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H3ロケットに関する記者説明会

今回初披露となったH3ロケットの模型
左からH-IIAH-IIB、H3ロケット

開催日時

  • 2015年7月8日 15時30分~

登壇者

  • JAXA 第一宇宙技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田匡史(おかだ まさし)
  • JAXA 第一宇宙技術部門 H3プロジェクトチーム サブマネージャ 有田誠(ありた まこと)
  • JAXA 第一宇宙技術部門 事業推進部 計画マネージャ 森有司(もり ゆうじ)

中継録画

H3ロケットに関する記者説明会 | ファン!ファン!JAXA!

http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/5003.html

※03:10くらいに始まります(最初1分ほど音声なし)

【放送予定】7月8日(水)15:30~ H3ロケットに関する記者説明会 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-

http://blog.nvs-live.com/?eid=307

※02:00くらいに始まります(最初1分ほど音声なし)

配付資料PDF

参考資料PDF

2020年:H3ロケットの目指す姿(岡田)

ようやく皆さんにお話できるようになった。新型基幹ロケットはなかなか姿を現さないと思われたかもしれない。

過程をお見せできない面があったが、ようやく姿を作り上げることができた。まとまった形でご報告できるタイミングとなった。

私は高校生と話すのは得意だが大人の方と話すのは苦手。だんだん調子が出てくると思う。

機体名称について

すでにご案内の通り名称をようやく決めた。H3(エイチスリー)ロケット。皆さん「(仮称)」としてお使いいただいていてなじみがある。面白みはないかもしれないが。

愛称をつけるかどうかは三菱さんと検討していく。


現状と課題

多くの方は半分くらいの内容はご存知と思うがご了承いただきたい。

だいち2号の打ち上げ。大好きな写真。とてもいい天気。

N-I、H-I、H-II、H-IIAと段階的に開発してきた。
このまま使い続ければいいという意見があるかもしれないが…。

H-IIAロケットの課題

衛星の大型化に対応しきれなくなってきている。H-IIAはH-IIと同じ大きさ。古いコンセプト。

また今後各国の新しいロケットが参入してくる。

設備の老朽化は宇宙開発予算を圧迫する。

開発機会が不足すると技術者が離れていく。

機数が少ないと事業を続けにくい。

世界の競合ロケット

現在と2020年ごろ。

技術者の継承

どのロケットの開発経験があるかの立体グラフ。
私はいま53歳。H-IIロケットの開発の終わりあたりから携わっている。

新たな世界への転換

自律的で持続可能な輸送へ

余剰予算を将来の投資に。国際競争力のあるロケットを。

政府の方針

民間事業者の主体的な参加。

H3ロケットとは?

要求分析

どんなロケットにするか。長い時間をかけて分析した。マーケティング…需要分析、競合分析、顧客要望(VoC)分析。

狙い

VoCを実現することを第一に考えたロケットに。
信頼性、価格、サービスが揃っていなければ。打ち上げだけでなく事業開発も。

どんなロケットかと聞かれるとこう答える。

狙いからコンセプトへ

3つのテーマ。コスト削減、信頼性、柔軟なサービス。

ライン生産:ロケットの受注がなくても淡々と生産を続けるように

新エンジンの開発に新しい開発手法を。民生の部品を使いつつ故障に強く。

受注から打ち上げまでの期間、打ち上げ間隔、射場での作業期間、それぞれ短縮する

H3ロケットのシステム概要

最低コンフィグは定常段階で50億円を目指す。

SRB4本では静止トランスファー軌道へ6.5トン。H-IIBよりひと回り大きい打ち上げ能力。

イプシロンと同様の方向性(技術をそのまま使っているわけではないが)。複雑な液体ロケットに自動点検機能を。

H-IIAロケットの打ち上げ間隔53日を半分くらいに。

射点について。新設備はあまり作らずすんだ。よかったこと。ロケットを変えたときVABの頭につっかえると建て直しになる。オリンピックのこともあり建設費が高い。立て直さずにすんでよかった。

ブロックハウス(ロケットの運用管制室)はいまほぼ全員MHI、その人々はほぼ全員外に出て離れたところから管制する。
100~150名の人員を1/3~1/4にするオペレーションを考えている。

ロケット技術の集大成

H-IIロケットは初の純国産大型ロケット。システム作りを獲得した。

H-IIAロケットは30機近く運用した経験。また基幹ロケットの高度化。

H-IIBロケットは主エンジンのクラスター化。

これらの集大成としてH3ロケットを開発する。

信頼性向上の取り組み

ロケットエンジンの開発はロケット開発の運命の半分くらいを担う。

本質的に低コストなエンジンに。

今までは最後までトラブルがわからない設計・開発手法だった。
シミュレーションを活用し、危ないところをなるべくつぶしておくというチャレンジに。

第1段エンジン:LE-9

燃焼器だけの単体試験(LE-X)

コスト半減への取り組み

H-IIAロケットの貴重な経験からフィードバック。

3つのポイント。システム構成の簡素化。低コストの製造・運用コンセプトを設計段階で作り込み、日本の得意な技術の活用。

搭載機器の再配分でコンポーネントを減らすなど。

あそことここに同じねじを使うなど。

ライン生産。準備作業や待ち時間を減らす。ラインに流しやすい機体にする。
モジュールにしておくことの利点。
主エンジンは2基か3基かで選べる。工場でこう流れてきて、最後に主エンジンを2基にするか3基にするか選んでくっつけられるようにしている。これがモジュール化。

固体ブースターの結合分離機構を簡素に。

種子島での作業を減らす。

目指す運用コンセプト

注文から打ち上げまで2年、打ち上げ間隔2か月、組み立て作業1か月を大幅に短縮する。

2020年以降は多数のロケットをどんどん打ち上げていく。

開発・運用体制


民間事業者とJAXAの役割


開発体制


今後の予定

開発スケジュール

2020年度に試験機1号機を打ち上げるためのラフなスケジュール。

開発が本格化するのはエンジン試験が始まる2016年後半くらいから。
エンジン燃焼試験、SRBの試験などなど。

個別試験に続いてシステム統合。2020年度の中で。そのまま年度内に試験機打ち上げ。

今年度は基本設計。2016年度は詳細設計。

まとめ

わたしの夢はこういう写真。

(冒頭提示された「だいち2号」の打ち上げの噴射煙が3つ並んだ写真。同時に3機打ち上げられるくらいの高頻度で回していきたい意気込みということのもよう)

質疑応答

日経新聞やの:システム概要について。SRBがついていないもの。これは静止軌道には行かないのか

岡田:静止軌道には行けます。運べる重量は詳細設計で決まる。いまのところ特段数字は決まっていない。

マイナビニュースかみやま:エンジンについて。LE-5Bを改良とのことだが具体的な改良点を。またLE-11エンジンはどうなったか

岡田:一番の改良点は長寿命化。H-IIAロケットのものより大きい2段目を運ばなければならない。タンクが大きいので。燃焼時間が延びる。
LE-11は当初の構想でいろいろトレードオフ。2020年に打ち上げを実現しなければならない。1段と2段をまったく新規に同時開発したことはない。そのチャレンジをしてもよいか考えて、長寿命化は必要だけれども今回は確実に開発できる方法を選んだ。
そこは最後にはある程度の決断をする部分。

読売新聞ふゆき:LE-5BからLE-9に代わるとき推力はどのくらい上がるか

岡田:LE-5Bは上段に使っているエンジンで推力は14トン。LE-5B改良型は14トンで変わらず。
LE-9は150トン。推力は10倍以上。LE-9の使い道は下の資料のように2基か3基を束ねて1段目に使う。LE-5B改良型は2段目に1基搭載。

ふゆき:どうやって推力を大幅に上げるのか

岡田:燃料をエンジンに供給するためにターボポンプがある。そのターボポンプを駆動するガスをどうやって作るか。
LE-5Bでは燃焼室の壁を冷やしている液体水素、それが燃焼室の壁を冷やして自分の温度が上がってガスとなる。
改良型はガスの作り方を変える。
LE-9では、駆動に力が必要な駆動ガスを燃焼室で作ってあげなければならない。
燃焼室を長くした。冷やす面積を増やすことでガスの温度がなるべく高まるようにしてそれでターボポンプを駆動する。
どうやってタービンを駆動するガスの熱を奪い取るかが肝心。
熱効率をよくする設計。

有田:製造の技術も新しい大きなチャレンジ。

フリーライター大貫:SRBについて。ストラット廃止以外にコストダウンなどの設計変更はあるか

有田:基本的にはほぼ同じ大きさ。若干の改良。
低コスト化のための改良。部品点数を減らす。モーターケース国産化。性能向上のために推力パターンを見直す。H-IIAから振動レベルを減らす。
一番大きな改良は結合方式を簡素にすること。これが一番目立つ改良。

大貫:大きさはSRB-Aと変わらないが別物か

有田:いまのヘリテージは最大限活用しつつ別物と考えていただければ。

宇宙エレベーターニュース秋山:SRBの検討についてノズルのジンバルをなくす検討があったがこれはどうなったか。
需要動向分析について。SSO(太陽同期軌道)の商業衛星を打ち上げることはあるか。また16ページの分析でコンステレーション(複数の衛星を協調させて運用する方式)を目指すなどはあるか。

有田:ジンバルはなくす。ジンバルがあるのは主エンジンのみで。
現状、商業衛星の市場を形成しているのは静止通信衛星放送衛星のみ。
SSOの民間事業衛星は上がってはいるが年間何機も上がらず数年に1機程度。静止軌道は年間20機程度の需要。
需要動向としてSSOは出てきにくい。
どちらかといえば官需中心となる。

