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米国における宇宙探査の検討事例に関する記者説明会

取材

日時

  • 2014年7月30日(水)11:00~


登壇者

  • 政策研究大学院大学 教授・学長補佐 角南篤(すなみ あつし)
  • JAXA調査国際部 部長 吉村善範(よしむら よしのり)
  • JAXA調査国際部 調査分析課 主任 杉田尚子(すぎた なおこ)

中継録画

  • 音声が出るようになるのは00:15ごろから
  • 07:55ごろ音声ソースが切り替わる
  • 31:03くらいまでは基本的に資料の読み上げのみ
  • 質疑応答は39:30以降

米国における宇宙探査検討の背景

登壇者
JAXA調査国際部 部長 吉村善範(よしむら よしのり)

どういうところでこういうものが出てきたかを説明する

米国ではこういう動きがあるという説明をしたい

共和党で目的地ドリブンな政策が出てきて民主党がその火消しをしているという流れがある

検討事例のご紹介

登壇者
JAXA調査国際部 調査分析課 主任 杉田尚子(すぎた なおこ)

NRC

「探査への道筋」ダウンロード可能、300ページほど

概要をJAXAで作った

重要そうなところはハイライトしてある


CSIS

30ページほど。国際関係の視点からの分析


マーシャル研究所

America’s Space Futures: Defining Goals for Space Exploration

America’s Space Futures: Defining Goals for Space Exploration


コメント

政策研究大学院大学 教授・学長補佐 角南篤(すなみ あつし)

私はワシントンのジョージタウン大学を出て政策そのものの勉強をしてきた。

アメリカのシンクタンクから出された3つの政策提言、その背景を自分がたぶん一番わかっているだろうということでコメントをさせていただく。

今日紹介の3つのレポート:ワシントンが選挙色が上がっている。オバマ政権は最終局面。

就任当初、宇宙政策は月にもう行ったから次はということについて。

アメリカの宇宙政策について検証。

3つの研究機関の特色は以下。

NRC

学術会議」的。自分は「そうかなあ」と思うがアカデミーが中心。NRCは日本の福島原発の事後検証を学術面からしていたりする
サイエンスと意思決定のバランスが重要。
アカデミーを中核とした仕上がり

CSIS

宇宙は政治的判断という表現があるように、中国の台頭に対してどういう戦略を持つべきかを明確に出している
中国との付き合いの制限を見直すべき
中国との交流も視野に入れるべき
外交・安全保障的な考え方はNRCと違いが出ている

ジョージ・マーシャル

アメリカの技術力を正しく評価することが欠かせない
技術面で客観的な立場から評価
能力を重視、技術の獲得を重視する提言につながるのもなるほどと思える
各機関からの3つの提言のどれがどう政策に反映されていくか注視が必要
これから選挙が近づき政治的なシーズンに入ってくる
アメリカの政策決定はシンクタンクからそれぞれの見方から出てくる提言をどう拾うか
「ゴミ箱理論」:たくさんゴミ箱に入ってくる提言のどれを拾うかという話
それぞれの提言を評価していくことが重要
よく調査して政策動向を把握し、自分たちの宇宙政策を決めていくことが重要

質疑応答

NHK室山:素朴な素人質問。読んでいると結局有人宇宙開発をする意義を探しているふうに読めるがなぜ実際行うのか
NASA存続や科学者の存命もあるのかもしれないが。
5ページの「有人宇宙飛行の正当化」とは具体的には。
有人宇宙開発の意義は安全保障との関係でどう位置付けられたらいいのかいまだにわからない。無人の宇宙開発はよくわかるのだが
国威発揚はわかるが抽象的な話に戻っていってしまう。
資源についても深宇宙の資源を地球に持って帰れるとは思えない。宇宙進出の足掛かりにはなるだろうが地球にいる人たちとの関係は? ともやもやしてしまう
自分は有人宇宙開発の賛成派だがどう見ればいいのか1分ほどで教えてほしい

