AMD勉強会のマシンを組む

(今日はすごく長いです)

AMD主催のブロガー向け勉強会」(d:id:Imamura:20121121:AMD)の続き。ITライターにして宇宙ライターの大塚実@ots_min)さんにアドバイスをいただきつつ、パーツを揃えていった。

もともとは「小さくて静かなマシンを組みたい」だったのが、かなり本格的な自作になってしまった。AMDの勉強会に当選するとは思っていなかったからだが、なぜ当選したのだろうか。このダイアリーでは自作の話は年に1回あるかないかくらいだから、よさそうなブログはほかにたくさんありそうなもの。

選考期間にたまたま「そろそろパソコンを新調したい」(d:id:Imamura:20121117:pc)を書いていたからだろうか。AMDの人がこの記事を読んで、「なに、インテルベアボーンで新しいマシンを組む? させるかぁー!!」ということで選ばれたのかも。

さて、個別のパーツごとに買ったものや得た知識などをまとめていこう。値段は新品で買ったもの。

揃えたパーツ
  • CPU(AMD FX-8350)
  • マザーボードASUS SABERTOOTH 990FX R2.0)
  • PCケース(Fractal Design Define R3 White USB3.0)…8900円
  • 電源(ENERMAX EMD625AWT-II)…12980円
  • CPUクーラー(Thermaltake Bigwater A80 CLW0214)
  • メモリ(Team PC-1600 DDR3 8GB×2:TED316G1600C11DC-AS)…4980円
  • ストレージ(SSDSamsung SSD 840 PRO 128GB)…10800円
  • ビデオカードZOTAC ZT-50207-10M)…11000円
  • OS(Windows 8 Pro Upgrade)…5500円
  • 合計:54160円

CPU(AMD FX-8350)

AMD FX-series プロセッサ FX-8350 Socket AM3+ FD8350FRHKBOX

AMD FX-series プロセッサ FX-8350 Socket AM3+ FD8350FRHKBOX

FX-8350はAMDからの支給品。現行のAMDのCPUでは最上位モデルである。それでいて今Amazonで17150円、アキバでは17500円くらいとお手ごろ価格なのが特徴だ。

同価格帯のIntelのCPUというと「Core i5-3570K」あたり。これはIntelのCPUとしてはミッドレンジで、いまAmazonで18495円、アキバでも18500円くらい。Intelの「K」がつくCPUはFX-8350と同様オーバークロックができる。

Intel CPU Core i5 3570K 3.4GHz 6M LGA1155 Ivy Bridge BX80637I53570K【BOX】

Intel CPU Core i5 3570K 3.4GHz 6M LGA1155 Ivy Bridge BX80637I53570K【BOX】

マザーボードASUS SABERTOOTH 990FX R2.0)

もうひとつのAMDからの支給品がこれ。いまAmazonでは16191円。

軍用の厳しい耐久テストに合格する品質というのが売り。PCIスロットがあるので今使っているチューナーカードを流用できるのがありがたい。

PCケース(Fractal Design Define R3 White USB3.0

Define R3 White USB3.0

Define R3 White USB3.0

自作用のPCケースは昔からゴテゴテしたものが主流で、しかも多くは決していいデザインとはいえない。下手なデザイン休むに似たりというか、無理にデザインしようとせずシンプルに四角いものをもっと出してほしい。

新しいマシンは小さいものにしようと思っていたが、支給されたマザーボードATX規格ではミニタワーでも厳しい。今回使う水冷式のCPUクーラーは大きいからケース内の空間には余裕を持っておきたい。小さくするのはあきらめて、静かなケースという条件で探すことにした。

今のPCケースは静音性能と冷却性能のどちらかを重視しているものが多いとのこと。静音性能を重視しているPCケースは内側にスポンジが貼られていたり、足がゴム足になっていたりする。また空気が出入りするところには集塵フィルターが装着されていて、ケース内部にほこりが入りにくくなっている。ほこりを取るのにケースを開ける必要はなく、フィルターを定期的に外して掃除すればよいのは楽だ。

