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「第25回 宇宙科学講演と映画の会」

新宿へ移動し、JAXA/ISASが主催の講演+映画会へ。会場は超満員で、立ち見やロビーでの中継観覧まであった。男女比は男性9.5:女性0.5(もっと極端かも)。年齢層がとても高く、50代以上のおじさん多数。後ろのほうの席で見ていた知人が「頭の地肌が見える人がたくさん」と表現していたのがおかしかった。会場では松浦晋也さん、鈴木順さんなどに会う。

講演は、平林先生による電波望遠鏡「はるか」の話と、川口先生による探査機「はやぶさ」の話。どちらもリラックスした雰囲気。

平林先生の独特のユーモアは、会場でもいい感じで受けていた。質疑応答では「人工衛星と地球を結んで大きな電波望遠鏡を作るのがよいのなら、たとえば月や火星に電波望遠鏡を作ればもっとよいことになるのか」という質問。平林先生の回答は「月に電波望遠鏡を作るよりは、周囲の環境に影響されない人工衛星のほうがいいような気がします。また、いきなり大きなものを作っても見る物がないかもしれない。少しずつ大きくしていくのが順当でしょう」ということだった。

川口先生は、講演のタイトル「3億kmかなたに宇宙船をあやつる」を、平林先生の講演タイトル「3万kmの瞳」を見て即座に決めたそうで、ほかにも言葉の端々に負けず嫌いなところと、同時に熱いパッションが伺えた。そして今は「個人でお楽しみください」のすごい画像が、あんなものやこんなものまで。こりゃすごい。

イトカワ探査の際、地形にあれこれニックネームをつけていたという話は初耳。「イトカワ富士」「M-V」「ペンシル」「調布」「武蔵野」「相模原」「筑波山」「内之浦」「臼田」「八ヶ岳」「能代」「白神山地」といった名前をどんどんつけて、「あの岩のあのあたり」とか言わずにすむようにしていた由。

映画は「50年目の再現 ペンシルロケット水平試射」。去年の夏に開催された、ペンシルロケットフェスティバル(d:id:Imamura:20050819:pencil)の準備と当日の模様を紹介するもの。「ペンシルロケットというとても小さなシステムを、最初から最後まで自分たちで作れるというのはいい経験になるでしょう」という的川先生の言葉がすべてを語っていた。

今日のこのイベント、実は行こうかどうかちょっと迷っていた。でも、非公開の情報や混雑具合、客層の偏りなど、現場で見て初めてわかることがいろいろあって収穫だった。行ってよかった。

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余談

川口先生は「『はやぶさ』はロボットです」と話していた。自分で判断して行動することを指してのこと。それはよくわかる。でも産業用のロボットは、単に決められた動作をくり返すものという認識が一般的に思える。

内部でロボット的な動作をするもの(はやぶさなど)と、腕のような外的なメカニズムを持っているもの(産業用のロボットなど)のどちらも、「ロボット」と呼んで差し支えないと思う。

でもそれぞれが指す「ロボット性」のようなものは異なるのだな、ということを考えていた。