岡田:待ち受け型だけではなくコンステレーションやタイアップも考えていかなければならないだろう。

森:SSO衛星は1トン前後で推移と考えておりH3よりはイプシロンなどやや小さいロケットになるかと思う。

NHKはるの:顧客の要望に応えるとのことだが画餅にならないか心配。価格についていえばH-IIAの半額は実現できるのか。
具体的な根拠、見通しがあれば示してほしい

岡田:今の段階では見通しがある。今は設計がまだ進んでいない。一番考え抜いて50億にはまっていないと先に進めない。今の段階では実現性があると考えている。
開発に困難はあるため試験をしてみたらいろいろ戦いが出てくるだろう。なんとか実現したいと思っている。

共同通信ひろえ:「このままだと10年後には輸送手段を維持できなくなる」とあるがどういうことか

岡田:10年後にはロケットを開発する人がいなくなる。ロケットを開発したことのない人ばかりになってしまう。JAXAもそうだし各企業もそう。
わたしも10年後にはここにはいないので開発できる人がいなくなる。
この打ち上げ機数では産業として徐々に先細りになってしまう。企業の撤退が宿命としてある。
10年後は正確ではなく「このまま放っておくと大変なことになる」という意味。

ひろえ:H3の開発コストは

岡田:政府の資料では1900億円。

日経新聞うえさか:50億という打ち上げ費用はあくまで年間5~6機生産する前提か

岡田:はい。標準的な打ち上げ価格をこれから作るときなにを前提にするか。
我々よりは三菱さん企業チームが考える。もっともいけそうな前提で。
少なくとも5機以上は必要。

13ページの資料。当初の打ち上げ価格(図の左)は年間3機くらいを見ている。これを半分にする(図の右)となると機数を増やさなければならない。

うえさか:タクト生産方式も考えているか

岡田:はい。細かい生産設計にはまだ入っていないが三菱さんに聞くと考え方の大きな転換について聞けるだろう。
タクト生産はロケットを4つのセグメントに分けて製造しつつ順繰りに同じタイミングで移動していくようなもの。

読売新聞ちの:打ち上げ間隔の「大幅な短縮」は具体的には

岡田:ものによるが半分くらいにしなければならないだろう。

ちの:在庫を抱えるリスクは三菱重工の責任?

岡田:はい(笑)。しかし我々も何もしないわけではなく事業開発をしていく。

ちの:打ち上げ能力6.5トン「以上」とあるがどのくらいまで打ち上げ可能になるか

岡田:設計が途中なのでなんとも。基本設計が終わった段階ではっきりさせたい。
というのは三菱さんは今までH-IIAのときはロケットが完成してから営業していた。今後は完成がある程度見えてきたら営業を始めないと立ち上がりが遅れる。
いろいろな数値が激変する設計を今しているので今はなんとも。

時事通信かんだ:資料21ページ、打ち上げシステムの簡素化について

岡田:打ち上げ作業は2か月間隔とすると準備1か月、作業1か月というのが現状。
損傷箇所の修繕がある。焼け焦げたものを直す。これを焼けにくくするなど。材料や設計など複数の方法を考えている。でっぱりの少ない発射台にして焼け焦げを減らすなど。
熱防御の断熱塗料も考えている。

かんだ:フェアリングのバリエーションについては

岡田:なかなか難しいですが…バリエーションをたくさん持つとさまざまな需要に的確に応えられる一方コストが上がる。
あまり種類を持ちたくない。H-IIBのような数にはしない。

産経新聞くさか:各事業者が新ロケットを開発している。H3がそれらと渡り合っていくにあたって独自の強みは

岡田:(間)ちょっと難しいですが…。
H3ロケットは基本シングルロンチ。機動力のある液体ロケットにしつつコストを下げたい。
分析する限り2020年に登場するロケットのデータを見ていくとシングルロンチでこれほどがんばれるロケットはほかにないと考えている。
加工についても日本は安く作れると信じている。ものづくりが強いから。
26ページ。同じものを作るなら日本が安いといいたい。

日本ならではのきめ細かさ、おもてなしができるはず。
サービスとものづくりで強みを発揮する、この2本立て。

読売新聞たきた:打ち上げサービスについて。H3の打ち上げサービスをMHIがやるのか

岡田:はい。

たきた:それは試験機の時から? 何機か上げてから移行するのか

有田:MHIとの基本協定では打ち上げサービス事業の実施も含まれている。
協定の中に試験機の製造はMHI。打ち上げの責任はJAXAがもつ。

たきた:試験機はいまのところ2機の予定とあるが衛星の受注は

有田:打ち上げの責任はJAXAがもつが、どういう衛星を上げるかなどはまだ決まっていない。

たきた:LE-7のラインはもう閉めるのか。LE-5系列を強化していくのはLE-7の設計で今後が見通せない面があるからか

岡田:LE-7とLE-5は兄弟みたいなもの。同じ液酸液水を使う。LE-7がなくなると液酸液水の技術がなくなるというわけではない。LE-7の2段燃焼サイクル、これはスペースシャトルのSSMEと同じだがここでいったん使用をやめる。
LE-7の技術は体系として残した上でエンジンサイクルとしてはLE-5Bを採用するということ。
エンジンのサイクルを絶ってしまうというようなイメージではない。

NHK水野:開発が順調に行って2020年に試験機打ち上げ、価格も50億円を達成できたとして、売れるロケットになるのは何年後を見込んでいるか。信頼性をアピールするには20機など打ち上げなければならないのか

岡田:本当はすぐに立ち上がらなければならない。ファルコン9を見ればわかるように20機打たないとお客さんがつかないということはない。
試験機が打ち上がったら次かその次には商業のお客さんの引き合いがあるような状況にしなければならない。そうでないと立ち上げがスムーズではない。
年間6機や10機に近づけるにはそれがあまり遠いと体力が続かない。事業開発はそこが工夫だと思っている。

東京新聞さかきばら:基本シングルロンチにしたいとのことだがデュアルロンチにもメリットはある。あえてシングルロンチにするのはイプシロン増強型との競合を避けるためか

岡田:デュアルロンチは輸送サービスとして運用していく難しさがある。相手が見つからないと打ち上がらないなど。
アリアンスペースもそういうところを苦労していると聞いたことがある。
シングルロンチが我々の方針。うまくいけばメリットがあるがシングルロンチで安い価格を提供していく。
デュアルロンチは求められればできるようにはしていきたい。

ニッポン放送はたなか:コスト半減、国際競争力を高めるには為替市場の影響などもあろう。影響度をどう考えているか

岡田:そこはシビアな話。為替レートの分析をしてある程度のところまでは競争力のあるロケットでなければならないという意識でやっている。
為替レートの変動にはそれなりに耐えられるように考えている。また為替レートのデメリットをキャンセルする購買の方法を考えたりしなければならないだろう。
本当の円高になったとき…1ドル100円を切るようなときは新しいことを考えなければならない。そのときはH3の発展をさらに考えるなど。
とはいえ為替変動はかなりのことを想定してはいる。

日経サイエンスなかじま:種子島のVABに合うように設計したのか、設計したら偶然うまくおさまったのか

岡田:おさまるようにがんばった。わりといいセンのサイジングができたので。一例でいうと天井につっかえないよう低いところから立つなどといった工夫をしている。

なかじま:打ち上げの管制場所を移動する目的は安全確保か

岡田:いいえ。ブロックハウスには150人ほどが詰めている。打ち上げ準備で仕事が終わっても外には出られないので残らざるを得ない人が出たりする。
日常の中で打ち上げられるようにするのが目的。仕事が終わったら帰れるように。人員削減とコスト削減の両方。

フリーランス大貫:種子島宇宙センターについて。老朽化が進んでいる一方H-IIの30年前の設備をそのまま使う面もある。老朽化対応が先送りになるということか。
また衛星を年間6機打ち上げるとなると衛星の受け入れ設備も増強が必要と思うがそれはJAXAがするのかMHIがするのか

岡田:種子島は塩水との闘い。サビサビのボロボロだったりする。そこを補修することで意外と使えたりする。鉄骨はイチから作ると高いが補修で寿命が延びる。
老朽化対策は今後も必要だが新しくするよりは安い。どうするかはケースバイケース。
衛星建屋については三菱さんとこれから話をします。ロンチサービス会社が建物を持っているという例はないかもしれない。

マイナビニュースかみやま:第1段エンジンを2基もしくは3基と選べることのメリットとデメリットは

岡田:メリットは能力の微調整ができること。デメリットはバリエーションが増えることで生産コストの上昇がある。そこは天秤にかけた。

かみやま:H3は再使用ロケットの方向性の検討はするのか

岡田:我々のプロジェクトチームとしてはない。採用すると

かみやま:最小構成で50億円とのことだがSRBをつけるバリエーションでの打ち上げ価格は

岡田:国際競争力の観点から具体的な価格についてはお話しできない。価格の話は三菱さんがこれから決めること。

毎日新聞さいとう:H-IIロケットの開発にも携わったとのことだが、世界中に市場を広げるロケットを作る上で従来の官需との一番の違いは

岡田:マーケティングを常にしながら開発している。衛星の需要動向、競合の動きなどを常にウォッチしながら開発している。
皆さんからすると当たり前じゃないかと思うかもしれないが。

有田:これまでは性能をよくすることに比較的注力してきたが、H-IIAで30機運用してみると運用にもけっこうお金がかかると肌身に沁みてわかった。
このロケットは維持や運用といった完成後も戦っていけるようなものにしなければならずそういったことを意識して取り組んでいる。

さいとう:開発には人材育成もあるとのことだが若い人にどういうことをしているか

岡田:ある程度やってみせはするが手を出したくなるところをぐっとがまんしたりはする。それは皆さん同じだと思う。
ロケット野郎にとって開発はめったにない人材育成の機会。この機会をのがさず取り組んでいる。

NVSかねこ:H-IIAはいつ廃止になるのか

岡田:いつごろかはいま検討中。宇宙基本計画でも今年度中に文科省が計画をまとめることになっておりお手伝いしている。
重要なのは、こういうふうに計画的にフェーズアウトさせるのは難しい。H-IIからH-IIAへの切り替えは(打ち上げの連続失敗で)一気に進んで、そういう面では楽だった。

