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アイデアを詰め込んだ自作キーボードたちの百花繚乱「天下一キーボードわいわい会 Vol.2」

(ウェブ媒体向けの原稿がVol.3までに書き上がらなかったため、手直しして掲載します)

去る5月4日、六本木にて自作キーボードのイベント「天下一キーボードわいわい会 Vol.2」(略称:天キー2)が開催された。会場は昨年11月の「Vol.1」と同じで、ここは椅子が備えられている。机に向かって座った状態でキーボードに向かえるため、実使用の感触を確かめやすい。参加者が持ち込んださまざまなキーボードの試し打ちや、製作者との活発なコミュニケーションが行われたほか、会場に接したブースでは自作キーボードキットや関連グッズが販売された。

Vol.2で見ることができたおもなキーボードをフォトレポートで紹介する。

Genesis 2.5

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せきごん(@_gonnoc)氏が開発した「Genesis2.5」は「2.5Dキーボード」をうたう。キーが行ごとに分割されており、側面のPCBに好みの傾きで固定する。Colosseum60/44Lime40のような立体キーボードと異なり、基板の手配線が不要ながら、上列に指が届きやすい傾斜をつけることができる。

SISO59

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せきごん(@_gonnoc)氏が開発した「SISO59」。BLEモジュールを内蔵しており、キーボードと本体、分割された左右のキーボード間のすべてを無線化した。電池はリチウム電池専用。

yosino58

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さくらんぼ(@sakuranbo0046)氏は開発した「yosino58」を金色に仕上げた。「機動戦士Zガンダム」に登場する金色のモビルスーツにちなんで「百式」と名付けた。

Manta60/40

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Manta60」は鴨南蛮(@ralfdegen)氏が開発した60%キーボード。%表記は108キーのキーボードに対するキー数で表されており、Manta60は64~68個のキーを実装する。ソケット対応で、組み立てた後でもCherry MX互換のキースイッチを交換できる。

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こちらはキー数を減らしたManta40ベータ。

Dozen0

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◤◢◤◢◤◢◤◢(@yynmt_)氏が開発した12キーのキーパッドDozen0(ダースゼロ)」。標準のキーマップではカーソルキーやEnterキー、カット/コピー/ペーストキーなどが配置されている。

KagaMidget

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同じく◤◢◤◢◤◢◤◢(@yynmt_)氏が開発した、タクトスイッチをキーにしたミニキーボード「KagaMidget(カガミジェット)」。

Nirvana Type-SS

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Nirvana Type-SS」は朝槻楓(@kaede_asatsuki)氏が開発した48キーのキーボード。左右対称の分割キーボードが欲しくて作ったという。通常のRow Staggeredのキーボードでは[T]キーの左下は[F]キーだが、Nirvana Type-SSは[G]キーが配置されている。

answer40α

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せがた(@keyaki_namiki)氏が設計した「answer40α」。現在は「answer40 v2.0」が販売されている。[Y]キーが[H]キーの左上ではなく右上に配置され、そこから右側のキーが右にずれている。[Y]キーを押しにくい問題をNirvanaとは異なるアプローチで解決しようとしている。写真では親指が当たるキーキャップを上下逆向きに取り付け、指が当たる感触を変えている。

Treadstone32

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まーく(@marksard)氏が設計した「Treadstone32」。わずか32キーを組み合わせてすべての文字を入力する。

Naked48LED+Setta21

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サリチル酸@Salicylic_acid3)氏が設計した薄型キーボード「Naked48LED」とテンキーパッドの「Setta21」。いずれもロープロファイルキースイッチ専用の設計。Naked48LEDはカバーが標準添付されるため持ち運びに向く。Setta21は単体でも使用できるほか、Naked48LEDにTRRSケーブル(4極のオーディオケーブル)で接続できるため、同時使用時に占有するUSBポートを1つですませることができる。

Checkmate1

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本郷開発局(@HDGkeyboard)は3次元CADの操作に最適化された「Checkmate1」を出展。液晶タブレットの左右に配置し、コマンドや数値を左手で入力できる配列にした。キット7万円、完成品9万円と高価な製品だが、3Dプリントのケースやキーキャップにコストがかかるためこれでも利益はほとんど出ていないという。

Benzene666

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しろとり(@swan_match)氏が開発した異形のキーボードがこの「Benzene666」。本機専用のHXAキーキャップをよく見ると、刻印がすべて異なっている。三角形を構成する線を使って数字やアルファベットを表現している。

カーソルキーしかないキーボード

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ここからはキットの作例。

カーソルキーだけを集めたキーボード。Pimp My Keyboardが定期的に販売しているGrab Bag(福袋)をじょー(@iron)氏が買い求めたところ、カーソルキーばかり80個も入っていたため製作したという。Grab Bagは販売できないB級品をとりまぜたもので、ここまで偏ることは珍しいそうだ。

キーキャップで自己主張

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上はオオケムシ(@ookemushi)氏が製作したCorne Cherry。漢字のキーキャップで怪しい雰囲気を演出。

ALPSキースイッチを移植

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昔のMacintosh用キーボードからキーを移植して作ったキーボード。じょー(@iron)氏製作。Mac用キーボードなどで使われていたALPS社のキースイッチは現在製造されておらず、独特のキータッチを求めて中古のキーボードを買い求める人も多いという。

