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防災の日に『関東大震災』を読む

吉村昭の『関東大震災』を読んだ。今年は関東大震災から90年である。

新装版 関東大震災 (文春文庫)

新装版 関東大震災 (文春文庫)

1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分、相模湾震源とするマグニチュード7.9の大地震が起きた。

関東大震災の模様をどこからどう描くか。この本はこんな内容になっている。

(実際の章立てとは違います)

  • 震災前の地震学と前震
  • 地震の模様と被害
  • 火災、特に3万人以上が亡くなった旧被服廠の被害
  • デマの伝播による朝鮮人社会主義者の殺害
  • 遺体処理
  • がれき処理
  • 各国の救援
  • インフラの復旧
  • 避難住宅
  • 震災後の地震

吉村昭の文章は冷静で淡々としている。そこが自分にはいい感じ。

地震では助かったのに、デマで殺されてしまった人がたくさんいる。ここはずいぶん詳しくまとめられている。この時代は朝鮮人だけでなく社会主義者への警戒感が強かった。なにしろ1923年といえばソ連成立の翌年だ。各国からの救援物資のうち、ソ連からのものは断ってしまったということも書かれている。そういう大正時代の世相もわかって興味深い。

(9月19日記)