宇宙作家クラブ渡部:横置きのまま部品を組み付けるとあるがどこまで横置きで進めるのか

岡田:細かな艤装品は横向きで組み付ける。火工品など。立てたときは1段と2段を結合してすぐチェックアウトに入れるような状況。
H-IIA/Bは立てたあと艤装しているものもある。それで下図の「機体組立」の部分は半分くらいに短くなる。この図の比率はかなり実際に即している。

岡田:最後に一言。
今日はありがとうございました。開発は緒に就いたばかりでほぼなにもしていない。設計しているだけ。いくつかの要素試験程度。
来年の後半から開発の山を上り始める。みなさんに情報をお伝えしつつ進めたい。ぜひ厳しい目、優しい目でよろしくお願いします。

(以上)

関連リンク

宇宙科学の集い~再使用ロケットの研究について

開催日時

  • 2015年6月15日(月)14時30分~


中継録画

NVSによる中継

  • 【放送予定】6月15日(月) 14:30~ 宇宙科学の集い ~再使用ロケットの研究について~ | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-(http://blog.nvs-live.com/?eid=299

(1)21世紀の宇宙利用と再使用ロケットの研究


登壇者
宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授 稲谷芳文(いなたに よしふみ)

宇宙研は宇宙輸送の未来を切り開こうとしている。自分はイントロダクションとして。研究活動の進展があったためそれを紹介したい。

宇宙を取り巻く世の中の状況。

大きな流れとして宇宙ステーションは完成、運用中。この先どうしていくかは議論がある。それを作ったスペースシャトルは退役。1980年代はシャトルよりもっといいものを作ろうという時代。しかしなかなか現実化していない。

西側諸国は困難な状況がある一方新興国は我々とは少し違った動機で頑張っている。まったく新しいことに取り組んでいるわけではない。

アメリカでは民間活動による宇宙開発がさかんになりつつある。スペースX、ヴァージンギャラクティックなど。

このあたりを背景にして我々はどうするべきか。

スペースシャトルの理想と現実。週1回打ち上げれば頻度が上がってコストも下がるはずだが…見込みと結果の違い。

輸送コストを下げようとしてきた。輸送コストが1桁下がると、2桁下がるとというのがこのグラフ。

宇宙輸送の需要と次のゴール。

未来の輸送需要を作るには:2桁のコストダウン、1日に何十回もの打ち上げなど航空のような世界にならなければならない。

そういう世界をもたらす輸送機とは。

  • 1日に10回飛べる
  • 1回に100トン運べる
  • 1000回の再使用が可能

これらが我々のゴール。


  • 成功確率95%を99%にする
  • 民間や新興国とのコストダウン競争

動画。

動画。RVT#3

アメリカの民間が1段目を戻してくるのをやっているが我々は2000年ごろからやっている。

宇宙輸送の将来。再使用ロケットの研究

次のゴールは再使用型の観測ロケット。

羽根を使わず降りてくる方式。

クイックターンアラウンドの実現のためには地上での整備を簡単にしなければならない→垂直に上がって垂直に降りてくる

水素利用という面

来るべき水素社会に提供できるものごとがさまざまにあるだろう。

次のゴールは宇宙へのルーチンアクセスと2桁のコスト低減

この絵はニューメキシコ州の宇宙港の写真に我々の設備を合成したもの。

将来の宇宙は羽田から1日1000回飛び立つようなもの。今は飛行機の世界と比べると1桁2桁頻度が少ない。宇宙活動が活発になっていってほしい。

質疑応答

産経新聞くさか:再使用ロケットの世界として「故障を許容」とあるがどんなものか

稲谷:飛行機の世界は100万回のフライトで1回。1万日=30年であるから1日100回飛んで1回あるかどうか。非常に少ない。ライフを全うする飛行機は100機中ほとんど100機だろう。
ライフの間にたとえば1万回飛ぶと必ず全うできないというものは世間では許されない。1万回に1回では許容されないだろう。故障率や事故率を自分のライフの間以上にしなければならない。
使い捨てロケットは故障すると爆破。再使用ロケットはもう一度使う。故障があっても安全に降りられるというしくみ。たぶん何千回何万回に1回しか故障しない世界を作れるはず。その構築が大切。その基準はこれから作られていくだろう。

?:1000回、1万回に1回では許容されないとのことだが荷物が人かそうでないかで変わると思うが

稲谷:スペースシャトルで評判が悪いのは、荷物を運ぶだけのミッションに人が乗っていかなければならなかったこと。135回飛んで2回落ちてしまった。
荷物と人を分けて考えるというのは確かにあるだろう。

NHK水野:JAXA内での扱い、位置づけは。年間予算など

稲谷:飛ばす機体の開発が認められているわけではない。前段階の技術実証には予算がおりている。
宇宙戦略室の輸送部会(去年まで)で検討してきた。実用の横で基礎的なロケットをやってきた。これもその中でやっている。

(2)再使用観測ロケットのコンセプトと技術実証計画


登壇者
宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授 小川博之(おがわ ひろゆき


再使用観測ロケット計画の目的


観測ロケットの再使用化

現行の使い捨て型観測ロケット。1回で使い捨てということで低コスト化や高頻度多数回が求められている

→弾道飛行する観測ロケットの完全再使用化を目指す

  • 技術的実現性は高いと考えている
  • 継続した飛行需要が見込める

ペイロードの持ち帰りなどの変化で望める新しい成果がある

再使用観測ロケットの概要

4基のエンジンを搭載、1基が故障しても安全に帰還するシステム

今回はエンジンについて紹介

使い捨てロケットから再使用ロケットへ

高頻度飛行運用:1日2回飛ばすことも可能

期待される弾道飛行機会の飛躍的拡大


再使用観測ロケット実現に向けた研究開発

姿勢制御エンジンにヒドラジンではなく酸素/水素燃料を使うなど

ヘルスモニタシステム:故障許容の一環

再使用観測ロケット技術実証プロジェクトの進捗状況

開発スタートに向けて活動を行っているところ

再使用観測ロケットに向けた研究の現状

開発着手前の研究を行ってきた

質疑応答

稲谷:水野さんへの答えとして今年度はここまで許容されている。

日経新聞にしやま:今後具体的にどこでどのような実験を行うか

小川:未定です。

にしやま:実証実験計画が終わったらどうするのか

小川:具体的な開発計画をまとめ計画を提案し採用されるべく活動を行う。

にしやま:実現するとしたら初号機はいつごろというイメージか

小川:予算が認められ開発スタートしたら4年で実証機を飛ばすと考えている。

にしやま:そのときの高度は100キロ?

小川:はい。いきなり100キロではなく1000メートル、1万メートルと上げていく。最終的には100キロ。
初号機の最初の実験は1メートルからだと思う。

読売新聞ちの:現実的な投資額とあるが具体的には

小川:具体的には申せませんが衛星1機には満たないレベルで。
70~80億くらいを考えている。

sorae.jp鳥嶋:再使用によって低コスト化を図れるとあるがメンテナンスコストが上がるところもあると思う。低コスト化の裏付けはあるか

小川:再使用のメンテナンス費用を考えて、運用コストとして観測ロケットの1/10は見込めるのではないか。

?:内之浦から上げている観測ロケットはいまいくらくらい?

稲谷:ものによるがロケット1機に実験機器を含めて小さいものは2億円、大きいものは4億円程度。

NVSさいとう:アメリカの観測ロケットは一部機器にパラシュートをつけて回収している。世界を見て再利用型観測ロケットを投入するメリットは

小川:パラシュートではハードランディングになる。射点に軟着陸するのがメリット。探して拾いに行く必要がなく欲しい場所に戻ってくることもメリット。

JAXA広報:騒音の問題はどうか

小川:おそらく…観測ロケットと同程度かと思うが。

成尾:当然研究している。騒音の影響する範囲は航空機より少ない。エンジンの騒音は当然あり航空機の清音化の研究などアプローチする。

毎日新聞:全長13.5メートルは現行の観測ロケットと比べてどうか

稲谷:観測ロケットは8メートルから10メートルなので大きくなる。

毎日新聞:なぜ大きくなるのか

稲谷:今の使い捨てロケットは固体燃料でコンパクトにできている。液体燃料を使う分大きくなる。

毎日新聞:現行のロケットを再使用できないのはなぜか

稲谷:現行の観測ロケットは戻ってくる機能を持っておらず観測が終われば海に落ちる。回収をしたこともあるがとても大変。回収後もう一度飛ばすのも現実的ではない。

毎日新聞:帰ってくる機能とは。射点へ戻ってくるということか

稲谷:その通り。射点へ戻ってくるようにすればいろいろメリットがある。1機作って10回や100回飛ばせればメリットがある。飛行機や車と同様1回使って終わりにしないのが再使用ロケットが目指すところ

毎日新聞:今あるロケットに戻ってくる機能をつけるということか

稲谷:今の観測ロケットに帰ってくる機能を追加するとこうなる。

(3)再使用観測ロケットエンジンの研究開発の現状

登壇者
宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 助教 成尾芳博(なるお よしひろ)

4か月前に再使用ロケットのエンジンの技術実証を終えた。その経緯を紹介したい

再使用ロケットエンジンに求められる機能・性能

スライドの右側の機能をすべて満たす必要がある

長寿命

スペースシャトルのメインエンジン「SSME」は55回使えるとされていたが毎回分解・整備していた。点検・整備の容易性が必要

航空機的繰り返し運用

シャトルの教訓:単に再使用できればいいのではなく頻繁に再使用できなければならない。

技術実証エンジン設計方針


再使用性の確保

燃焼ガスに接する壁の温度をあまり上げたくない。再使用性を確保するため内壁温度を700K以下に制限した

温度を下げると性能が低下する。長寿命化は性能とのトレードオフとなる

寿命管理部品は寿命管理計画を立ててそれにもとづいて使う

高性能化

寿命と性能の両方を満足する絶妙な作動点、バランス点を見つけるのに「高信頼性設計手法」を採用

エンジンのロバスト性確保のため6σ(標準偏差)の余裕を確保

高頻度運用

飛んでいる最中に次の飛行が安全かどうか判断できるシステム=ヘルスモニタリングシステムを構築

開発した再使用エンジンの諸元と実証試験結果

寿命試験においては短い燃焼で1回のフライトに相当する負荷をかけられる試験方法を確立。142回の軌道停止、3785秒の長寿命な燃焼時間

エンジン燃焼実験の一例

(動画)

