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「下流」マーケティングと出版

インサイター:サントリーのコーヒー戦略に見る『下流マーケティング』」を読んで、じゃあ自分の仕事である出版における下流マーケティングはどうなるだろうと思っていたら、d:id:erohen:20051030さんがすでに考察していた。

最近、今さらながら『だからWinMXはやめられない』(ISBN:4844318004)を読んだ。わらしべ長者的な成り上がりっぷりをとても楽しく読んだわけだけれど、作る立場からのお願いは「落とした作品が面白かったら人にすすめてね」「次はなるべく、お金を出して買ってね」なのである。立ち読みや古本屋、マンガ喫茶P2Pなど、作る側にお金が入らない楽しみ方が即、悪いことだとは言わない。でも、いつかはお金が作り手に回るようにしてほしい(参照:「読書体験拡張装置としての古本屋」:d:id:Imamura:20050406:bookoff)。

『だから…』の主人公は最終的に「職人」になり、エンコード用のDVDなどを自分で買うようになったけれど、Winnyの登場で、職人が尊敬を集める牧歌的な時代はとうに終わってしまっている。それに、鳥のヒナが巣から口を大きく開けるようにして、職人のおこぼれをいつまでももらい続けようとする人もいるだろう。「下流」時代はその違いが広がって、買う人はいつも買い、買わない人はいつまでも買わないということかな。

となれば? 立ち読みですませられずに思わず買ってしまい、古本屋に売る気にもならない面白さで、さらに本そのものの質感や感触が重要な本を作ればいいんだ! それができれば苦労はしません。

うまくまとまらなくてすみません。

余談

「上流」「中流」という言葉は昔から普通に使われてきたけれど、これらの分類のひとつとして「下流」という言葉が堂々と使われるようになったのは『下流社会』が出てからじゃないですか?(それまでは「年収300万円以下」かな) 「下流」はとても一般的な単語だけれど、今年なら流行語大賞にノミネートされてもよい気がする。