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99/03/06 (Sat.)

元記事:夜の記憶−99/03/06 (Sat.)】

風強く、花粉の嵐吹き荒れる。出かけるつもりが、出るに出られない。外は風が吹いているだけなのに、風の中に毒が含まれているような気分。「外は毒ガスが出ているため、家にこもっている」という状況は夢に出てきそうだ。
 日が傾く頃、ようやく風もおさまってきたので外出。銀座テアトル西友で、映画『ガッジョ・ディーロGadjo Dilo』を観る。ルーマニアのロマ(いわゆるジプシー)たちとフランス人青年との交流を描く作品。歌と踊りのパワーが、エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンドUnderground』を思い起こさせるが、話はずっとシンプルで大らかだ。観ていてややもどかしいのは、主人公のフランス人青年にとって、ロマは言葉もほとんど通じない異邦人なわけだが、観ている自分にとってはそのフランス人青年もまた異邦人であることだ。ロマのメンタリティがわからないのと同じように、フランス人のメンタリティもいまひとつつかみづらい。2つの民族の両方について固定化された印象を持っていないため、意味を説明されない行動を理解しきれないもどかしさがより強くなるのだった。一方で、ロマとルーマニア人との対立はわかりやすく描かれている。このあたりは観ていてつらく、人間はどこでもどうしようもないことをしてるもんだとしか言いようがなかった。
 続いて同じ銀座テアトル西友で、レイトショーの『kino』。今をときめく「だんご3兄弟」の佐藤雅彦が撮った短編6本。どれもひとネタ勝負で、かわいらしい話が多い。ルーマニア(こちらも)の町並みや人の顔が不思議と親しみやすいところも好感が持てた。