イプシロンロケット試験機 打上げ中止原因究明・対策結果および特別点検状況についての記者説明会

登壇者

中継録画


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(4:00ごろ開始)

配付資料

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原因究明対策の結果および特別点検の状況について

森田:8月30日以来のご説明。中止の原因をおさらいしその対策についてお話したい。前回話したとおり特別点検チームを立ち上げ総点検を行った。あわせてお話できればと思う。

資料p1

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資料p2

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p4まではこれまでのおさらい
自動シーケンスが走っていて19秒前に止まったこと
M台地とイプシロン管制センターの距離は約2キロ
LCS(地上コンピュータ)からOBC(搭載コンピュータ)へ指令を送った
搭載コンピュータからデータが送られてきておらず誤判定、7/100秒の時間差によって停止した

資料p4

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2回のリハーサルについて。なぜ見つからなかったか
1回目:監視設定値が不適切
2回目:雨のためランチャ旋回できず

資料p5

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その後どういうことをしたか

  1. LCSでの姿勢監視をOBCの姿勢計算値受け取り後に開始するよう変更
  2. 同類のことがほかに起きないかを総点検。通常の確認作業では実施しないレベル。通常はチームごとに分かれてその中で確認作業をするがその枠を超えて横断的に点検。監視は難しいがそもそも機体の正常を適切に監視しているか、また監視項目の妥当性を点検。しきい値の範囲、監視開始時刻をこれまでに得られた最も詳しいデータにもとづいて再確認
  3. JAXAの信頼性統括という部署が総点検
  4. (これは補足)再点検期間にフェアリング(ロケットの先っぽ)の断熱材の一部が接着不足と判明、補修

資料p6:対策と再点検の妥当性確認

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シーケンス試験(9月5日)

実際には飛んでいかないしくみを構築、発射直前までと直後からのシーケンスを試験。ロケットが整備塔の中で実施。試験用ソフトウェアを使用(これを使わないと姿勢がおかしいと判断してノズルをガンガン振ってしまったりする)。
ロケットは打ち上がってしばらくすると斜めに傾いていく。衛星を切り離すときは地面と平行に飛んでいる。飛んでいないのに飛んでいるものとして試験するために、ノズルを動かすパターンを決めておきその通り動くかを点検した。

シーケンス点検(9月8日)

リハーサルに近い試験。ロケットをほとんど発射状態にして試験。そのまま試験を進めるとロケットは飛んでいってしまうから直前に止める。
前回のリハーサルでは発射15秒前の熱電池駆動まで行かず18秒前に止めている。熱電池は起動すると使い捨て。今回は熱電池を駆動。5秒前まで試験した。
2つの試験を通して監視項目、監視時刻、監視のしきい値などを確認。
※シーケンス点検後に評価したところ監視設定が監視項目要求に対応していない2項目が見つかり修正。これは今日終わろうとしている。

資料p7:(別紙)特別点検チームによる再点検

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(武内参与から)

  1. 特別点検チームの設置目的
  2. 点検の基本的な進め方
  3. 特別点検チームの視点と点検・提言事項
    • 全体系がきちんと動作するか
      1. 自動停止監視項目設定の見直し:しきい値を適切にし止めなくてもよい場面で止めたりしないように。シーケンス点検のデータは現在確認中。全体をよく見てからGOを出す。
      2. 打上イベントに関する確認範囲の拡充:自動シーケンスを開始してからどこまで行けるかを相談、従来は18秒前で止めていたが熱電池を起動してそれにロケットがちゃんと反応する5秒前まで確認した。
        • 17点を変更。
    • 打上管制隊各部門間の連携・習熟度の向上
      1. ドライランの実施
    • その他、チーム長が必要と判断する事項
      1. フェアリング断熱材の一部接着不測を是正:打上げに支障がない対策になっていることを確認
      2. 衛星健全性確認の前倒し:9月9日に健全性を確認、良好という結果

質疑応答

南日本放送たけうち:(武内参与へ)14日予定の打ち上げに向けた総合評価を

武内:14日に打ち上げ決定はしていないが提言に対しては熱電池の起動、習熟度の向上など対応していただき問題ないと確認。残っているのはシーケンス点検のデータで現在作業中。