吉村:明日のシンポジウムでも。
アメリカの分析についてはそもそもなぜ有人という議論が起きるか…政治的な関心がない。「そのままある規模で放っておく」という状況。それをふまえた議論になっている。
意義を再確認するべきという提言になっている。
なにを目標にするべきか政治が決めて、NASAはそれに従うようにすればよいはずとしている。
ケネディの演説の時代から変わらずに現在まで引っぱってきている。
政権における政策のずれ、議会ごとの考え方の違いがありまとめられないことに対してもう一度考え直すべきという動き。
有人宇宙開発の優先順位の問題でもありなんのためにしているか優先順位をつけることが重要と言っているように感じる。

角南:アメリカの場合、政策が決まるとそのまま執行組織が作られ残していく傾向。それをマーシャルは痛烈に批判している。ゼロベースで考え直すべきとしている。
政策のイナーシャが継続してしまう。
NASAへの強烈な政策がなかったという批判もありNRCとマーシャルは立場がずいぶん違っている。

フリーランス秋山:角南先生へ。NRCのレポートについて。オーガスティン報告書への懐疑論かなと受け止めた。オーガスティン報告書では獲得できる能力が足りないということなのか

角南:必ずしも反論というふうには読まなかった。さまざまな可能性をオプションとして考えていくべきということからくる印象ではないかと思う。

吉村:オーガスティンレポートでコンステレーションプログラムをつぶした。そのあとそのまま行っているかというと議会との綱引きがある。
目的地指向のものが出てきていて議会からの問いかけに答えている。
議会からのプレッシャーでオライオンなどの計画がありこれは目的地なしに技術だけ出てきてしまった。
それへの反応がこれらのレポート。書かれていることはそんなに違っているとは思わない。

共同通信すえ:日本についての記述がほとんどないようだ。日本についてどう書かれているか、政府にとっての位置づけなどを知りたい

吉村:確かに日本は出てこない。アメリカを中心として見たときヨーロッパと同列程度かなと思う。
関心はあり先方に聞きたいが…。
中国やインド、ロシアがメインのコンテクストになっていてたまたま抜けたのではないか。

杉田:日本について少しは書かれているが大きなプレーヤーである中ロと比較して小さい。
戦略的意図をもって動いているとは思われていないようだ。

角南:CSISは日本とも縁が深い。このレポートの大きな目的は宇宙をめぐる国際環境の変化。
日米、欧州の協力体制と外から変化を与えるファクターとしてのインド。
さまざまな依存関係がありドイツは中国と積極的に交流している。そのあたり自然な書きぶりかなと。

(聞きそこね):新たな目標が必要という記述について、またISSを使い続けるのか。NRCではISS後をどう分析しているか

杉田:CSISISSについては具体的にこうすれば再活性化するとは書かれていない。価値は認めつつルーチン化された活動としている。ISSより遠くの目標がなければ国としては盛り上がらないだろう

吉村:数字はあたりをつけている程度。新しいことをするにはお金が足りない(オーガスティンレポートでも類似の指摘)

角南:マーシャルはISSの議論をなるべく早く政治的関心を呼ぶようにするべきとしている。使用期間が終わりに近づき続けることを前提になにかしていくには技術的な問題がおきたとき克服する政治力がないのではと。政策は大きな理屈がなければ、また後ろ盾がなければ転換できない。あと数年間なにかが起きたらどうするのかと警鐘を鳴らしている。
ISSの次を持たなければISSの次をどうするかが政治的インタレストにつながらない。
そこをふまえた政策提言になっている。
アメリカも日本に似ているがそもそもなぜするのか、政治的回答を出すのに悩んでいるようだ。
NRCは費用対効果(インベストメントアンドリターン)が宇宙についてはわかりにくいとしている。ほかのライフサイエンスやリニアコライダーと比べてどう評価するか悩ましい
政治的な意図を持たせるのに苦労しているようだ
アメリカに答えがあるわけではなく日本と共通の悩みがある

NHKはるの:NRC報告について。ARMという目標でいいのかとある。オバマ政権はなにかリアクションを起こしているか

吉村:直接NASAや政権がレスポンスしてはいないようだ。この報告をもとにこれから議論が進むのでは。

はるの:当面この状態が続くのか

吉村:これから政治的な議論、議会や行政府とのやり取りが発生するのではないか。

司会:明日国際宇宙探査シンポジウムがある。ぜひ参加してください。