは強いピークが出る。実際は16ページ参照。ほとんどの時間なにも出ない。

はたなか:ミスとしてはどういうレベルか

藤本:けっこう恥ずかしいこと。論文の撤回はすごいことなので。根本的に準備不足。信号が弱かったときどうするかなどの戦略をもっと考えておくべきだった。
根本原因にこういうデータが取れるはずという思い込みがあった。探査でこういうデータが出るはずと思うのだったらなぜ探査するのか。思い込みがあると目が曇る。探査計画を立てるときに「ここを探査するとこうなるはず」と書く。実際にやるときはそれをいったん忘れて、ある種謙虚な気持ちを忘れてはいけない。
本人たちはこういうことをなかなかこういう場では言えないだろうから代弁させてもらった。


朝日新聞なめかた:2008年の2本目の論文はどこに載ったどういうタイトルのものか

JAXA:あとで回答します。(→「Earth Planets and Space」2008年vol.6、21ページから)

なめかた:外部委員の構成は

藤本:委員長はISAS副所長。外部は2名の有識者に参加していただいている。

なめかた:意図的な改ざんはないという結論に至ったことについて

藤本:最初から疑っていたというと必ずしもそうではない。

なめかた:はやぶさの特集号が出たときの1本であろう。データが不十分だったのに多少無理があっても論文として提出するという動機がこの論文が出された理由にないと言いきれるのか

岡田:解析の手法に問題があったとあとでわかった。妥当だったかは別として、決めたプロセスにのっとって答えを出したということ。研究結果に問題があると自覚しつつ論文を書いたわけではない。XRSの十分なレビューがされていなかった。データ処理に問題があり気付いてもおかしくはなかった。事前のレビューが足りていなかった。ただ無理をして出したというつもりはない。

藤本:特集号ということでおっしゃっているのだと思うが、論文の撤回は大きなペナルティになる。特集だから無理してでもということは科学者は行わない。
思い込みと準備不足があると止まるものも止まらないということが今なら言える。ほかのアドバイスを求めればよかったかもしれないが。
特集だからということはない。

なめかた:岡田さんは今後どうするか

岡田:使用したデータだけでは統計的な精度が得られない。時間での積分を行い再解析を行う。論文になるようであれば投稿する。


NHKはるの:はやぶさのHWに問題はないという結論だったから取れたデータにも問題がなかったということか

藤本:ここで見えているのがすべてノイズかというとそうではない。
データが十分ではないとできない作業だった。


時事通信かんだ:教訓としてはXRSに限らず情報共有の問題だった。理研でもそうだった。今後の防止策は

藤本:今回のことがきっかけではなく、風通しをよくしようという試みはすでに進めている。
はやぶさ2宇宙研だけでなく日本の科学者を広く集めて進めている。どういう論文を書けるからとかではなく広く意見を。
オープンに議論する場を設け、観測器ごとにどういう論文を書きたいかのウィッシュリストを作ったり。統合サイエンス会議を作っている。
はやぶさではそういう雰囲気があまりなかったという反省。


NVSさいとう:今後小惑星帯でのX線蛍光分析を行うならどんな手法がよいか

岡田:チェックをするためのX線の線源を搭載しときどき照射してキャリブレーションを行う。これはケアにいろいろ手間がかかるがそうしたい。
トータルの重量では大変だが小型軽量でできるようになっているので今後はそうしたい。

藤本:宇宙機のリソースには大きな制限がかかっているし悩みどころ。