オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ

「ジョジョの奇妙な冒険」12巻から28巻まで出荷停止

夕べの深夜0時ごろのNHKニュースで、そういう話をやってました。なんでもイスラム教を冒涜する描き方があったと指摘されたからとのこと。「ジョジョ」のアニメのDVDも同様に出荷停止だそう。

「出荷停止」ということは、問題点を修正して再出荷するんでしょう。

(むかし「Dr.スランプ」で、山吹先生をさらっていった黒い人たちの姿が黒人蔑視だと指摘され、黒いけど人ではないなにかに描き換えられたことがありました)

12巻から28巻というと…やはり第3部。イスラム関係で、というとなんとなくアブドゥルかなあという気がする。でも12巻は、第3部の最初の話しか載ってないのね。

条太郎が警察に拘留されていて、「うぉぉぉぉん しょ…少年ジャンプを読みながらラジカセをきいているッ!」「も 問題だぞ これは問題だぞッ………!」の回。もちろんアブドゥルは出てきません。

ニュースでは、アニメの内容にふれて「コーランが下に落ちるなど不適切な表現があった」と言っていた。でもマンガのほうについては、どこが問題視されたのかよくわからない(聞き逃したかも)。少年ジャンプを読みながらラジカセを聞いているのがイスラム的にまずいのか。いやまさか。

集英社のサイトには、《アニメーション「ジョジョの奇妙な冒険」における表現について (日本語)》なる文書が載っていた。

なんでこういうのってテキストじゃなくて画像なのかねぇ…それにURLは http://www.shueisha.co.jp/info/index_j.html である。こういう汎用的なURLに置くということは、そのうち消しちゃうんだろう。こういうのってかえって信頼なくすと思う。しょうがないので全文引用。

集英社発行のマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」を基に制作されたオリジナルアニメーション作品「ジョジョの奇妙な冒険 Adventure6 −報復の霧−」(アニメーション制作 A.P.P.P.)におきまして、登場人物の一人が手にしている書物にイスラーム聖典である「コーラン」の「雷電章」の一部が描かれており、描写として適切でない部分がありました。

ジョジョの奇妙な冒険」は、時代や国境を越えたファンタジー作品であり、その内容にイスラームムスリムを冒涜する意図はまったくありません。また、原作者は、漫画の中で「コーラン」を一切描いておりません。調査の結果、アニメーション化の過程で、舞台がアラビア語圏であったためアラビア語の文章を探していた現場スタッフが、それが「コーラン」の一部だとの認識を欠いたまま転写してしまったことが判明しました。

また、その後の調査により、原作およびアニメーションにおいて、対決シーンにおけるモスクの描写についても不適切な表現があったことが分かりました。

集英社およびA.P.P.P.は、これらのシーンがムスリムの皆様に不快な思いをさせてしまったことに対し、心よりお詫び申し上げます。我々は、今回の問題を真摯に受け止め、当該DVDアニメと、原作の一部の出荷を停止するとともに、他の部分の調査を進めてまいります。今後、このような事態を二度と起こさぬため、イスラームとその分解についての理解をよりいっそう深めるべく、努力する所存です。

2008年5月22日

株式会社集英社

有限会社A.P.P.P.

アニメーション「ジョジョの奇妙な冒険」における表現について (日本語)

同じ文書の英語版《Letter to the Audience of “JoJo’s Bizarre Adventure” (English)》(http://www.shueisha.co.jp/info/index_e.html)には、もうちょっと詳しい説明があった。

We recently discovered that a scene in Episode 6 of the animation offended our Muslim audience. In the scene, JoJo's enemy, Dio, is shown reading a book that contains some text from the Holy Qur'an.

(アニメ版「ジョジョ」の第6巻に、ムスリムの視聴者を不快にさせるシーンがあることがわかりました。そのシーンで、ジョジョの敵であるディオが、コーランの一部が書かれた本を読んでいるところが出てきます)

Letter to the Audience of “JoJo’s Bizarre Adventure” (English)

つまり「登場人物の一人」とはディオなのね。

そのほか英語版には、当該シーンを含む単行本が1991年に発行されたこととか、「その後の調査」については「ジョジョの第3部のアニメやマンガ全部」を対象にしたこととかが書かれている。あと今後については、「We will not make new copies without correcting these problems.」(集英社は、これらの問題ある描写が改善されるまで増刷をしません)と断言している。

ところで、ニュースでアナウンサーがまじめな顔で「ジョジョの奇妙な冒険」と言っていたのが面白かった。「『ジョジョの奇妙な冒険』は昭和62年に『少年ジャンプ』で連載が始まり、単行本の総発行部数は4000万部を超える人気マンガです」なんだそうですよ。

ともかく人気マンガであることだし、問題点が描き換えられるのを待てばまた増刷されることになる感じ。

ジョジョマニアの皆さんにおかれましては、奥付の発行日が今日以降になっている単行本が出たらさっそく手に入れて、どこが修正されたか探してくれることでしょう。

第1巻第1話の超有名な誤字「なっ! なにをするだァ−−−ッ ゆるさんッ!」も文庫化時に直ったようですし(詳しくは:「部屋を整理していたらジョジョの第一話が出てきたよ - NATROMの日記」http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080515#p1[↑B])、直すところは直して、さらにたくさんの人に読んでもらいたいものです。

ジョジョの奇妙な冒険』新書版を全巻買う

ストーンオーシャン』文庫版を全巻買う