たけうち:打ち上げに向けて問題はないのか

武内:現在確認中のところを除けばほかは念には念を入れておりOKと判断している

鹿児島テレビかみおか:(武内参与へ)100分の7秒の見落としについての見解は

武内:見落としたというのが現実。気がつくべきタイミングはあったと思っている。本人たちも理解していることだがもう少し気持ちが及べばわかっただろう。再発防止としては「視点1」の1。チーム員が点検に直接参加、監視項目すべてについてしきい値などを膝詰め談判の形でチェックした。点検チームのメンバーはJAXA内の全員を呼んだという自負がある。今までの経験で気にすべきことをすべて出した

NHKの?:フェアリングを是正しなかったらどんな不具合があったのか、見落としがあったのか

武内:気づかず飛んだときについては、直接解析をしていない。その部位は実際のフライトで気づかず飛んでいくかもしれない。
ポイントは直すべきところをちゃんと直したということ。
フェアリングそのものについては自分たちが入る前に起きている。点検チームと違うところで見つけたかも

?:気づかず飛んでいった場合どんな問題が起きただろうか

武内:我々の目的は不具合を直すこと。

読売新聞の?:接着不足の原因は

武内:評価した側からしゃべらせてもらうとつけ方に難しいところがあったのは事実。
接着不足は施行不良、それをチェックできなかったのが第一の原因。

?:7/100秒のずれの対策について

森田:送り手、受け手の両方で修正。タイムスタンプを見て地上のコンピュータが判断。時刻の余裕も2/10秒、7/100秒より十分余裕を持って監視開始としている。

毎日新聞つしま:自動停止監視項目の是正について

武内:今まで17項目だったのが2項目増えて19になった。

つしま:どういうタイミングやしきい値を直したのか。わかりやすい例はあるか

森田:いい質問。ロール角のようにデータが来てから監視を始める、監視開始時刻を余裕が出るようにした。ほかに監視の設定値については、電流をモニタしているところでノイズは乗りやすい。ノイズを謝って判定しないようしきい値を念のため多めにとったり。

つしま:フェアリングの接着不良は具体的にはどのあたり

森田:フェアリングはコーン部(ななめのところ)とシリンダー部(筒のところ)がある。またフェアリング全体は半分に分割される。分割線の近く、ちょっと足りなかったところに断熱材を追加した。その接着が足りなかった。コーン部に1か所、シリンダー部に数か所。

時事通信いそべ:監視時刻の余裕を増やしたことで作業に影響はないのか。また2項目の修正を今後行うとのことだが点検チームが気づいていなかったものなのか

森田:監視をゆるくしたといっても機能に影響するほど大きいものではない。万が一のノイズが大きく出ても悪くならないようにというもの。
2項目についてはリハーサル後の確認で見つかった。点検範囲は日々広く深くしていった。継続的に行う作業。今日終わろうとしている。リハーサル後も点検していて見つかったものでありぎょっとするものではない。

武内:データをみんなでチェックしたことで見つかったもの。点検チームが入ったことで見つかったという効果はあったと思う。

(東京会場へ)

NHKこぐれ:武内参与へ。フェアリングについて。万が一そのまま打ち上げていたら失敗につながりかねないものではないのか

武内:場所などを個人的な感覚で申し上げたがそういうところをちゃんと直して飛ばすことが重要。

こぐれ:人為的なミス、もっと早く気づくべきだったのでは

武内:早く見つけなければいけなかったというのはその通り。

こぐれ:総点検でフェアリングのほか課題がわかったが率直な感想、受け止めは

森田:もともとイプシロンロケットは旧宇宙研と旧NASDAを融合した日本の宇宙ロケットの集大成として進めてきた。知識の深さでより拡充された中で7年間研究開発してきた。力を出し切ってきた。絶対打ち上げ成功間違いなしという気持ちできたが打ち上げ延期の特別点検でさらに深いところで点検されもともと持っていた強固な自信がさらに深まったと感じている。

時事通信かんだ:(森田プロマネへ)タイムスタンプつきのデータが来たかどうかで確認するということか

森田:そう。さらに時間的な余裕を持たせた。

かんだ:200msを超えるなにかが起きたらまた止まる?