フルスロットル後120秒で最高高度に達するが試験では12秒で停止、再着火

アイドル燃焼

エンジン周波数応答試験でエンジン応答性を確認

1回の試験で最大5回着火するのを1日3回行うなど高頻度に試験

他の再使用ロケットエンジンと今回開発したエンジンの比較

性能の指標となるISP(比推力)はほかの多くのエンジンより高性能

LE-5Bの比推力は高いが真空中でのみ使用する。設計寿命の「4MDC」は使用時間の4倍の時間使えればよいということ

今回の再使用エンジンの推力制御22%~109%は非常に幅が広い

まとめ


質疑応答

読売新聞ほんま:温度を700K以下ということについて。また高信頼性設計手法について。現在の観測ロケットの推力との比較は

成尾:一般的には860Kでそれより低くしている。
高信頼性設計手法はいろいろな故障モードを設定し設計段階で盛り込む(フロントローディング)。センサーのばらつきなども考慮して設計することでロバスト性を確保できた。
4基のクラスター試験を最終的には行うが現在は1基で性能確認した。

稲谷:観測ロケットとの比較は目的など異なるためあまり意味はないが…観測ロケットの推力は10トン内外、再使用ロケットのエンジンは4トンで4基なので16トン

NVSさいとう:今後プロジェクトを立てていくうえでのキーワードやコンセプト、ひと言で言える言葉は

稲谷:キャッチーななにかですね。どこも捨てないというのがキーワードかなと。飛行機のような。ロケットでは捨てるのが当たり前となっているのを変えたい。
世界中で次のロケットをどうするか、どんなエンジンがいいかなどがいま論争的。
その中でこんなふうなのができたと言いたい。

小川:「高頻度再使用」。高頻度とは1日1回以上ということ。

成尾:「高頻度再使用」がキーワード。スペースシャトルはすばらしかったが当初2週間に1回と言われていたのが難しく2倍3倍のコストになってしまった。
エンジンのメンテナンスでは機体からエンジンを離すことなく行えるのを目指した。

稲谷:この絵を描くとき、どこに置かれている絵にしようかというので羽田の滑走路に置かれている絵にした。
今はこんなことは危なくてできないが、この絵のようになるにはもっと安全で成功率が99%以上などが必要。そのために故障しない、故障しても戻ってこられることが大切。
羽田に置かれた絵はその象徴。
東京オリンピックは水素オリンピックというがこれを会場の上空に飛ばすのは難しいだろうが目標として持つことは大切。

毎日新聞:再使用ロケットのために研究することは今の使い捨てロケットにフィードバックできるものがあるか

稲谷:使い捨てロケットは使い捨ての中で一番有利にしようとしている。無駄なものはおろして上りだけを考えている。
再使用ロケットのようにいろいろつけないと戻ってこられないというのはシステムの形、作り方や考え方は異なる。
だからこそ今までの使い捨てロケットでは1発100億円でも使ってもらえるようにする世界があった。
再使用はスペースシャトルが新しい世界を見せようとしたがうまくいかなかった。失敗と断じるのではなく反省を生かして次を作りたい。

NHK水野:繰り返して使われればコストが下がるが実際に複数回使われるようになるものだろうか

稲谷:コストが安くなればありうると思う。

水野:再使用観測ロケットの需要予測などはあるか

稲谷:定量性をもって十分かというのはあるが…。
宇宙ステーションへ行く前のパラボリックフライトなどがある。それよりはよい実験環境を作れるだろう。
今なにかマーケットリサーチがあるわけではない。
ただアメリカでも有人の遊覧飛行しかマーケットがないと考えられているわけではないようだ。
実験装置を何回も使えるとなれば科学の人にも有用だろう。
宇宙ステーションでの実験はなかなか大変。簡単に実験できるようになればいろいろ期待できるだろう。
お客の取り合いになるかもしれないが。

水野:需要のマーケティングもそろそろやっておかないと完成してもその次がなさそう。そういう心配はないか

稲谷:これだけお客があるからという話にしないと次にはいけない。ぜひいい話があったら聞かせてほしい。

朝日新聞おくむら:比較的低い高度のニーズについて。ISSからも比較的低コストで小型衛星を放出できるようになっている。
世界中でいろいろ検討されているという話について。4年後実証となるとそのころ世界の中でどういう位置になるか

稲谷:ISSは高度400キロ。ISSに載せれば長時間実験が可能だが持って行くまでにいろいろ複雑な手順が必要で大きなプロジェクトになる。去年立案して今年上げられるというわけにはいかない。
再使用観測ロケットなら無重力の時間は3分や5分だがクイックに提供できる。その点で要求が変わるかなと。
世界で弾道飛行しようとしている民間の活動。有人は高度100キロがせいいっぱいと見ている。こちらはより高性能、次代に貢献する。技術的には100キロで終わらない。次をにらんで輸送の将来全体に貢献することを考えている。そういうポジションを得たい。
どう使われるか、どんなやり方がいいか、費用対効果の効果をどう見るかでいろいろ価値は変わってくるだろう。

日経新聞にしやま:推力10倍は難しくないか

成尾:そういう研究も始めている。

にしやま:新型基幹ロケットの次はこれをと考えているか

稲谷:1段目を再使用にする可能性はもちろんある。このときこのエンジンでやってきたことは役に立つだろう。
思考実験としてやったらどうなるかは考えているが将来について今は議論されていない。
将来とりうるチョイスの一つとは思うが。
スペースXがやっているから同じことをするか、ほかの道を行くかはわれわれのチームだけで申し上げられることではなく差し控えたい。

sorae.jp鳥嶋:高度補償ノズルの実現方法は

成尾:(…)。無冷却のエンジンも検討中(実験はこれから)。高度補償ノズルの基礎研究は引き続き続けていく。

鳥嶋:複合材を使ったタンクについて。X-33やLNG推進系で極低温タンクを作るのが難しいという歴史があるがどんな方法で可能になったのか

稲谷:この小さいRVTで複合材タンクを使っている。小規模なものであればできるという経験を持っている。ぜひ追求したい。まだいろいろトレードオフがありそのまま載せるには難しい。
基礎研究としていろいろやっているが作ったり飛ばしたりは可能、その先はまだ。

成尾:製造となるとかなりの投資が必要になるだろう。

(以上)

「はやぶさ2」第1回目イオンエンジン連続運転後の運用状況に関する記者説明会

日時

  • 2015年4月27日(月)14時30分~15時30分

登壇者


中継録画

JAXA公式の中継録画

05:10くらいに始まります。

参考:今村が撮影した動画

00:40くらいに始まります。

概要

國中:まず最大のトピックスとして、はやぶさ2の状況を報告。

津田:現在のはやぶさ2の状況。今年末に地球スイングバイイオンエンジン運転中。定常運転としては2回に分けて。1回目を3月3日~21日に。2回目は6月上旬。
1回目の結果として正しい軌道に乗っていることをご報告したい。
第1回では合計600時間のイオンエンジンの運転のうち409時間の連続稼働時間実績。使用するイオンエンジンはAとD。
残りの200時間弱は6月上旬。
4月26日現在、探査機は安定して深宇宙を航行中。

今後の計画

6月上旬
第2回イオンエンジン連続運転
8~9月
イオンエンジンによる軌道微調整
10月初旬以降
化学推進系よる精密誘導開始
12月3日(現時点での予定)
地球スイングバイ

第1回イオンエンジン連続運転後の軌道決定結果

最終的には1万キロ以下にまで地球に近づくようにする
52億キロの総飛行距離のうち3億5千万キロを飛行

配付資料


質疑応答

読売新聞ほんま:第1回の連続運転が計画通りに終わって現在の気持ちと抱負、津田先生はプロマネに就任の感想も

津田:第1回終了は定常運用が始まったばかりで達成感はない。始まったばかり。出だしは順調で幸い。さらに気を引き締めて運用。
プロマネ就任について。今まではプロジェクトエンジニアとして構想段階からかかわってきた。技術中心からはやぶさ2全体を見ることに。責任は増したがサブプロマネも含めバックアップ体制は整っている。
体制が構築されて心強い。

國中:初期運用、巡航運転開始でほっとしている。苦しい開発を強いられてきたが
寄付金なども含め日本全国の方から応援をいただいた。
はやぶさと異なり4つのイオンエンジンを健全な状態で宇宙に投入できた。

共同通信すえ:イオンエンジンの連続運転について。増速によって軌道を誘導したのか

津田:軌道を曲げるのは加速や減速というのとは少し違うが増速はしている。地球をかすめる軌道に投入できた。
EDVEGA(1年間地球を回って戻ってくる)。図中①はわざとずらした軌道へ上げている。それを調整することでより効率を高めることができる。

すえ:國中さんに。プロマネの引き継ぎはなぜ今なのか

國中:はやぶさ2の開発は短く、また世界から注目されてきた。2015年12月に間に合わせるよう組織を補強して開発してきた。稲葉サブプロマネのコントロールもあり目標を達成できた。
ほかのプロジェクトメンバーが昼夜をいとわず努力してくれた結果。
自分は本来研究開発部門。たくさんの衛星を作ってきた。運用はそれまでたくわえた技術を吐き出す場。イオンエンジンの研究開発をしてきたが未来の技術開発は注力できていなかった。
JAXAは魅力的なミッションを生み出すことができなくなっている。より魅力的な技術開発に注力したいと考えていた。
探査ハブという新組織で深宇宙探査を進めていきたい。稲葉さんも筑波の研究開発部門へ。筑波と相模原でより連携のとれた、有機的につながった研究開発をしていきたい。