一方、冷却性能を重視しているPCケースはつけられるファンが多かったり大きかったりする。アルミ製のPCケースも冷却性能が高いとされる。アルミケースのメーカーはAbee(アビー)やLian Liなどが知られる。ただし大塚さんによると「Abeeのケースはフロントパネルを開けるときネジを全部手で外すのが大変だった」とのこと。メンテナンスのしやすさを考えると、フロントパネルは扉がパカッと簡単に開くタイプがいいのかも。

最近はケース内部のケーブルを取り回しやすいよう、マザーボードを設置する台の部分にケーブルを通す穴があいているものが多い。ケース内部がケーブルでごちゃごちゃしなければ空気の流れもよくなり、これも静音性や冷却性能に貢献する。

また従来のPCケースは電源がケース内の上部に置かれるものが多かったが、最近はケース内の下部に置かれるものが増えたそうだ。電源を冷やす空気をケース内から調達するのではなく外気を直接取り込むことになる。

さて、今回はシンプルなデザインかつお手ごろ価格のATXケースということでフラクタルデザインの「Define R3 USB3.0」を選んだ。いまAmazonで8900円。「出品者から」になっているがこれはDefineの代理店からの出品であり新品が届く。現行モデルは「R4」だが、これは「R3」よりもひと回り大きいのでパスした。

電源(ENERMAX EMD625AWT-II)

PCケースには電源がついていることもあるが少数で、Define R3も電源はついていない。「電源は消耗品ですよ」と大塚さんは言った。電源は壊れやすいので、ほかの予算を削っても電源はちょっといいものを買っておくのが結果的にはよいという。

電源は最大容量ごとでモデルが分けられている。使うCPUが何ワット、ビデオカードが何ワット…と足していって目安にするのだが、容量ぎりぎりの電源はよくないそうだ。電源容量が足りなくなる可能性があるだけでなく、最大容量の半分から75パーセントくらいの電力を供給するときが一番安定するし効率がよくなるらしい。

一定以上の品質を保証する電源には効率の指標として「80PLUS」という表示がある。「BRONZE」「SILVER」「GOLD」「PLATINUM」と4段階あり、いいものは品質も値段もよくなる。一般的にはBRONZEでも十分とのこと。

また内部のケーブルが着脱可能なものがよい。不要なケーブルをケース内で取り回さずにすみ、冷却効率がよくなって静音性が上がる。

電源はENERMAXのEMD625AWT-IIを選んだ。いまAmazonで12980円。

ENERMAXは品質に定評がある電源メーカーだそうだ。AMDのFX-8350はTDPが125ワットと高めのCPUだから電源容量が大きい625ワットのモデルにした。

CPUクーラー(Thermaltake Bigwater A80 CLW0214)

Big Water A80 CLW0214

Big Water A80 CLW0214

なるべく静かなマシンにしたいとツイートしたら、友人に水冷クーラーを勧められた。水冷クーラーというと冷却液を交換したりするメンテナンスが大変そうなイメージがある。と思ったら最近はそういうメンテナンスがいらない水冷クーラーが増えているとのこと。

CPUにはさまざまなソケットタイプがある。AMDのFM-8350はSocket AM3+という。Intelの場合LGA1155やLGA2011などがある。使うCPUのソケットタイプに対応したクーラーを使うことになる。

Thermaltakeの水冷クーラー、「Bigwater A80 CLW0214」を大塚さんに譲ってもらった。ありがとうございます。いまAmazonでは6574円。

このクーラーはSocket FM1、AM3、AM2+、AM2に対応とありAM3+は含まれない。「AM3+が出る前に発売されたもので、ソケット形状は共通だから使えるはず」とのこと。

メモリ(Team PC-1600 DDR3 8GB×2:TED316G1600C11DC-AS)

ASUSマザーボードとの相性を検証済の安心・高品質メモリ」と大きく書かれていたのでこれにした。16GBで4980円。最近のメモリは実に安い。現行のマシンを組み上げた2008年5月は4GBで7000円弱だった。

