佐々木俊尚『フラット革命』にみる、「ジャンル担当ジャーナリスト」が一人しかいない不幸

【元記事:佐々木俊尚『フラット革命』にみる、「ジャンル担当ジャーナリスト」が一人しかいない不幸:d:id:manpukuya:20070807:flat

フラット革命

フラット革命

インターネットが、中心を持たない「フラット」な世界を作り出している、我々はそんな中でどうすりゃいいのさ、といったような話のもよう。とても面白そうで、ぜひ読んでみたい。

のだけれど、正直「うーむ、また佐々木俊尚か…」という気もするのだった。

ネット社会を取材対象に選び、実績を上げているジャーナリストがこの人だけというのは、いかにも寂しい。彼なみにネットを語れるジャーナリストは、ほかにはいないのか。

ライバルがいたほうが、そのジャンルの言説は絶対に盛り上がる。

雑誌の世界を見ればわかるだろう。発行されている雑誌が一誌しかないジャンルには活気が感じられない。「一誌あれば十分」という程度のパイしかないように見えてしまう。ライバル誌があったほうが、作る側にも読む側にも刺激がある。

こういう話を考えるとき、思い浮かべるのが宇宙開発というトピックである。

現在、宇宙開発について「ジャーナリスト」として文章を書くことができる人は事実上、松浦晋也さん(面識があるので「さん」づけ)しかいない。

ジャーナリストは、対象への広範な知識を持ち、情報収集や取材をでき、集めた情報を読解し、そこから得た見解をわかりやすく構成し、読みやすい文章にまとめるといった技術を持っている。

特に、情報の収集と読解には、独特の嗅覚ともいうべきスキルが求められる。情報収集といっても、誰も知らない秘密を暴くようなことばかりではない。公開されている情報を複数組み合わせて、ほかの人が気づかない意図を読み取れることもある。

そういう技術を得るのは大変だし、知識や文章力でも先行している彼らに追いつくのは大変だろう。けれど、今のような寡占状態は不健康でもある。異なる視点から語ることができるライバルジャーナリストに、ぜひ登場してもらいたい。

(余談:ブログの特徴は「基本的に取材をしないこと」で、それによって独特の価値が生まれていると思う)