森田:今から計算した結果を送り始めるという時刻がありその前には監視を始めない。

かんだ:今回のような「思いが至らなかった」について、宇宙研のロケット作りから変化したことで思い当たることはあるか

森田:そうではなくて、一番大事な部分が報道では欠落している。我々は革新的な取り組みを進めている。自動監視の数は1500くらい。自動シーケンスが走ったあとの監視は300。これを全部機械にやらせるのは宇宙研にもNASDAにもない。300項目を同時に監視するのは人間だとざっと60人必要になる。これでもとの管制室に戻ってしまう。これをイプシロンロケットでは3人体制でやっている。これは新しい取り組みで初めて実現される。
1項目30秒で確認しても2時間かかるところ、モバイル管制だから70秒ですんでいる。
こういうまったく新しいことをしていた中で思い至らなかったことがあった。これは宇宙研NASDAではなく新しい文化が生まれようとしている。その産みの苦しみの中にいる。それぞれの文化といったことからは超越している。

共同通信ふかや:フェアリングについて。断熱材の接着不足の原因について。フェアリングの部品点数を減らしたことと関係があるか

森田:それに関係はない。断熱材は部品本体の話ではなく本体の外側にウレタンフォームを貼っている。大きなものを貼っていって最後に小さいもので調整。その中で見つかったので修正した。

ふかや:修正した監視項目を知りたい

森田:あまり詳しく話すとなにをやっているのかわかってしまうが…。時刻の監視時刻開始で遅れ時間が適切でないところがあった。
もう一つはそもそも監視されていなかったものを監視するようにした。搭載機器に電源を供給するところで確かに供給されているか確認するモニター。ほかの機器のチェックでわかることだが念のため。

共同通信すえ:フェアリングで確認。接着剤がこれくらいの強度でついていればいいという基準があるものなのか

森田:接着についてはいろいろなスペクトルのものがあり真空状態で確認するべきものがあったり今回のように小さいものはそういう試験はしづらい。工程を確認した。この量の接着剤で接着しなさいという手順を確認。工程保証は珍しい話ではない。

すえ:接着不足が見つかったのは普通はやらない調査でわかったのか。それとも同じような調査をして発見したのか

森田:通常現場では行わない調査をしたら接着が弱い部分がありそうだとわかり、注射器で接着不足の空洞を見つけた。

すえ:森田さんがおっしゃっていたとおり飛んでいっても脱落することはないとのことだが打ち上げた場合すぐに問題が出ないのだろうか

森田:先ほど武内から返答があったとおり仮に接着不足があったからといってそれが飛行中脱落するか、脱落でどういう影響があるかは解析に乗りにくい。ロケット全体の中では小さいものだから。
我々としては飛行に影響があるかどうかは置いておいてしっかり接着し直すという方策を採ったということ。

日経BPとみおか:シーケンス試験とシーケンス点検で修正必要という2項目は同じものか

森田:違う。

とみおか:17項目が19項目にとあったが

森田:シーケンス点検前に17だったのが19になった

とみおか:シーケンス点検前は

森田:シーケンス点検に入る前に17項目の修正を考えており点検後19になった。

とみおか:タイムスタンプについて。200ミリ秒はOBCとLCSのタイムスタンプの最大の差ということか

森田:搭載機器から来るデータに何時何分何秒と書かれている。さらに200msの余裕をつけてX-19秒からさらにちょっと待つ。

とみおか:(武内参与へ)再発防止につなげるために点検項目を増やしていったのか

武内:点検項目は決まっていて、0.07秒については不適切な設定だったため今あるもののしきい値に問題がないかひとつひとつ見ていった。
実際に項目ひとつひとつをチェックしていき疑義があるものは話を聞いて、なるほどと思うものやじゃあ念のため直しておこうというものがあった。

産経新聞くさか:(森田プロマネへ)0.07秒のずれに考慮がいかなかったということはプロフェッショナルの技術集団としても難しいことだったのか基本的なことで悔やまれるものか

森田:ものすごく大きな、新しいことに挑戦していてモチベーションも高くシステムを作ってきたが基本的なところで、足をすくわれたとか未来を見過ぎていたとは思っていないが
こういったことをしっかり乗り越えていかなければ新しいことはできない。従来の打上を続けていけば今回のような騒ぎはなかった。これは産みの苦しみであり自分たちで未来を切り開こうとしている。
本当に新しいことは簡単にできないということでいましめにしたい。

くさか:熱電池を駆動したとのことだが前回の説明では使い捨てのものを使っては試験にならないとおっしゃっていたと思うが

武内:このような状況にあるので当初と今での違いはかなり意識している。今までの保証の仕方ではH-IIAでも使っていて自信をかなり持っているが念のため熱電池を駆動することにした。
新しいことにオールJAXAで対応するため過去の経験が豊富なものを集めて点検チームができた。