64ビット版のWindowsなら3GBの壁もなく、広大なメモリを活用できる。

  • 2008年5月の日記:マシン環境が満身創痍→新マシン導入 - Imamuraの日記(d:id:Imamura:20080510:pc

ストレージ(SSDSamsung SSD 840 PRO 128GB)

ハードディスクはいま3TBが1万円を切っている。しかし今新しくパソコンを自作するならSSDだ。シリコンディスクはデータの読み書きが圧倒的に速いし、ハードディスクのような駆動部がないから故障しにくい。

大塚さんのアドバイスサムスン電子の「SSD 840 PRO 128GB」を10800円で買った。Amazonならいま10798円。

ビデオカードZOTAC ZT-50207-10M)

ZOTAC  ビデオカード ZT-50207-10M

ZOTAC ビデオカード ZT-50207-10M

ビデオカード選びが悩ましいことは前回も書いた。どんなビデオチップにするかを決めても、そのチップを使っているビデオカードがまたたくさんある。製品選びが2段階必要なのだった。

最近のビデオチップはCPUをサポートする「GPU」としても働くのが一般的である。ビデオチップごとに独自のGPUアクセラレーション機能があり、OSやソフトウェアが対応していればより快適にコンピュータを使うことができる。

ビデオカード選びは一番マシンパワーを使うソフトウェアに合わせるのがよい。我が家で一番マシンパワーを使うのは動画のエンコードで、ペガシスのTMPGEnc 4.0を使っている。

このソフトはAMD向けのビデオカードとしては「CUDA」機能によるエンコードに対応とある。じゃあCUDA対応のビデオチップにしよう。

現在パソコン向けのビデオチップは2種類ある。AMD傘下のATIが作るRadeonと、NVIDIAGeForce(GTX)である。CUDAはNVIDIA専用の機能なのでNVIDIAビデオチップをということになる。

AMDのブロガー向け勉強会がらみの企画なのに、AMDのライバルであるNVIDIAビデオチップを使うのはちょっと心苦しい。しかしRadeonにはCUDAのようなGPU機能がなく、TMPGEncを使うときのメリットが小さい。

このことは先日のAMDでの勉強会でも質問が出た。「TMPGEnc向けの機能を追加する予定はあるか」というもの。AMDとしてはOpenCLへの対応を働きかけていきたいとのことだった。

今回はTMPGEncの能力を最大限引き出すために、NVIDIAビデオチップを使ったビデオカードを買うことにした。義理よりは実益を重視しよう。

さて、ではNVIDIAのどのビデオチップにしようか。今のGeForceは600番台で、15000円までの予算なら650Tiあたりがよさそうだ。

11月23日からの3連休に合わせ、アキバでは各店舗でセールが開催された。

そんな中、ZOTACの「ZT-50207-10M」が11000円で出ているのを見つけた。これはいまAmazonでは18980円。搭載しているビデオチップGeForce GTX 570で1世代前だけれどその中ではハイエンド寄りだからお得ではありませんか。すかさずゲットした。

OS(Windows 8 Pro Upgrade)

Windows 8のアップグレード版をショップで買ったが、ダウンロード販売なら3300円ですむと後日知った。パッケージ形態であることにこだわりはないから、安くすむダウンロード版にすればよかった。

また、Windows 8 ProにMedia Center Packを追加するプロダクトキーも来年1月末まで無償配布されている。現在Windows 8のライセンスを持っているかどうかは問われないようなので、とりあえずキーをもらっておくのがいいかも。

組み上げ

ということでパーツが揃った。

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PCケースを開けて電源を組みつける。

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マザーボードを組みつける。

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CPUを装着。

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CPUクーラーを装着。ケースの内側の背面上部にもともとついていたファンを外して、水冷クーラーのファンを取りつける。

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メモリを装着。

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電源からのケーブル類を装着し配線。

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ビデオカードSSD、アップグレード元のWindows Vistaが入ったHDDを装着。SSDをマウンタに取りつけるネジはHDD用ではなくFDD用がぴったりだった。

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いろいろ確認しつつ進めたら4時間以上かかってしまった。久しぶりの自作は大変だ。

