オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

セグウェイってロボットなの?

NHKのニュースでロボットの話をやっていた。「人が乗って移動するロボットを研究中で、実際に通勤してみる実験がつくば市で始まった」というもの。車で通勤するのに比べ、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できたそうだ。

で画面を見てみると、つくば市の職員が乗っているそれはセグウェイでは。セグウェイってロボットなの?

ちょっと調べてみた。つくば市のサイトから「ロボットの街つくば」というサイトへリンクしている。そこのプレスリリースにこれがあった。

二次交通としてモビリティロボットを利用することで公共交通機関の利用促進を図ることができるか、モビリティロボットが公共交通機関を補完することで無理のないエコ通勤が実現できるかどうか、その可能性・成立性を検証するものです。

【プレスリリース】セグウェイによるエコ通勤実験を開始 – ロボットの街つくば

やっぱりセグウェイなんだ。エコ通勤の実験とのこと。セグウェイはロボットではないと思うのだけど、つくば市がロボット特区だから実績作りのためにセグウェイをロボット扱いして体裁を整えたのだろう。違和感はぬぐえず、ちょっとどうなのかと思う。

じゃあロボットってなんだろう。日本で「ロボット」というと2種類あるように思う。

  1. 人間などの動作を模して動く機械
  2. 人間が操縦しなくても自分で判断して動く機械
    • 自動掃除機「ルンバ」など

産業用ロボットやモビルスーツを「ロボット」と呼ぶことに異論がある人はいないだろう。もうひとつの、自律して動く機械のほうも「ルンバ」のことを思い出せばわかると思う。小惑星探査機「はやぶさ」もイトカワへの着陸シーケンスでは地球からの指令を受けず、自分で判断して行動した。これもまたロボットである。

もちろんこの両方の要素を兼ね備えたロボットもある。ドラえもん鉄腕アトムなどだ。

でもセグウェイはロボット的な機構を持っているわけではないし、自律的に動くわけでもない。これを「モビリティロボット」と呼ぶのはかなり苦しいんではないだろうか。動力を持って移動できるというだけなら普通の自動車も「モビリティロボット」ということになってしまう。いやむしろ、車間距離を検知して追突を防いでくれる自動車だってあり、そのほうがセグウェイよりよほどロボットらしい。

もっと進んで、人が乗った移動機械が目的地へ自動的に連れていってくれるというなら文句なくロボットといえる。今回の実験をものすごく好意的に見れば、ゆくゆくはそういうものにしていく目標があってこれはその第一歩、ととれなくもない。

でも無駄な実験をするのはやっぱり無駄であって、セグウェイ二酸化炭素の排出量が自動車より減るなどは机上の計算でもわかることだ。ロボット特区だからなにかやらないと、みたいな目的と手段が逆転した話でなければいいのだけど。