NHKはるの:(森田プロマネへ)姿勢監視開始時間の変更について、「今までは19秒前に姿勢監視を始めたが18.73秒前に監視を開始する」といっていいか

森田:厳密には少し違う。70msは固定値ではなく、演算装置の通過にかかる時間であり変動する。搭載機器から送ってくる時刻データの遅れは可変である。

はるの:(森田プロマネへ)熱電池について。交換用の熱電池はあらかじめ準備されていたのか

森田:その通り。熱電池に火を付けてからロケットの緊急停止がありうるので予備をいつも持ってきている。M-Vのときから変わらない思想。

はるの:(武内参与へ)70秒前から点検を行う300個の項目のうち19個について変更したということか

武内:X-0秒を超えたものもある。

森田:自動シーケンスに入る前から監視していて約1350項目。その中の19項目。

読売新聞ちの:(武内参与へ)特別点検チームは何人か。総計何時間くらいかけて

武内:25名。30日から始めているので…時間をお伝えするのは難しいが…夜中から朝までという者もいる。25人の規模のイメージについてイプシロンのチームに対してどのくらい

森田:イプシロンのチームは専任が20人くらい、兼任の人が50人くらい。むりやり計算すると全部で50人くらいか。

ちの:今までロケットをやって来たOBということか

武内:Mロケット、H-IIA/B、ソフトウェア、電気系、射場系を集めた。基本的に現役。OBも若干混じっている。現役はふだんほかの仕事をしているがこちらに来てもらった。

フリーランス大塚:ロケットのロール角がなぜ2度が初期値なのか。0度が絶対的な方向なのか。打ち上げごとに初期値は変わったりするのか

森田:そもそもロケットの発射台の位置、旋回の過程でロール角は変化する。最終的に整備塔から出て発射台にセットされたときランチャーの方位角は110度。一方飛行計画としては初期の角度を入れてそこから起動計画を立てる。本来はランチャー旋回角を入れてやれば初期値は0になるが整備塔の改修とイプシロンの飛行計画の策定が同時期に進んでいたため一致せず方位角を112度にしていた。ランチャーの改修完了後に飛行計画を立てていれば0度になっていた。
2度であることはロケットの飛行自体に影響はない。

大塚:次号機からは0度になるか

森田:はい、110度を初期値にしたらいいかなと思っている。

大塚:改修後OBCの初期値は使われないのか

森田:そうではない。監視設定値、一般的に「しきい値」だが初期の姿勢の誤差が2度と送られてくるとしたら2度±1度を監視設定値つまりしきい値にしていて網を張っている。
2度が来ているのは正常。これが10度になったとしたらジャイロが壊れていて直さなければならない。

大塚:LCSの中にもともとあった数値である0度を見ていたということで…

森田:うーん、(どこを疑問と思っているのか)ちょっとわからないです。

大塚:今度ゆっくり聞きます

森田:よろしくお願いします。

内之浦会場へ)

?はっとり:14日打ち上げの可能性はどのくらい。また2度の延期をへての自信のほどは

森田:いま最終点検の最終段階。明日には終わり点検結果が出る。明日になれば確率は高まるが現在は点検中のため確率は宇宙ファンとしてぼくも聞きたいくらいだが今のところは難しい。
週末は天気の予報が難しそうで、天気予報と同じくらい打ち上げ確率の予報も難しい。
M-V終了以来7年間の研究開発の成果を見せる。自分たちの力を全部出し切ったと思っている。絶対成功させるという自信はあったがさらに武内さん以下特別点検チームの点検を経てさらに自信の割り増しがあった。残り少ない日数でうまく進めて絶対成功間違いなしの確信を得たい。

武内:専門家、経験者を集めて薦めてきた。やれることはやった。いま仕上げの確認中であり打ち上げに移行できるだろう。

毎日新聞しんかい:前回-70秒から19秒までは順調に進んでいた。このとき監視されておらず追加された2項目とは。監視が行われていない項目があったということは-19秒までは進んでいたわけで、19秒前から5秒前までに行われる監視なのか

森田:自動シーケンスが走り始める前の監視。

しんかい:自動シーケンスに入ってから見落としていた監視項目というのではないのですね

森田:その通りです。

(終了)