組み立てる際の各パーツの所感。

Fractal Design Define R3(PCケース)のいいところ
大きめのケースで扱いやすい。ドライブのマウンタは取り外し可能で、これにSSDやHDDをねじ止めして元に戻せばよいのは楽。(最近はほかの多くのPCケースもそういうものかも)
Fractal Design Define R3(PCケース)のもうひとつ
マニュアルは英語のみで簡素。どのケーブルをどう通すか、リファレンスになるような組み上げ方の例がほしいと感じた。また何種類ものねじが何十個もまとめて一つの袋に入ってしまっている。使うねじをより分けるのがちょっと大変だった。
ENERMAX EMD625AWT-II(電源)のいいところ
着脱式のケーブルで必要最低限の配線にできる。再利用可能なケーブルタイ付属。
ENERMAX EMD625AWT-II(電源)のもうひとつ
マニュアルは日本語もあるが簡素でわかりづらい。数種類のケーブルがまとめて一つの袋に入ってしまっている。見た目もよく似ていて、目的のケーブルを見つけるのがちょっと大変だった。
ASUS SABERTOOTH 990FX R2.0(マザーボード)のいいところ
日本語マニュアルが詳しい。PCの組み上げ手順はこの内容に従った。マザーボード上にはUEFIBIOS)画面を呼び出すスイッチ(起動時に[Del]を連打する必要がない)や、起動時に各モジュールをチェックして問題があれば点灯する「POST State LED」がついていたりして便利。そのほかたくさん。
ASUS SABERTOOTH 990FX R2.0(マザーボード)のもうひとつ
マニュアルは詳しいがところどころ言葉足らずと感じた。またトラブルシューティングのための「こんなときは」のようなコーナーがほしい。
Thermaltake Bigwater A80 (CPUクーラー)のいいところ
日本語マニュアルが詳しい。
Thermaltake Bigwater A80 (CPUクーラー)のもうひとつ
マニュアルは詳しいがクーラーをどの向きに組みつけてはいけないかがわかりにくいと感じた。またトラブルシューティングのための「こんなときは」のようなコーナーがほしい。
ZOTAC ZT-50207-10M(ビデオカード)のいいところ
DVI→D-Sub25ピンの変換アダプタが付属する。
ZOTAC ZT-50207-10M(ビデオカード)のもうひとつ
その変換アダプタが付属することが箱に書かれていない(もしくは見つけにくい)。パーツショップで390円の変換アダプタを買ってしまい、だぶってしまった。

そんな感じで組み上がり、さて動作確認を。どきどき。まずは電源がちゃんと入ってUEFIBIOS)の設定画面に入れるかどうか。

電源オン!→「CPU Fan Error」で電源断。えー。ファンコントローラとの接続がこれでいいのか怪しいからまずは直結に。また水冷式クーラーのケース側のファンは回ってるから[F1]で強制的に抜けてみよう。よしUEFIのメニューに入った。しかしCPUの温度がどんどん上がっていくぞ。40度、50度、あっ電源断。

CPUクーラーが働いていないのだろうか。空冷式のCPUクーラーはファンが回っていれば大丈夫とわかるが、水冷式クーラーだと機能しているかどうか、見ただけではわからないのが難しい。

シリコングリスが薄すぎたか、または厚すぎただろうか。クーラーをCPUから外してみたら、シリコングリスはほどほどに広がっていた。これが原因ではないのだろうか。

クーラーの装着方向を変えたりしているうち、今度は赤い「POST State LED」がついて起動しなくなってしまった。

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「CPU LED」が点灯するのはCPUに異常があるから起動しませんよということだ。

CPUが焼きついてしまったのだろうか。1回の起動で電源断するまでは10秒くらい。まったく冷却されていないとしても、そんなに短時間で焼きついてしまうものだろうか。

自分でできるのはここまで。今日のこの記事をAMDに報告がてら、対処法を質問してみよう。

ということで、現行のCore 2 QuadからFX-8350になってとても早い動画エンコードに喜ぶのはもうちょっと先になりそうだ。

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今回アドバイスをいただいた大塚実さんも、以前AMDの勉強会に当選してマシンを組んでいる。