日経サイエンスなかじま:AとDのイオンエンジンを使ったとのことだがこれは当初の予定だったか

國中:熱的な関係や各エンジンの調子をみて決定。ABの組み合わせでは太陽の熱が入ってくるなどして温度が上がりやすい。対角線の組み合わせの方が熱的に有利。
4つのエンジンに電源は3つ。切り替えながら使用。端にあるAとDは電源の選択肢が少ない。これらを先に使い込んでおいてBとCを温存しておきたい。

なかじま:ベストな選択ができたということか

國中:その通り。すべてのエンジンが健全だったため余裕をもってスラスタの選択ができた。

なかじま:サブプロマネの異動やプロマネの交代は当初の予定か

國中:適材適所という考え。設計・製造フェーズと運用フェーズで最適な配置は異なる。
また技術研究開発に注力できていなかったという個人的な希望もきいてもらった。

読売新聞ほんま:最終的な距離は地球から1万キロとのこと。今後のイベントごとにどのくらいの距離になるのか

津田:スイングバイ前は軌道変更は2回。微修正を含めて3回。
次は6月に200時間。およそ1週間。図の③からさらに地球に近づくようにする。これで1万キロ以下に。微調整があるため正確な数字は今は言えないがそのように調整。
地球に近づくほど計測精度が上がる。はやぶさ2が地球に近づいてくるにしたがって軌道決定の精度を上げていく。
できるだけひきつけておいて軌道変更。10月から11月に微調整。

赤旗新聞なかむら:12月3日について、幅は

津田:今のところこの1日に行う。2回目の誘導制御の結果もあるため時刻はまだ申し上げられないが。

なかむら:日本からはやぶさ2が見えるのか

津田:そういうことができればいいがスイングバイは非常に精密。軌道設計が最優先。偶然うまく日本から見えるようになるといいがそうなるとは限らない。

宇宙エレベーターニュース秋山:12月3日の地球スイングバイに向けてさまざまな調整がある。ここでこういうことがあると地球スイングバイの日が移動するというようなことはあるか

津田:今のところお伝えしているのは日単位では動かないであろうということ。時間や分の単位では6月の運用結果や10月~11月の誘導制御の結果で変わってくる。
いずれにしても別の日になるということはまずないだろう。

宇宙作家クラブ松浦:イオンエンジンの累積運転時間。2台で600時間ということは1200時間なのか。イオンエンジンの運転の累積時間はどのくらいになるのか。初代と比べて短いように思う。
現在の運用体制について。初代は1週間交代、スーパーバイザー、学生、メーカーなど定常5人ほどでレンジング。2で変わったところはあるか。

津田:地球スイングバイまではAとDがそれぞれ600時間なので累積は1200時間。
ミッション全体としてはスイングバイ後はほとんどの時期3台運転となる。おおよそ全部で1万時間。3台分で3万時間。
体制について。今のところもスーパーバイザー体制。おおよそ1週間交代。
学生は今は参加していない。スーパーバイザーとスーパーバイザーサポート(正副)。地上局管制が1~2名。今は安定した定常運用なのでこの感じ。
忙しい時とそうでないときでメリハリをつけていなかないと。特に小惑星に着いてからは忙しい。随時最適化をかけていく。

國中:最も大変と考えているのは近接運用。2018年半ばから1年半。データを取っては受信する。1日3交代で1年半となると20~30人のオペレータが必要。それまではオペレーションのスキル向上のための重要な期間。
最低20名規模のチームを育てる。2か月サイクルで回すのがミニマムと考えている。
学生はなるべく使わず内部で育成をしていきたい。

(以上)

金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入及び観測計画に関する記者説明会

登壇者

中継録画

※@による

資料


質疑応答

NHKおかだ:改めて投入する機会がめぐってきたが率直な感想、意気込み。5年前とまったく同じ12月7日ということについて

中村:これは5年前に成功していて当然のミッションでありじくじたるものがある。今回の失敗はJAXAの資産として生かされておりはやぶさ2でも利用されている。
お祭り騒ぎではなく粛々と進めていきたい。5年前と同じ日だが感傷的にならず進めていきたい。

石井:12月7日になったのはまったくの偶然。一番いい日を選んだらこの日になった。できる限りのことをしたい。

今村:5年遅れでようやく観測が近づいてきた。5年間で進んだ金星大気の科学をふまえてアップデートしたものを出していきたい。
12月7日については力まず冷静に異常を見逃さないように。

読売新聞とくもと:今月と夏頃太陽に接近するが距離やどうモニタリングするのか

中村:今月2月11日に再接近。どこかの温度が急に上がったら警告が出る。8月の近日点通過は8月29日。2月は地球と合になっておりあかつきの様子を見られない。

アストロアーツとひ:再投入の時間帯は

石井:運用局や起動後のシーケンスなどから最適を選ぶ。いま何時何分とはいえない。

時事通信かんだ:どちらの側の姿勢制御エンジンを使うかは7月のは決まっているのか。姿勢はHGAを太陽向きにしているとのことだがそちら側のスラスタの健全性は

石井:7月の熱状況は本番とは異なる。7月と12月で同じ側のスラスタを使うかどうかは未定。
太陽光圧で姿勢が少しずつ変わる。スラスタは今も使っていて健全であるとわかっている。

共同通信すえ:スケジュールサマリーの定常観測について

中村:正式な観測は2016年春から2年間を予定。その後運用延長もあるかも。

すえ:春とは具体的に

中村:4月1日くらい。チェックアウト中にもうこれは観測できるとなったりする。

すえ:HGAについて32kbpsは予定通りなのか

中村:32kbpsは当初の予定通り。

東京新聞さかきばら:スラスタの設計温度は

石井:資料7ページ。設計は70度。最後には少し超えている。設計マージンを考えれば大丈夫。

さかきばら:残りの燃料はどのくらいで再投入にトラブルが起きた場合の次善の策は

石井:次善の策は…たとえば4基のうち2基しか噴かなかった場合どう健全なのかがわからないとどうにもならない。ぎりぎり金星の重力圏内におさまるなどの段階も考えられる。全部がちゃんと噴かなければ軌道には入れない。
燃料はもともと200キロ弱。燃料と酸化剤を合わせた推進薬。いまは60キロくらい残っている。姿勢制御などに使う残りから軌道投入に使える量を算出して決めた。

さかきばら:ブレーキをかけるときどのくらいの時間噴くのか

石井:連続して20分くらい噴く。最接近点の10分前から20分間というシーケンスになると思う。

NVSさいとう:再投入時の姿勢制御用エンジンについて。ヘリウムの加圧タンクから1回加圧したあと20分間噴くのか

石井:流路にあるバルブがどうなっているかわからない。ヘリウムからの加圧は期待しない。

さいとう:金星軌道に投入された場合推進薬の残りは

石井:今は2年から4年。軌道を変えなければあまり使わずに済む。うまくいけば4年残るだろう。

さいとう:今村さんに。当初と違う軌道に投入されるが科学観測ミッションとして成果を出すために工夫や苦心したところは

今村:どういう軌道に入るかは4年前にはわからなかった。赤道周回か極軌道か。今回の観測には赤道周回軌道に入らなければ連続的な気象データを得られない。それができると分かった段階で展望が得られた。
より頭を使う必要が出てきた。もともと想定していた空間解像度の期間は短くなったが低解像度でも連続してデータを取れるところが出てきた。
そのあたりで当初の計画をかなりリカバーできるだろう。

TBS:熱環境について。姿勢制御用エンジンが大丈夫だとすればどこに影響があるのか

石井:やはりエンジン。高利得アンテナ。これが使えないとデータを下せなくなる。また太陽電池パドル。発電に必須。7ページの3つのグラフに出ている。
なにがあったとしても文句は言えないというか。
このように5年間、9回近日点を通る。あと2回残っている。設計条件は越えているが持ちこたえるのではないか。
全体的に厳しいのはその通り。

読売新聞とみやま:ミッションをクリアするためのハードルは軌道投入できるかと観測機器の健全性と思うが

石井:軌道投入に危険があってできないということを言ったつもりはない。
たとえると自動車を購入したとき10年20年と動くことは動くが不安なところが出てくる。部品の交換はできない。なにかが起きてもそれは可能性としてあり得る。現状として確実に軌道投入は成功するだろう。

とみやま:観測はできるのか

今村:悲観する材料はない。放熱面にあり涼しい快適なところで保管されている。宇宙放射線の影響もあるが想定内。何年か動かしていない機器に電源を入れることになる。

石井:熱的に厳しいのでHGAを地球に向けると熱環境が悪くなる。機器を守るためにHGAを地球に向けない。
いろいろやったために温度が上がって壊れてしまっては本末転倒。

とみやま:推力について500Nと23Nの関係は

石井:23Nはヘリウムの圧力で変わる。平均すると20N程度だろう。だんだん減少していく圧力カーブから20Nとしている。
23Nは4つ使うから89N。これは500Nに対して2割ほど。

朝日新聞こいけ:近金点の距離はどう変わるか

中村:近金点は当初とあまり変わらず300キロ程度、秒速12キロほど。そこでの観測も当初予定と変わらない。

石井:近金点は大きく変わらない。

今村:そこでの観測は昼側を通るときと夜側を通るときで変わる。昼側を通るときは水平線上を観測してエアロゾルを観測。夜側では真下に雷カメラを向ける。

フリーランス大塚:前回の会見でエアロブレーキングについて聞いた。現時点で見通しは。フルサクセス後の実施はあるか

石井:今のところ考えていない。微調整のための燃料が必要になるため寿命を長くしておく方が得。

共同通信すえ:15年冬の投入がうまくいかなかった場合次のチャンスはあるのか

石井:今回がラストチャンス。15年冬は軌道が不安定なのでやり過ごし16年夏の検討を行った。今は15年冬で決めている。15年冬の軌道投入で燃料を噴いたがだめだったとなると燃料が残らないため次のチャンスはない。
2010年に失敗したときは緊急ストップになった。これが全部噴いていたら2015年もなかった。燃料が残っていたから15年冬もある。

