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【本田雅一の週刊モバイル通信】 電子書籍元年に迎える年末

「単なる噂が事実として捉えられているケースも見かけられる。そこで、筆者が取材した範囲内の情報をテーマごとに分類し、年末に向けた電子書籍関係の動向をまとめてた上で個人的な意見も書き添えておきたい」ということで、「今回は、主にフォーマットについての話題をまとめてみた」。落ち着いたトーンのまとめ。

「筆者に集まってきている情報を総合すると、各種端末はマルチフォーマットに対応し、少なくともPC上のツールでは複数の電子書籍販売ポータルに対応する方向で調整しているようだが、読者個人に対するライセンス(電子書籍を読む権利)を異なるサービス間で継承するための枠組みについては、まだ調整が必要のようだ」「とはいえ、実際にビジネスが始まりさえすれば、読者にとって悪い方向に行く事はないと思う。複数のシステムが存在することで、競争が発生する見込みが高いからだ。販売価格での競争はあまり見込めないが、運用形態の柔軟性に関しては競争が起きるだろう」。

最後のコストの話は実際の数字が出ていて興味深い。

 電子書籍のコスト構造のうち、もっとも大きな割合を占めているのは配信・課金システムのコストで、おおよそ4割が見込まれている(ずいぶん配信コストが高いと筆者も思うが、この数字はリアルなものだ)。電子書籍の価格は紙の場合の7〜8割というが、多くは7割程度になると見られる。

 ちなみに著者印税は講談社の場合で販売価格の15%、小学館は出版社売上げの25%との事だ。配信は外注されているため、小学館の場合も25×0.6=15(%)と両者は同じ印税率だ。また、前述したように紙の本の7割の価格が付けられる予定であり、この15%にかけ算すると、紙の本で言うところの10.5%が著者印税になる計算。

 すなわち著者の手元に入る金額は1冊当たり、紙でも電子でもほとんど変わらない事になる(ただし電子配信は売上げ実績に対してしか支払われないため、初版分に対してアドバンスで印税が支払われる紙の本とは厳密には異なる)。

【本田雅一の週刊モバイル通信】 電子書籍元年に迎える年末