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読書体験拡張装置としての古本屋

【元記事:読書体験拡張装置としての古本屋:d:id:manpukuya:20050406:bookoff

d:id:Imamura:20050401:bookoffで紹介した「ブックオフは出版界にとって『悪』か?」へトラックバックされていた、「猫は勘定にいれません:ブックオフの功罪」を面白く読んだ。

この方が住んでいる町には、2つの大型書店があった。便利さや品揃えは実力伯仲、筆者も両店舗を同じ程度に利用していた。

ある時、一方の書店のすぐ隣にブックオフができた。1年後、2つの大型書店のうち1つが閉店してしまったそうだ。さて閉店したのは、隣にブックオフができた書店(A)と、もう一方の書店(B)のどちらだったと思うだろうか。

答えは(B)の、ブックオフから離れているほうの書店だったそうだ。この段階では、(A)の書店は「ブックオフのおかげでライバルを蹴落とすことが出来た」のである。この筆者自身、「ブックオフを見てからA書店にあるいはその逆といった感じで、A書店に行く割合が圧倒的に増え、B書店にはほとんど行かなくなっていました」とのことで、新刊書店とブックオフを、消費者として便利に活用できていたことになる。

ここで思い出したのは、数年前に音楽再生機能つきのPDAを買ったときのことだ(→d:id:Imamura:20030909:p1)。CDウォークマンを持ち歩くのは面倒だったが、これならお手軽に音楽を聴ける。そして音楽を聴く習慣が復活し、CD屋へも行くようになった。新しい装置が生活を変えた。

古書店も同じように、本を読むことへの敷居を下げ、読書の体験を拡張してくれる。中学や高校のころは、100円の文庫本が読書欲を大いに支えてくれた。古書店は、読書体験の拡張装置なのだ。

繰り返しになるけれど、ブックオフなどの古書店には、今まで本を読まなかった人を読書体験に誘う効果がある。そういう人を取り込むことで、結果的には出版業界全体が活性化するはずだ。