宇宙エレベーターニュース秋山:11月の軌道投入から12月に変更した検討のプロセスは。どういう経緯ですぐ金星に落ちると分かったのか
また観測期間を過ぎたあとあかつきはどうなるのか。金星衝突になるのか

石井:12月の軌道が安定性が悪い。しかしすべてが計算通り進めば確実に投入できる。実際の世界で誤差があったら投入できない。誤差を考えるとリスクが高い。計算上は可能は可能だが。それを考えて12月のなるべくリスクが少ない軌道をということで決めた。
観測が終わってからのあかつきは燃料がなくなる。観測はできても軌道が変化するのを直せない。軌道のエネルギーからすると金星に落ちる方向だろう。落下を回避できないだろう。

宇宙作家クラブ松浦:15年12月の地球と金星の位置は可視であるから8分後には半リアルタイムで観測できるのか

中村:その通り。通信レートが低いので限られた情報だが前回と異なり可視である。軌道決定には精密な観測で1日2日かかる。

(以上)

参考リンク

「はやぶさ2」初期機能確認期間の運用状況に関する記者説明会

開催概要

  • 日時:2015年1月28日(水)15時30分~16時30分
  • 場所:JAXA東京事務所地下1階プレゼンテーションルーム
  • 内容:「小惑星探査機『はやぶさ2』の初期機能確認期間(打上げ以降から約3ヶ月間を予定)における、1月下旬までの実施状況、残りの期間での実施予定項目等に関して説明いたします」

登壇者

  • JAXA月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 國中均
  • JAXA月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム ミッションマネージャ 吉川真

JAXAによる中継録画

※1分28秒くらいに始まります

配布資料

(追記)以下のより詳細な書き起こし

はやぶさ2」初期機能確認期間の運用状況

打ち上げ後2日間のクリティカル運用期間を経て約3か月間の初期機能確認期間へ

探査機の状態は正常。各機器の機能確認も順調に実施

初期機能確認期間は残り約1か月

今年12月ごろに地球スイングバイを計画。さらに加速して遷移軌道へ。イオンエンジンをさらに噴射して1999JU3へ

オフライン系の仕事として先方に着いたら精密観測、観測点の決定、着陸点の決定、着陸などを行う

はやぶさより戦略的、計画的に

段取りや計画、必要なソフトウェアツールの開発などに着手
(今までは宇宙機を作るのに全力だったがこれからは観測のための作り込みへ)

最終的にオーストラリアにカプセルを着陸させる。その準備作業

試料のキュレーションのための準備も

初期機能確認期間で行ったものの例

  • イオンエンジン試運転
  • Ka帯通信の確立(日本の深宇宙探査機として初)
    • X帯(8GHz)から32GHzへ。4倍の速度。高利得アンテナが8kbpsから32kbpsへ。大容量のデータをおろせる。朗報
  • イオンエンジン2台(A、D)による24時間連続自律運転
    • エンジンの推力が重心を外れていると姿勢が変わっていく。リアクションホイール(RW)で調整。推力方向を調整してRWの回転数を変化させずにすませるなども実行
  • イオンエンジン3台(A、C、D)による運転。計画通り約28mNの推力が発生していることを確認
    • 当初1年間は2台運転できれば地球スイングバイが可能。打ち上げがよかったこともある
    • 当面は2台運転で十分。A、Dで。Bエンジンは性能がよいがバックアップとして使用予定

〔参考〕はやぶさ2の航行位置

はやぶさ2の現在の位置は地球から2200万キロ。通信は往復145秒(地球とはやぶさ2の距離は現在72.5光秒)

質疑応答

TBS:現在の軌道について。小惑星に行く軌道に乗るのは

國中:12月。遷移軌道へ乗り換える。イオンエンジンなしにはスイングバイ軌道に乗れない。
小惑星への道のりに乗るのは来年ともいえるが打ち上げ直後から向かっているともいえる。

TBS:はやぶさイオンエンジンとの比較

國中:はやぶさは初期状態でスラスタAが不調、自動自律運転にかけられず。もともと3台を使いきれば小惑星と往復できるということで4台の冗長系を組んだが当初から1台分の機能が十分でなかった。
はやぶさ2で4台とも万全な状態で軌道投入を目指した。初期チェックアウトはクリティカル。イオンエンジンは真空度が高くないといけない。特に打ち上げ直後は宇宙機からガスが出る。はやぶさでの知見として打ち上げ直後のベーキング(温度を上げてガスを出す)が不十分だったためにAの調子が悪かったのかもしれない。
はやぶさ2ではベーキングを十分に。12月19日から22日に。+Xパネル近傍を50度に温めるなど複数の方法でベーキング。十分にガスを出して「枯らす」工夫をしたうえでエンジンの点火を行った。
はやぶさ2ではこれらの結果健全な状態で軌道投入できた。厳しい航海と思うが機材としては十分余裕をもって小惑星往復の航海へ乗り出せた。
それに対しては「やったな」という感覚。

ニッポン放送はたなか:たくさんの改良の中で一番成果を実感した部分は

國中:私はプロジェクトマネージャだがイオンエンジンの技術者でもある。完全なものを提供したいと考えていた。推力アップも。7mNから10mN、イオンビーム電流は130mAから170mAへ。それを実現できた。

宇宙作家クラブ今村:地球スイングバイまでに地球からどのくらい離れる予定か

吉川:資料6ページを参照。EDVEGAループで一番離れたところが最大距離。いまざっと2000万キロ、最大で5000万キロくらいまで離れるのでは

宇宙作家クラブ鈴木:広報について。はやぶさは後半に従って質量ともよくなっていった。今回はどんな予定か

國中:ここまでのところ打ち上げと初期運用に注力していてアウトリーチはいまひとつかもしれないが今後資力を展開していきたい。
関心を高めていっていただくことを考えている。

吉川:たくさんの方にはやぶさ2を知ってもらうために、はやぶさの経験を活かしてアウトリーチのメンバーをさまざまな方面から集めている。

NVSさいとう:目標小惑星の愛称提案はすでにすんでいるか。

國中:ナーバスな質問で答えにくいが…最初のイトカワはいい名前だったため苦慮している。みんなで考えたりどう決めたらいいか相談中。なるべく早く処置をしてお知らせしたい。
名前をつけないとか目的天体が変わったりはしない。

さいとう:はやぶさイオンエンジンでは人力で運用するところが多かっただろう。今回は

國中:ISアンローディングやトルクが発生しないような自動運転、問題が起きたら自動停止、タイマーでエンジンオンなどの機能を搭載している。
エンジン自体は4台健全に動くと確認できた。より詳細にデータを見たり確認したりする必要がある。2月まではそのための調整期間。そのあと巡航運転に入る。

時事通信かんだ:はやぶさのとき各イオンエンジンに特徴があったが今回は均等であるか

國中:今回はかなり粒がそろったものを作ることができた。国産度を高めて自前で調達できる体制を作ってきたこともある。ガスの供給もきめ細かく流量制御できるように。そのための工夫がうまく働き安定して運用できている。

宇宙エレベーターニュース秋山:国内Ka帯の受信状況は。臼田局の改修もあるか。NASAのDSN(深宇宙ネットワーク)のWebサイトではいまどの宇宙機と通信しているかがわかるようになっているが、そのようなページを作る予定はないか

國中:深宇宙局として臼田と内之浦がある。臼田局は重要。さきがけ/すいせいの1985年に建設し30年たっている。ずっと使い続けるのはなかなかできない。「臼田後継」と呼ぶ作り変える計画がある。詳細は検討中。老朽化施設を更新することをかんがえている。その際はX帯、Ka帯をそろえていきたい。
いまどこと通信中かわかるようなしくみは(私の知る範囲では)考えていない。

毎日新聞ながやま:これまでと「巡航運転」との違いを。また機器チェックについて、観測機器のスケジュールは

國中:「巡航運転」はイオンエンジンを計画通りに噴射して必要な軌道変換ができたかどうかを確認、ノルマの達成状況を見て次の軌道計画を立てる、そのPDCAサイクルを週ごとに立てて運用していくもの。これを3年半行う。
観測機器のチェックは通電して消費電力が順調であった程度。カメラ類は健全性を小規模にチェック済み。
温度を下げないと赤外線分光計などは機能しない。ガスが出きらないうちに冷やしてしまうと凍って張り付いてしまう。
ちょうど見たい星が観測装置前面にきたとき観測するなども考えている。
これらを巡航運転の道すがら行っていく。

フリーランス青木:イオンエンジンが7mNとあるが性能を落としているのか

國中:最高性能を出さずに運転している。

青木:長寿命化は

國中:されている。

青木:クロス運転回路はあるのか。その場合イオン源と中和器の組み合わせは自由か

國中:当然そういった機能を含んでおり段取りもされている。しかし今回は使わずに戻ってきたいとお知らせしておく。

フリーランス大塚:初期チェックで小さな不具合などありましたら

國中:ちょっと難しいですね。思い当たらないですが…今のところ日本から見るのは深夜が多く人の手配がたいへんだった。地上系も含めて探査機単独で動いているわけではなく地上設備、人の技量で動いている。
小惑星近傍にたどりついたとき1年半しかない。24時間連続でたくさんのデータをとり分析しなければならない。8時間3交代でやりきる資力、スタッフをそろえなければならない。そうやって探査機を支えるということ。オンタイムだけでなく科学的なデータを積み上げて着陸点を決める。
人をどう育てて準備して3年半後に備えるかという人間組織を作り上げることが心配している最大のことがらである。
各研究機関の方々に努力やエフォートを投入していただかなければならない。万全な体制で他の国に負けない探査を行いたい。そのためのシステムづくりが不安なところ。万全にしたい。
ハードウェアについては思い当たらないくらい順調。

