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イプシロンロケット関連の番組3本

9月14日に無事打ち上げられたイプシロンロケットの番組が3本放送された。同じイプシロンロケットを扱う内容でも、それぞれの番組の個性がよく出ていて面白かった。

ドキュメント72時間

各種のイベントや生活の場所など、なにかの「現場」を72時間撮影するドキュメンタリー番組。テレビ的に見栄えがするような人は出てこず、普通の人たちのいろいろな暮らしがうかがえるよさがある。という話を昔書いた。

今回はイプシロンロケットの打ち上げを迎える内之浦の様子を72時間撮影している。といっても当初の打ち上げ予定だった8月27日(d:id:Imamura:20130827:epsilon)の打ち上げ時刻までの72時間だから、見ているこっちはその日の打ち上げが中止になったことを知っている。打ち上げに向けての非日常性と高揚感、そして打ち上がらなかった落胆。それでもあの時の現場の雰囲気はナレーションが「(打ち上げは中止になったが)不思議とみんなの表情は暗くない」と言っていた通りで、なんかみんな笑顔だった。

この番組は72時間を撮るのが目的だから、その後9月14日にイプシロンロケットがちゃんと打ち上がったことは最後の最後に数秒間、止め絵で伝えるだけだった。イプシロンの打ち上げが目的でこの番組を見た人には不満が残ったかもしれない。しかしこれがこの番組のいいところ。

夢の扉+

こちらはなにかを成し遂げた人にフォーカスするドキュメンタリー番組。イプシロンロケットの森田泰弘プロマネを密着取材している。

面白いのはイプシロンロケットがどんなロケットかはごくあっさりすませてしまうところ。「人工知能を搭載したので人員を減らせます」とは言うけれど、人工知能でなぜ人を減らせるのかまでは説明しない。この番組は技術的な難しい話よりも、それを手がけたのがどういう人かを伝えようとしているのだからそういうものだ。

とはいえ、打ち上げ中止を経た9月14日の打ち上げを「2度目の失敗は許されない」とか言ってしまうのがこの番組らしいうかつさでもある。8月27日の打ち上げ中止は失敗ではないし、「延期は許されないから」と打ち上げちゃってドカーンとなるよりは中止にするほうがずっとよいはずだ。

それはさておき森田先生はいつも笑顔のリーダーで、下にいる人には頼もしいだろうなと思った。

サイエンスZERO

ロケットファンにはこの番組が一番楽しめただろう。ゲストはもちろん森田プロマネで、イプシロンの技術的革新や今後の打ち上げ計画の紹介などをたっぷりとやってくれた。これもこの番組らしい作りである。

どの番組も14日の打ち上げから約2週間で放送されているのが面白い。テレビ番組の制作ペースはどこも似通っているということだろう。

番組内で紹介されていた、イプシロンに載せる小型科学衛星の計画は「小型科学衛星専門委員会」のサイトに。

ちなみにここの「第3回シンポジウム」の資料に「イプシロン開発の現状と将来の構想」というPDFがあって、イプシロンロケットを将来どう発展させていくかがかなり詳しく書かれている。

そういえば11月の「鶴瓶の家族に乾杯」では内之浦を訪ねるらしいですぞ。

(10月13日記)