「ポルシェの神様」と称された、すごい整備士の人が亡くなったそうだ。加藤等さんといい、職人らしいエピソードが満載である。
「超一流の技術力から客やレーススタッフは加藤さんを『ポルシェの神様』と呼び信頼した」そうで、こんな話が紹介されている。
十数年前の鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)でのレース中だった。ポルシェの現地メカニックから電話が入った。予選で成績が振るわないという。
「2周してみて」。加藤さんはドライバーに指示すると受話器に集中した。走行音を聴きアドバイスした。「左前の車高を4ミリ上げ、右後ろの車高を2ミリ下げて。0.4秒縮まるよ」。しばらくし「0.5秒縮まった」と連絡があった。
自動車整備士:「ポルシェの神様」工場に死す 神奈川−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
できすぎなレベルのすごさ。そして、いかにも職人らしい話も。
目立つことが嫌いで、会社の宣伝もせず、取材の要請もめったに受けなかった。整備工場も外観は廃材置き場のようで、看板もない。電話帳にも載っていない。
(中略)
32年のつき合いという東京都板橋区の医師、郡谷(ぐんや)正夫さん(55)は苦笑する。「『ちょっとみてください』と言って初めて来る人にちらりと車を見て『みました』とやる。私も話しかけてもらうのに3年かかりました」
自動車整備士:「ポルシェの神様」工場に死す 神奈川−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
このあたりもなんかこう、一般的に知られている「職人かたぎ」像にマッチしている、いやマッチしすぎているというか。
なにか秘密組織があって、技術力のある職人かたぎの人が集まって、「職人かたぎらしい言動とは」を日々研究し実践しているんじゃないかと思うほどだ。
(実際は、技術を身につけることに専念していると、社交性を身につけるチャンスが平均より少なくなるのだろう)
「自社工場でポルシェを整備中、何らかの原因でジャッキが下りて車体の下敷きになり、帰らぬ人となった」とのこと。奥さんいわく「男の人たちが主人のそばで号泣するんです。男に泣かれる男って私には計り知れません」。
まさに職人、職人の中の職人だ。