百合Helix

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左右分割キーボードの「Helix」を383(@saya3633)氏と雪ちゃん(@snow_chu2byo)氏が「女の子同士で片手づつ作って交換しました」。その名も「Yulix」。女性同士の恋愛を描く「百合」の波が自作キーボードにも来ている。

キーボードでテトリス

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キーボード上のOLEDディスプレイでテトリスを遊べるようにしたもの。詳細は「melpon/qmk_games: QMK Firmware 上で動かすゲーム」に。

指を鍛えるキーボード

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キースイッチを押し込むのに必要な荷重は多くの種類が50グラム前後だが、このMint60は280グラムという重量級のキースイッチを使っている。1文字ごとにぐっと押し込む必要があり、タイピングするだけで指が鍛えられそう。

(ここまではキットが販売されていた/いるキーボード。会場ではほかにも「Nomu30」や「Claw44」などが販売されていた)

Lime40

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ここからはキットの販売が行われていない自作のキーボード。

上は「天キー」主催者のゆかり(eucalyn_)氏が試作中の立体キーボード「Lime40」。手のひらと指を平らなキーボードに沿わせることなく、自然な体勢でタイピングできるようにするのを目指している。

cscs64

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hatano(@_hatano_)氏が開発した「cscs64」。右側の白い基板は試作品とのこと。BLE Micro Proの使用を想定しており、電池は単4電池2本で1か月以上もつという。

「ことのは」シリーズ

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みなも(@X___MOON___X)氏は、キー数が一般的な108キーボードに対して約30%しかない30キーのキーボード、「ことのは」シリーズを開発している。写真は「侘寂」、「盆栽」に続いて開発した「居合」。数字や記号、カーソル移動などは複数キーの同時押しで入力する。

左右で同じ向きの分離キーボード

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とうふ(@Toufu_0_0_)氏が設計したキーボード。分割キーボードの多くは左右対称にするために、左右で同じ基板を発注し片方を裏返しにする。このキーボードは珍しいことに、基板を同じ向きで2枚並べている。実は基板を裏返すとキースイッチを差し込めない設計ミスがあったため、苦肉の策でこうしたとのこと。

「凶夜の双翼獣」

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@tomykaira_2氏が自作した「凶夜の双翼獣」は布団で横になって使うことに特化したトラックボールつきキーボード。左手の上部にある「オーバーキー」は指の爪側で押す設計で、[Esc]キーや[Enter]キー、スペースキーなどを配置している。ケースは3Dプリンタで出力した。

ゲーム用コントローラ

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銀鮭(@sirojake)氏が製作した音楽ゲーム用のコントローラ「lovelive9」。見た目はゲームコントローラだが、自作キーボードで一般的に使われるマイコンボードのPro MicroファームウェアQMK Firmwareを採用し、キーボードとしても利用できる。Android端末側はroot化し、キーボードからの入力を画面へのタップとして音楽ゲームに渡している。

TRONキーボード

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既製品のキーボードを持ち込んでの歓談も行われていた。写真は小熊善之(@0guma)氏が所有のTRONキーボード「TK-1」。ArduinoにつないでUSBキーボードとして使えるようにし、Windowsパソコン上で文字を入力できていた。

大人気のArtisanキーキャップ

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@hiddenbox4氏は実用性より装飾性を重視した「Artisanキーキャップ」を作っている。マグロをあしらったキーキャップ「Tuna」の限定カラーは販売個数が少なく、希望者から抽選で選ばれた人が購入していた。通常のキーキャップは1つ数十円からだが、これは1つ4,000円だった。

キーキャップを簡単に装飾するアイデア

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フィギュアをキースイッチに載せる台座を3Dプリンタで出力し、フィギュアの底面には台座と組み合うダボ穴を開けたもの。お手軽にArtisanキーキャップを作れる。銀鮭(@sirojake)氏のアイデア

「令和」キーキャップ

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天高(@skyhigh_works)氏が販売していたのは、新元号「令和」などが刻印されたキーキャップ。裏に仕込まれたカラーLEDの光が透けて見える。

キーキャップ用デカール

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同人誌「超かっこいい自作キーボードを作る本Vol.1」の付録、キーキャップに貼り付けるデカール。ぺらねこ(@peraneko_neo)氏が制作。会場ではデカールの貼り付け体験も行っていた。


木製キーボードケース

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左からBlocKeyCorneHelixPicoの木製ケース。シナベニヤを圧着してワックス仕上げしている。◤◢◤◢◤◢◤◢(@yynmt_)氏制作。

革製パームレスト

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新宿キャットウォーク@shinjukucatwalk)は革製のパームレスト(1,500円~3,500円)を販売。

meishi用アクリルケース

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とみね(@htomine)氏は名刺サイズのキーボード組み立てキット、「meishi」用のアクリルケースを販売。

革製キーボードケース

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Mint60を収納するケースを自作。こういう楽しみ方もある。

トーク企画としては、販売中のキーボードキットを開発者が一言で紹介するコーナーや、「それはそう」公開収録、フルカラー3Dプリント用のデータの作り方解説が行われた。

天キー3こと「天下一キーボードわいわい会vol.3」は11月30日(土)に開催される。本稿掲載時すでにキャンセル待ちになっているが、当日行けなくなってキャンセルする人はこれからも出てくると思うのでチェックしてみては。

(2019年11月28日更新)

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