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データ中継衛星「こだま」(DRTS)軌道上運用10年達成に関する記者説明会

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登壇者

  • JAXA宇宙利用ミッション本部 利用推進プログラム・システムズエンジニアリング室技術領域リーダ 高畑博樹(こうはた・ひろき)

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配付資料


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配付資料の補足

  • きく6号、かけはしとも多目的(マルチミッション)な衛星、こだまは専用衛星
  • きく6号、かけはしとも静止軌道へ至らず。こだまへ引き継いだ。こだまは静止軌道
  • こだまは初めて6衛星とのデータ通信に成功
  • 通信相手へアンテナを動かして通信するなどの技術を確立
  • システムとしての運用技術を実証
  • こだまは三菱電機が製造、商業受注に貢献
  • ADEOS-II(みどり)
  • OICETS(きらり)光通信※こだまは光通信機能なし
  • ALOS(だいち)…こだまを使った一番のユーザー。5年にわたって運用。だいちの成果の影にこだまあり
  • ENVISAT(ヨーロッパの衛星)
  • SDS-1(小型実証衛星)データ中継のための標準コンポーネントを実証
  • JEM(きぼう)
  • ALOS-2(来年度打ち上げ予定)
  • 地上局を鳩山と筑波で切り換える(サイトダイバシティ)で、雨に弱いKa帯でも晴れているほうと通信する
  • 1パスは周回する衛星が通信を始めてから終わるまで
  • 地上9局トータルで1万パス…1局1100パスくらい。こだまはALOSに対しては年間4000パス以上を確保。通信時間も地上局の10分に対してこだまは40分ほど
  • ALOSデータの95%以上はこだまで取得
  • だいちの災害時緊急観測に対応
  • 「こだま」-JEM間の通信は日本独自の通信回線
  • 宇宙飛行士との音声通信も実証(ICS通信リンク)
  • 軌道傾斜角が増えるとより大きな8の字の軌道を描く(通信できる範囲から外れてくる)
  • きく5号の運用期間記録を来週上回る予定

質疑応答

NHKこぐれ:こだまの後継機について具体的な計画はあるか
高畑:こだまは研究開発衛星であり役目は果たしているが後継はJAXAが研究開発ではなくサービス調達(こういう機能を持った回線を調達)する形で進めている

時事通信まつだ:調達というのは衛星を単体で買うのではなく海外の回線を借りるということか
高畑:回線を常時準備する。使う衛星は固定される。
まつだ:民間がJAXA専用に新しく衛星を上げるのか
高畑:データ中継衛星は専用的。新しく衛星を上げてもらう。
まつだ:OICETSのような光通信を行う可能性は
高畑:将来的には地球観測データの増大を考えるともっと帯域がほしい。電波通信には限界があり光は有望。研究開発を行っている。
まつだ:燃料枯渇と同時に新しいものに移行するのか
高畑:27年度中にサービスを受けられる(稼働する)よう準備中。
まつだ:契約上のとっかかりはいつか
高畑:今まさに契約直前。関係省庁と調整中。年内めど。

NVSさいとう:ISSにあるICSは今故障中だがドラゴンで持ち帰っているようだがどんな状況か
高畑:ICSは自分の担当ではないがいつ再開しても大丈夫。
さいとう:いまはNASA経由と思うが日本独自の回線が重要か
高畑:我々は回線を提供する側で、いつでも大丈夫なように準備している。

フリーランス大塚:資料6ページの26年度に「南北制御再開」とあるのは
高畑:8の字が大きくなりすぎたら、軌道傾斜角を抑えて長く運用できるよう南北制御の再開を考えている。
大塚:それでもう少し使えるということか
高畑:どのくらい使えるか、ほかにいい手がないかも考える。少しでも長く使えるように考える。
大塚:燃料がなくなっても使えるのか
高畑:ミッションが終わった静止衛星は外側に持って行かねばならない。デオービットといって軌道離脱する。そのための燃料を残した上での枯渇ということ。
大塚:いぶき、しずくなどのデータを通信しないのは
高畑:容量が問題。だいちのデータは大規模で直接おろすには地上10局くらい必要。いぶきやしずくはデータ量がそれほど多くなく地上局でも対応できる。衛星間通信のためには中継機器が必要で、いろいろ条件を考えてこだまを使うかどうか考える。

NVSさいとう:いぶきは極軌道を周りスバールバル局で受けるが
高畑:極域の地球局を使えば通信を長時間確保できる。しずくはいぶきはその中でデータをおろしきれる。だいちはデータが多いのでおろしきれずこだまなら多量のデータをおろせる。極域の通信ではおろしきれなかったとき次のパスを待たねばならない。ここをすぐ撮像してデータを得たいときなどにもこだまは便利。
NVSさいとう:ほかの国にデータ中継をサービスする予定はあるのか
高畑:今はないがJAXAESANASAとも相互運用性について取り決め、勧告を作っている。たとえばENVISAT。相互運用性を確保しつつ後継機を考えていく。

(終了)