第26回「きぼう」利用勉強会:EVA支援ロボット実証実験「REX-J」のロボット移動技術の実証について

登壇者

  • JAXA研究開発本部 未踏技術研究センター ロボティクス研究グループ 主幹研究員 小田光茂
  • JAXA研究開発本部 未踏技術研究センター ロボティクス研究グループ グループ長 西田信一郎

配付資料

  • 第26回「きぼう」利用勉強会資料(EVA支援ロボット実証実験(REX-J)の打上げと運用)(2013年02月27日)[ PDF: 4.12 MB ]
配布元
報道関係者向け資料:「きぼう」日本実験棟 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXAhttp://iss.jaxa.jp/kibo/library/press/#kibo_s

中継録画

Video streaming by Ustream

(03:00に開始)

関連リンク

会見

西田氏は研究代表者、小田氏は昨年までJAXA、今は東工大教授だがREX-Jの開発フェーズからまとめており主幹研究員として支援している

宇宙ロボットの技術ロードマップ

今は軌道上有人支援ロボットとして研究中

宇宙ロボットの実績

推薬補給実験

推薬が入ったカートリッジを交換するのを想定

ターゲット衛星捕獲実験

簡単にドッキングできないのでアームで捕獲する

REX-Jについて

背景

宇宙飛行士の船外活動は時間制限があるし飛行士の拘束時間が長い、根本的な危険がある

概要

MCEには窓が2つ開けてあり太陽光が差し込むようになっている(曝露環境で使うことを想定しているため)

MCE取り付けの際にはSSRMSからJEMRMSに手渡し

実験

カメラの映像は240×320画素

昨年10月から定常運用、2月7日に実験完了

質疑応答

フリーランス大塚:軌道上でREX-Jが動いたときの感想を

小田:つまんない話ですがああ、動いたなと。ある意味動いて当然と思っていましたから。

大塚:今後どういう実験を

西田:ISS上ではいろいろな実験が行われていて実験日の確保が難しい。REX-Jはビデオ回線が必要。
6か月という実験期間にこだわらずに。
エクストラサクセスを3月に終え、さらに2か月間各種の発展実験を行う予定。各種の大学などと連携して。

大塚:HTV4号機に乗せていく?

小田:MCE(ポート共有実験装置)全体の運用期間は2年間予定されている。廃棄するかそのまましばらく置いておくかは未定。6か月の実験期間を過ぎたらすぐに壊れるというものではなく民生品でも大丈夫だろう。1年となるとちゃんとした宇宙用の部品が必要になる。

フリーランス水野:今後獲得していく必要がある技術は

西田:故障衛星の修理やデブリ廃棄などでは運動しているターゲットを捕獲しなければならない。おりひめ/ひこぼしでは協力的対象(マーカーがついているなど)だったが今後は

水野:それに向けてREX-Jで実験を?

西田:そういう実験項目はないがカメラがあるので位置をとらえる技術を試す。

小田:ロボットには手足が必要だが人間とまったく同じである必要はない。これは地上でも同じこと。
きぼうロボットアームですでに手は実証したが足はない。そこで足をREX-Jで実験。ミッション区分としては移動機能の確保。
NASAヒューマノイドを持って行ったが(今村註:ロボノートのことhttp://robonaut.jsc.nasa.gov/default.asp)足はどうしたと言いたい。あれは手を中心に検証している。しかし手は宇宙でなくても検証できる。足は宇宙でしか実験できない。余裕がないときは移動を実験するという考え。

読売新聞ほんま:今回は1本だけをつかむ形だったが将来的には4本とも伸縮するものにしていく? 次のステップはいつごろまでに

西田:4本のテザーのうち3本にリール機構が入っていて長さを変えたりテンションを制御したりできる。1本のフックをつけかえることができればほかの3本も同じようにできるはず。移動技術はこれで実証できたと思っている。4本ともつけかえられる実証は不要。
次のミッションは大型構造物に適用するなどを考えているが未定。

NHKこぐれ:資料中他国のロボットとの比較があるがREX-Jの苦手なところは

西田:テザーだけで移動するというのは支持剛性がやや柔らかめ。しかしうまく制御すれば振動を起こさず移動できる。今回もできた。いろいろな作業をする上では柔らかさが必要になる。REX-Jの場合テザーの柔らかさがいい。
ロボットアームで尺取り虫的に移動する場合アームの長さで限界がある。テザーはより伸ばせることが多い。

こぐれ:開発コストは

小田:驚くほど安いです。いくらくらいだと思います?

こぐれ:数千万、数億くらい?

小田:いいセンです、そのくらいです。

NVSさいとう:MCEを打ち上げる前にシミュレーションなどしていると思うが実際やってみて違っていたことはあったか

小田:ETS-VIIでいろいろやっていたときは驚きがあったがそこで知ったことが多いので今回はわりと淡々と。ある意味予想通り。マスコミ受けしないつまらない話で申しわけありません。
ETS-VIIのときは定位置に来たかを知る信号が来なくなったことがあった。しかしカメラで見るとちゃんと来ている。ほんの小さいスイッチが重いものを意図せず持ち上げていた。そんな経験があった。

大塚:今までの実験の中でトラブルらしいことは。小さいことでも

西田:サイト上に載せていることだが伸展ブームがしぶいところがあった。特定の長さにしたとき抵抗が増えた。何度か伸ばし直していると回復した。ケーブルが引っかかっていたかも。

大塚:アーム制御の精度は

西田:0.1ミリのオーダー。

大塚:アームを最大限伸ばすとMCEから外に出せるとあったが

西田:来月実施予定。数十センチ程度で外が見える。

ライター林:有人宇宙活動を支援するとのことだがシナリオと位置づけ、今後の展開を確認したい。船外活動(EVA)代行の次は

西田:次のステップになるかだが宇宙ロボットの作業は完全無人のものと有人で行うものがある。今回ISS上での移動を想定した実験を行った。代行という意味では無人作業を行うことも。大型構造物の建設など。

林:以前ISSの外壁をチェックできるようにもともあったが

小田:原理的にはREX-Jで可能。

林:ISSの運用期間中に次のステップは

小田:リソースが限られておりこちらの希望がそのまま通るかはわからない。低軌道上でのISS運用においてロボットでもできることがあれば使い分けられていくだろう。資料のロードマップ2枚目に宇宙ロボットの今後についてふれている。軌道上での活動と月・惑星の探査という2つの流れがある。
宇宙飛行士でもできること、宇宙飛行士では危険なことなど状況を勘案していく。
デブリ除去、太陽発電衛星建設、惑星基地建設などにも。

ニッポン放送はたなか:運用は地上からの遠隔操作のみ?

小田:その通り。飛行士がやろうと思えばできるが今回は予定していなかった。
宇宙飛行士とロボットの両方が操作できるように作られた機械(コモンインターフェース)はISSではREX-Jが初めて。

はたなか:宇宙飛行士に動かさせる計画は今後も?

小田:ありません。

NVSさいとう:発展的な話としてISSメンテナンスのために使うとなると電力供給はどうなるのか

西田:EVA支援作業ロボットとしてはロボット自身が太陽電池を持つことを考えている。

小田:テザーを電力線にするのはできなくはないが設計の問題。

(以上)

今村の所感