大塚:「太陽光圧影響評価」とは

軌道決定のためには探査機に加わる外力を精密に知っておかなければならない。太陽の重力>イオンエンジンの動力>太陽輻射力。各100倍程度の違い。太陽輻射力は探査機の表面の形状や反射力に依存する。非常に微小。地上では測りづらい。探査機を傾けて光の当て方を変えるなどして計測する。
RWは今回4つ搭載。四角錐の斜辺に組み込む「スキュード」がセオリーだが、はやぶさ2はXYZZという組み方。Z軸まわりのRWが生き残ったためにはやぶさは帰ってこれた。Z一軸だけで姿勢を保ち太陽輻射力で。その知見を活かす。
太陽輻射力は今回積極的に利用していくということ。

共同通信すえ:イオンエンジンの連続自律運転についてほかの組み合わせを試す予定は

國中:Bは温存なのでACDの組み合わせで。当面Bを使う計画はない。頻繁に切り替えればいいという意見もあろうと思うがエンジンは4つで電源が3つ。いまACDにつながっていてこのリレーを頻繁に切り替えるのは多少不安がある。必要性がない限り切り替えたくないためそういう作戦。
2月以降イオンエンジンと姿勢制御系の協調運転試験は目白押し。ほぼ自動で運転されていく。すでに地球と探査機の間は2分半の通信時間がかかっている。なにかが起きたとき探査機が自動自律機能で対処するよう組み込んでおりそれはできている。
3月からの巡航運転では本格的な自律自動運転に入る。
24時間自律運転はAD以外の組み合わせは行っていない。大丈夫だろうということで。

すえ:12月の地球スイングバイが次のハイライトか

國中:精密に地球スイングバイポイントへ誘導しなければならない。精密軌道決定も。DDOR(干渉計を使ったデルタドア)による軌道決定など。
このあたりが醍醐味というか山場になろうかと思う。

赤旗なかむら:自律運転について、はやぶさはできていたのか

國中:はやぶさも自律運転していた。イオンエンジンを探査機に載せたときの性質は(初めてだったので)なかなかわかっていなかった。はやぶさでは元来探査機が持っている自動自律機能を打ち上げた後に組み込んだ。
はやぶさ2ではその知見をもとにイオンエンジンのコントローラに自動自律機能を組み込むとともにさらに上書きする形でエンジンを重複監視し安全運転のための監視機能を入れている。
自動自律運転ははやぶさでも行っていたが計画的戦略的に行えるよう組み込んだのがはやぶさ2。2か月たっていない中で初期運用ができたというのはたいへんな進歩。
はやぶさでは5月に打ち上げて8月過ぎだった。

なかむら:地球スイングバイまでにイオンエンジン2台でとのことだがどのくらいの日数運転するのか

國中:ノミナルでは2か月くらいの運用ノルマになると思う

フリーランス森山:ISアンローディングについて

國中:IonengineSystemアンローディング。
RWは3000回転くらいが通常。回転数を変えて乱れた姿勢を戻す。適正な範囲を超えて回転数が変わるのはよろしくないためガスジェットで回転数を戻す。これがアンローディング。RCSアンローディングという。燃料が減るためガスジェットはあまり使いたくない。
対になるのがISアンローディング。イオンエンジンはジンバルできる。推力の方向を重心からずらすと回転力が発生する。それをうまく使うとRWの回転速度を一定位置に合わせこむことができる。RWの回転を安定化させることができる。ISアンローディングはYZの2軸のみ調整可能。X軸回りのRWの回転数は調整できない。ISアンローディングだけで制御はできないがRCSアンローディングの回数を減らす効果がある。

宇宙作家クラブ上坂:無事に打ち上がってたくさんの人がはやぶさの現在状況を知りたい。軌道情報を出す予定はあるか

吉川:これまでの飛行経路とこれからの飛行経路について。
これまでは軌道決定グループが数字を出している。公開を検討中。
今後の計画についてはどこまで出すか難しい。毎週変わる軌道計画をどう出していくのが誤解が少ないか検討中。もう少しお待ちください。

上坂:打ち上げ後の会見でカメラを向けられて「笑える状況ではない」と言っていたが今は

國中:1999JU3に向けた航海が始まった。HW/地上系とも準備が整った。ようやく宇宙航海が始まったので今日はちょっと笑わないといけないかなと思っている。これ以降も応援をお願いしたい。

(以上)

金星探査機「あかつき」の観測成果に関する記者説明会

日時

  • 2014年12月18日 13時30分~15時

登壇者

  • 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授 今村剛
  • 東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程2年 宮本麻由

太陽風はどう作られるのか? 金星探査機「あかつき」が明らかにした太陽風加速

概要
金星探査機「あかつき」を用いた太陽コロナの観測から、長年謎に包まれていた「コロナ加熱問題」を解く鍵が得られました。本研究によって、太陽半径の5倍程度離れた距離から太陽風が急激に速度を増していることがわかりました。太陽から離れた場所での太陽風の加速には、太陽風の中を伝わる波をエネルギー源とする加熱が関わっていることも明らかになりました。
  • 太陽半径の数倍程度離れたところで太陽風が急激に加速されていることがわかった
  • コロナ中で発生した音波によることがわかった

質疑応答

日経サイエンスなかじま:「速度」は同径方向のものか

今村:その通り。太陽から押し出されてくる同径方向の圧力成分が一番大きい。温度を求めることはできない。分子の活動をとらえることは今回の観測ではできなかった。
速度の分布から間接的に運動方程式

日経BPとみおか:安定した電波源について

今村:金星で電波掩蔽観測を行うもの。金星大気で電波が変化するのを観測することで大気の情報を知る。80億Hz、つまり8GHzの電波だが変化量はざっと0.01Hzくらいしかない。
今回は観測のために理学機器としてそういった発振装置を取り付けた。
観測では0.1Hzくらいの変化がある。そのように少ない変化を観測するには0.01Hz程度しか変化しない今回の装置が必要だった。
装置はタテヨコ10センチほど。ほとんどは断熱材や緩衝材。高精度な振動子を精密な温度コントロールで制御。ドイツの宇宙関連企業タイムデックと共同開発。

朝日新聞おかむら:これまでのコロナホールによる観測との違いについて

今村:今までの観測が否定されるかどうかは歯切れが悪くなる。コロナホールでは加速されやすいというのは確か。一方で観測時の問題で従来のようなモデルになっていた面がある。
コロナホールとは違う速度分布を持っていることも含めて、専門家はなるほどもっともらしいものが出てきたねという反応。

毎日新聞にしかわ:温度と速度の分布について。温度の上がり方と速度の上がり方の違いはなぜ起きるのか

今村:温度はすぐ高温になっているとこれまでの想像や今回の観測でわかっている。
コロナホールではなくループ状に閉じた磁力線の領域をプラズマが横切ろうとすると抑えられてしまう。そのため速度が上がりにくいのではないか。磁力の影響がなくなる遠方でするする加速していくのではないかと考えている。
コロナを加熱するメカニズムそのものは近いところと遠いところであまり変わらない。が加速は近いところでは磁力線の影響で小さくなるのだろう。
少し離れたところで音波が顕著に見えているが近いところにないわけではない。さまざまなメカニズムが提案されている。
今回われわれが提案しているメカニズムがすべてを説明するとは限らない。
音波は流体力学的で比較的わかりやすいが粒子として考える方法論もある。
とはいえ今回注目している5~10太陽半径の領域で音波が大きく影響していることはまず確か。

日経サイエンスなかじま:5太陽半径くらいで温度が変わらないのに速度が変わるというのは

今村:磁場モデルは太陽付近では正確だが離れていくと不正確になっていく。この磁場はポテンシャル磁場といって直接観測したものではない。5太陽半径で磁場がくるりと巻いているかどうかは観測ではわからない。
太陽の西側と東側で速度分布が微妙に異なるなどもある。
さらなる観測が必要と考えている。

なかじま:8GHzでぶれない電波とのことだが「あかつき」打ち上げからだいぶ時間がたっているが探査機の健全性は保たれているのか

今村:そうとは限らない。今回の観測は2011年6月に行っているので現状は異なっているかも。しかしそうそう壊れるものでないのは確か。最近はオンにしていないが金星探査で電源を入れることにしたい。
観測から発表までここまでかかってしまったことについては何も言えない。もっと早くお伝えできればよかったのだが。

フリーランス小川:16回観測しているが1回の測定時間は

今村:6~7時間。音波の周期が数百秒から2000秒程度なのでそのくらいとってあれば十分観測できる。

おがわ:金星探査機なのに太陽の前を通過するということがわかった事情について

今村:こういう観測チャンスがあったのは偶然といえば偶然。ただこういう位置関係になることがあるかもとは思っていた。

おがわ:金星投入しなかったからの怪我の功名?

