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JAXA新理事長 就任記者会見

登壇者

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  • JAXA理事長 奥村直樹
  • JAXA前理事長 立川敬二

中継録画

(03:40ごろ開始)

立川敬二前理事長挨拶


理事長に就任した2004年は打ち上げ失敗が続き苦しい時期だった。
同時期はスペースシャトル、アリアンも事故や打ち上げ失敗があり、宇宙事業の立て直しが世界の課題だった。
その中では日本の復帰が一番早かった。
8年間いろいろあったが記憶にあるのははやぶさ、かぐやなど。打ち上げも連続で成功し22機連続で成功するという幸運に恵まれた。
長年のご支援に感謝したい。
総合科学技術会議の議員を務め、日本の政策決定のメカニズムに精通している奥村氏に期待している。

奥村直樹新理事長挨拶:

新日鐵で研究畑を進みその後経営に参画、内閣府総合科学技術会議
国のイノベーション創出に関わってきた
民間や内閣府の経験を活かして航空宇宙分野のさらなる発展に貢献できれば
いろいろな意味で可能性の大きな分野であると考えている。
ぜひこの分野で力を注ぎたい。
これまでJAXAは連続打ち上げ成功、宇宙ステーションでの有人活動、宇宙科学研究など国際的に高い評価を得られる実績を重ねてきている。世界の先頭を走っているチーム。
さはさりながら、国際的な環境は欧米だけでなく新興国の発展が顕著。宇宙基本法の整備、JAXA法の改正など大きく環境が変化してきている。
宇宙科学などのフロンティアに加え安全保障、産業振興などを含めた政府全体の宇宙開発利用を技術で支える実施機関と重要な役割。
宇宙基本計画にうたわれている宇宙利用の拡大と自律性の確保、新しい気持ちを持って国から期待される役割を果たしていきたい
3点に注力したい

  1. 宇宙基本計画に定められた政府全体を技術で支える中核的な実施機関たるには新しい価値を生む業務に果敢にチャレンジしていかなければならない。それが研究開発機関の基本
  2. 研究開発を行う中で国際的に高いレベルを達成し国際競争力を高める、国民の期待に応える
  3. 中期目標の達成に加え新しいアイデア、コンセプトを職員とともに生み出し国に提案していきたい

日本の宇宙航空分野の発展に全力を注ぐ。皆さんのご理解ご支援をお願いしたい。

公開された全文

質疑応答

読売新聞のより:奥村理事長に。「新しい価値を創出」について。具体的には。また産業振興について、課題についてどうお考えか

奥村:新しい価値には2つの側面。ひとつはこれからの宇宙開発利用のニーズ面における対応。具体的には産業振興、安全保障といったニーズに対応。もうひとつの側面は技術の指標で先端を走っていく必要がありその分野で評価されるようなものを。
産業振興について。応用利用でできるだけマーケットを広げていきたい。すでにあるマーケットで応用利用し国際的にマーケットを取りに行く部分と新しいマーケットを開拓していく2つがありどちらも重要。宇宙関係に直接関係がなさそうな企業にもアプローチしたい。

NHKこぐれ:宇宙基本計画について。国際宇宙ステーションの利用について将来的には経費削減とあるがどう考えるか。また日本の有人宇宙開発については。

奥村:国際宇宙ステーションの費用対効果について、これまでの成果を検証しているなら教えてほしいと言っているところ。結果がどうであったかという事実にもとづいてこれから考えたり検討していきたい。
有人も同様。どこかの星に行くのがどういう意味があるのか、日本国民にとって、またほかの国々との関係において、ここはいろいろな判断が必要で他国の動きとの相対的な考えが必要。いまの断面でイエスやノーとはならず検討を重ねていきたい。

朝日新聞■:安全保障について現状認識は。

奥村:これから勉強。きわめて重要なところでありJAXAのみの問題でもない。関係省庁とも連携しつつなにをしていくべきか確認していくのが第一歩。

東京新聞さかきばら:総合科学技術会議の議員時代にJAXAをどう見ていたか。またH-IIAの次期基幹ロケットについての考えは。

奥村:前職では宇宙やフロンティアは担当していなかったが個別の衛星の研究開発予算の審議には加わっている。そのとき感じたのはいろいろな機能の衛星を打ち上げるがグランドビジョンの中でどういう位置づけかを説明するのがよいとコメントしたことがある。
基幹ロケットは前理事長から早急に検討すべき課題と引き継いでいる。どういうニーズの衛星をこれから打っていくのか、ロケットのスペックも決まってくる。日本だけでなく将来民間に移管するならボリュームゾーンとしてどういうスペックを持ったロケットが将来性があるかこれから検討していく。

読売新聞ちの:先ほどの3つの提案のうち中期目標の達成だけでなく新プロジェクトの提案について具体的には

奥村:なかなか難しいが産業振興のところで何らかの貢献ができるのが役割かなと思っていてそのあたりを検討していきたい。
思わぬところで衛星は国民の生活の中に影響し普及している。それをわたしがまだ理解していない。市場開拓もありそうだという期待もある。先はそういう思いの一端を述べたもの。

NVS斉藤:税金で宇宙開発を行うというところで国民の理解が重要と思うが情報公開や広報をどう注力していくか

奥村:税金で費用をまかなっていくため国民の理解が重要。JAXAの皆さんは一生懸命広報活動をしてきたと思うが、国民と同時に産業界など別の切り口で宇宙はこれだけ近いということをプラスして広報していければと思っている。

産経新聞くさか:若い人の科学への興味をかきたてる方法について。また趣味と家族について、座右の銘

奥村:お子さんの関心を引く重要な分野である。JAXAはこれまでも一生懸命されてきたと思う。「はやぶさ」は映画にもなって観に行ったが満席だった。「宇宙兄弟」もテレビで放送されているなど関心を持っていただいている。マスコミの方々も同様でありがたい。宇宙は総合科学の分野だと思っている。さらに宇宙科学のことを人に伝えていけるように広報に力を入れていきたい。
家族は妻、子供が3人。子供はいずれも独立している。
座右の銘はないが比較的好きなのはダーウィンの「最も強い種は変化に対応できる種だ」という言葉にうなずくことが多い。
製鉄会社は円高の中大変な構造改革を行う荒波にいたため身にしみている。
趣味は少し前はよく山やスキーへ。自然派ナチュラル派。ただし夜の繁華街のネオンも好きですよ。

日刊工業新聞あまの:理事長への就任要請はどのような形で。それにどう応えたか。すぐに返事したのか

奥村:任命権者の文部科学大臣から要請がありそれを斟酌して応じた、ご返答申し上げた。経緯はこういう場所では控えたい。
返事はそんなに時間はなかったので比較的短期間のうちに。

(以上)

その他の写真(CC-BY)

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