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グルスキー展を見てまた鹿児島へ

8月27日に予定されていたイプシロンロケットの打ち上げを取材しに鹿児島へ行ったが、打ち上げは直前に中止になった。

前回の打ち上げ取材

その後原因究明や総点検が行われ、9月9日に「14日以降に打ち上げる」と発表された。

今日はまだ、14日以降のいつ打ち上げる予定か発表されていない。昨日の記者説明会では「いま最終的なチェックをしている」とのことだったから、そこで問題がなかったら14日に打ち上げられるのだろう。もし問題があったら…さてどうなるだろうか。

今日は15時20分の飛行機で鹿児島へ行くことにしている。14日に打ち上げられるなら明日の13日にY-1ブリーフィング(前日記者説明会)があるだろう。しかしまだわからない。向こうに着いてから「打ち上げは15日です」とか言われたらやだなあ。しかし14日に打ち上げられるかもしれないから行かなければならない。

国立新美術館ではアンドレアス・グルスキー展をやっている。行こう行こうと思ううち、仕事がまったく忙しくてなかなか行けないまま16日の最終日が近づいてきてしまった。

http://gursky.jp/

イプシロンロケットが14日に打ち上げられ、15日に東京に戻れれば16日にグルスキー展に行くことはできる。しかし打ち上げが延期になったらもう行けないだろう。どうしよう。決めた。今日の午前中に行くことにした。

鹿児島への荷物を持って乃木坂へ行き、コインロッカー2つに押し込んでグルスキー展を鑑賞。いやーよかった。

グルスキーの写真はとても広い範囲を正確なパースで撮っている。「写真なんだからパースが正確なのは当たり前では」と思うかもしれない。しかしカメラのレンズには多少のゆがみがある。それに壁にかけられた額など長方形のものをきっちり四角に撮るのは案外難しい。グルスキーの写真にはそういうもやもやがなく、平行なものはとにかく平行で、垂直なものはすっと垂直に、そして写真全体にびしっとピントが合って撮られている。その気持ちいい画面が縦横数メートルの巨大さでプリントされているのだからたまらなくすごい。離れて全体を見、近寄って部分を見る。前後移動すればズームもワイドも自由なのだから人間の目は便利だ。近寄って見ると視界いっぱいに絵が広がる。アイマックスシアターのようだ。最近の普通の映画をかける「なんちゃってIMAX」のことではない。縦横10メートル以上の巨大スクリーンで広角の映像を見せるもので、視界全体に映像が広がるため臨場感がある。しかし今はもう日本に(本当の)アイマックスシアターはない。いつ行ってもすいてたし仕方がない。

グルスキーは巨大スクリーンの代わりに巨大なプリントで見せる。そして写っている範囲はとても広い。広い範囲のここに寄って見るときとあそこに寄って見るときには時間差が生まれ、1枚の写真の中に絵巻物のような時間経過が盛り込まれているように感じる。一方で世界をひと息に見渡せる神の視点も持つことができる。超広角の構図を巨大なプリントで見ることでのみ得られる不思議な感覚である。

図録を買ったがこれだけを見てもグルスキーの写真を見たことにはならない。こんなに小さく印刷されたのではあのダイナミズムは感じられない。この図録を見てもよいのはオリジナルを見たことがある人だけだな。

図録はとてもしっかりした造本で、これを鹿児島まで持って行って持って帰るのは重かった。

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会場の出口には「ここだけ写真撮っていいですよ」コーナーがあった。

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あえて斜めから撮っているのは、これをグルスキー的に真四角に撮ろうとしても徒労になると考えて。普通のカメラのレンズではどうせゆがんでしまうんだ。

そして国立新美術館に来たらこの構図で写真を撮るルールです。

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しかし今回は影がなくてあっさりめの仕上がりになった。

前回(2010年)
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前々回(2007年)
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国立新美術館の外側はくり返しがすごい。

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そんなこんなで乃木坂から羽田空港へ移動して、15時20分のスカイマーク305便で鹿児島空港へ。

途中の富士山はこんな感じ。

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鹿児島の手前あたりでは雲がスペクタクルでラピュタ的だった。

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鹿児島空港には17時15分到着。17時40分ごろ空港近くのレンタカー屋を出て、途中荷物を積んだりしつつ鹿屋に着いたのが19時40分くらい。前回の鹿児島来訪から2週間ほどしか経っていないのに道中はずいぶん秋らしい空気になっていた。

(9月23日記)

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