今村:投入できていたら金星の観測を最優先するため今回のような手厚い観測はできなかっただろう。怪我の功名はそういえばその通り。
当初の目的ではなかったが新しい軌道でできることはと考えたらこういうチャンスがあった。

おがわ:行きがけの駄賃で観測するといざ金星探査の際にマイナスになることはあるのか

今村:もしあれば観測はしなかった。

NVSさいとう:フレアとの違いは

今村:フレアのような爆発的なイベントとは異なりその背景として常に存在する加熱・加速のメカニズムをとらえた。

フリーランス秋山:NASAのアイリスでも太陽観測を行っているが協調はあったか

今村:ありません。「ひので」と「SOHO」(米)のデータを参照してまとめた。

NVSさいとう:今回のような観測について今後これをやればより詳しくわかるという提案などはあるか

今村:今回のはとてもユニークなデータであるが足りないところも多々ある。アルベーンはを直接観測できればよかった。遠いところでとらえるのは難しい。電波を使うが偏向といって振動面が回転していく現象がある。それはごくわずかでそれを観測できれば磁力線の振動であるアルベーン波を直接とらえることができるだろう。
また今回は静穏領域だったがコロナホールでも観測したい。

さいとう:太陽系の観測者に「こういう観測ができる」と伝えたときのことについて

今村:今回「ひので」のチームにも協力してもらった。太陽をずっとやってきた皆さんとも協調。3年前のことで記憶が定かではない。
わたしは「あかつき」の前に「のぞみ」をやっていて電波掩蔽観測をやっていた。火星の代わりに太陽の比較的近くを通ることがあり同様の観測を行った。
そのころから太陽のコミュニティと細いつながりがあり今回の観測につながった。

読売新聞ほんま:急激な加速はこの音波でほぼ説明ができるのか

今村:そこはなかなか難しい。今回の観測結果に関しても計算結果にしても不確定要素、誤差が大きくある。

宮本:たとえば音波の振幅などでも。

今村:これだけで説明できるといいたいが、モデルも観測も誤差が大きい。これからの研究課題。しかしこれで大部分を説明できるのは確かと思う。

ほんま:現在のあかつきの状況については

「あかつき」プロマネ中村:2015年11月22日に軌道投入する計画だったがそれだとすぐに金星に落ちてしまうと分かり別の軌道を検討中。理事長などへの報告後にお知らせしたい。
搭載している5台のカメラは見る対象がないため試験していない。チェックアウトは軌道投入後3か月をめどに。

(以上)

H-IIAロケット26号機/はやぶさ2打上げ経過記者会見

(動画はのちほどアップロードします)

公式情報

第一部:打上げ経過記者会見(機関代表報告)

登壇者

(「打上げ結果について」資料読み上げ)
はやぶさ2は分離と通信を確認、相乗り衛星は分離信号の送出を確認
H-IIAは通算26機中25機成功、20機連続成功。H-IIBとあわせると30機中29機成功97パーセント

JAXA奥村理事長の談話

阿部さまから報告があった。ロケットの打ち上げを実施していただいた方々にお礼を申し上げたい。
JAXAがになっている安全管理業務を果たせたことをご報告したい。
打ち上げに当たっては天候のため3日遅れたが、はやぶさ2はこれから長い距離を旅立つ門出が予定通り始まったことを安堵、喜んでいる。支援にお礼を申し上げたい。
はやぶさ2についてはこれまで説明してきたとおり。さらに今回は太陽系の起源、生命の起源をさぐるC型小惑星にサンプルリターンを目的として旅立っていく。装置そのものの信頼性を前回の教訓を生かし、あるいはロバスト性を上げるなどして必ずや実を結ぶだろうと信じている。
はやぶさ2はたいへん多くの国民からご支援をいただいて40万を超える応援メッセージをいただいた。安倍総理、下村文部科学大臣などからも。PV、インターネットでたくさんの方々が打ち上げを見たと聞いている。
大変多くの国民の皆さんのご支援ではやぶさ2ミッションが始まっている。
寄付金もたくさんいただいた。その寄付金で小型のモニターカメラを搭載した。
本日門出をしたばかり。気を引き締めて運用していきたい。
もう一点、国際協力で成果を拡大できていくミッション。ドイツやフランスの宇宙機関が製作したMASCOTが乗っている。これもお互いの成果を相補的な役割を果たせるだろう。アメリカとロシアとは運用を協力。NASAとはオシリス・レックスでも協力。宇宙探査においては協調・共同の世界で進めていく。
来年末に地球スイングバイし2018年に到着、2020年に戻ってくる。皆さんには逐一報告し気を引き締めつつ進めていく。引き続きご支援をお願いしたい。

藤井文部科学副大臣のあいさつ

いまお二方から紹介があった通り基幹ロケット25機連続成功、信頼性の向上をしめすもので喜ばしい。前回10月7日、ひまわり8号に続き精巧に立ち会えて感動。今後も国民生活の向上に資するだろう。
探査機の状態確認ののちC型小惑星へ行き東京オリンピックパラリンピックが開催される2020年に帰還予定。
国民の夢を乗せたはやぶさ2がサンプルを持ち帰ることを期待してやまない。
ご尽力・ご支援いただいた関係者の方々にお礼を申し上げたい。
応援いただいた全国の皆さんに感謝、これからの帰還までの6年間についても注目していただきたい。

第一部質疑応答

(政策に関する全体的な質問に限ってほしいとの要望あり)

日経新聞うえさか:阿部部長へ。これまでの成果と今後の取り組みは

阿部:原動力についてはやはりひとつひとつの部品を確実に作り確実に実施していく。ていねいに打ち上げていく以外にない。コツや魔法はない。積み重ねしかない。
30機40機に向けては慣れ、マンネリ、形骸化、おごりをいましめていく。それを自らやっていくことが必要。自分たちとの戦い。

毎日新聞あおの:奥村理事長へ。2020年まで国民に逐一知らせたいとのことだがその広報戦略についてお考えがあれば

奥村:広報戦略というほどではないかもしれないが広報で常日頃心がけているのは正確にわかりやすくお知らせするという原点。
はやぶさ2についても6年と長い。平板なトーンにならないよう工夫していくことが重要という議論をしている。
国民の皆さんに引き続き関心を持っていただけるような工夫を継続する努力が結果的に国民の皆さんにわかりやすい広報になるのではと。

毎日新聞永山:広報を続けていくにあたってJAXA内の体制整備についてどう考えるか

奥村:ご指摘の通りで科学ミッションであるから科学成果をどうわかりやすい形でお伝えするかが重要、広報戦略もどう強化するかを検討している。
そう遠くないうちお話しできるだろう。

共同通信すえ:藤井副大臣に。宇宙科学への関心の高まりがあると思うが宇宙政策について探査への不安を述べる人も。どう考えるか

藤井:いま口火をきっていただいたように宇宙に関心が高まっていることは感じている。人類共通の知的財産、産業利用を拡大していく。安心・安全な社会の実現に向けたひとつのジャンル。
欠かせないのは若田飛行士の活躍など日本を元気にさせてくれる力を内在させている。宇宙に夢をはせる子供たち、活躍を考える若者たち。
いっそう促進していかなければならない。
今回の打ち上げで得られた成果とともに新しい基幹ロケットの開発に着手することも考えなければならない。財政状況もありコストもふまえて開発していくこと。
国際宇宙探査、宇宙科学など科学技術ぜんたいの向上に資するもの、安全保障、環境監視、気象や台風予測などに衛星開発は利用価値がある。産業振興などに資するようにしていきたい。

JAXA東京事務所へ)

JAXA相模原キャンパスへ)

東京新聞さかきばら:阿部部長へ。政府は新しい宇宙基本計画の策定が大詰め。それへの期待は。国際的な受注について円安の効果は

阿部:まず期待について。将来、先がある程度見通せるようにしていただきたい。それで民間も努力していけるし先を見据えて技術開発できる。
円安について。一時1ドル80円くらいだったが今は120円くらい。国際競争力が高まっている。昔は歯が立たなかったが今であればオンタイム打ち上げの高さ、サービスなどである程度戦えるところまで来ているという感触を得ている。

種子島へ)

産経新聞くさか:阿部部長へ。来年を展望するようなコメントを。テレサット社の打ち上げ、高度化したH-IIAもデビューするし基幹ロケットの姿も見えてくるだろう。どのように見渡すか

阿部:打ち上げサービスとしてはテレサットをしっかり上げたい。世界標準でやっていけることを世界に認めてもらう。ハンデが大きかった価格面も円安を追い風にしていきたい。
新型基幹ロケットについては近々SDRで姿を見せたい。開発を加速。世界に勝てるロケットにしたい。

(東京会場へ)

(相模原会場へ)

(終了)


第二部:技術説明の質疑応答

登壇者

  • 三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長 打上げ執行責任者 二村幸基
  • JAXAはやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 國中均
  • ドイツ航空宇宙センター(DLR)MASCOTプロジェクト システムエンジニア Caroline Lange(キャロライン・ランゲ)
  • フランス国立宇宙研究センター(CNES)MASCOTプロジェクト プロジェクトマネージャ Muriel Deleuze(ミュリエル・ドゥルーズ
  • JAXA鹿児島宇宙センター所長 打上安全監理責任者 長尾隆治
  • (相模原会場)JAXA月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトサイエンティスト 渡邊誠一郎

朝日新聞東山:國中さんへはやぶさ2の現状を。またこれから6年間52億キロの旅について

國中:まずご報告したいのははやぶさ2の宇宙航海がいよいよ始まった。お礼申し上げたい。天候とはいえ延期でやきもきしたと思う。今日深宇宙に打ち上げていただいた。
第2段エンジンの再着火で深宇宙へ脱出してもらっている。続いてH-IIAから分離し太陽電池パドルの展開、太陽捕捉、0.1rpmでのスピン安定を確保。すぐにNASA DSNゴールドストン局で追尾。送信機のパワーをオンにし1540ごろGS局で電波を受信。SLAの展開、姿勢の安定、太陽捕捉を確認。現在はキャンベラ局で追尾中。

鹿児島テレビ:二回の延期について6年間のモチベーションの高め方について

國中:いい日取りを待っていて少々やきもきしたが正確に軌道投入していただいた。ウィンドウのほぼ中日であり軌道変換マヌーバは低く抑えることができる。たいへんよい期日に打ち上げられたと思っている。
今日がだめだと数日遅れてウィンドウの後半になってしまうところだった。
6年間の深宇宙航海、たいへん緊張している。簡単なものではない。はやぶさ1ができたからといって2もできるとは思っていない。困難が待ち受けているだろう。
はやぶさ2はよく作りこんだ。650キロと言う小さな船。厳しいオペレーションが眼前に広がっているだろう。チーム一同緊張したおももちで宇宙航海に備えている。

読売新聞ながの:2回の延期で平日になったが3000人以上が詰めかけた。ほかに各地のPVなど。そういう方に見守られての旅立ちについて

國中:はやぶさ2はたいへん恵まれている。多くの方から応援いただき門出を見届けていただいた。
応援にこたえられるようがんばっていきたい。

南日本新聞やました:内部物質採取の科学的意義について

國中:1999JU3はC型、炭素質小惑星はやぶさが行ったイトカワはS型、岩石質。宇宙風化をとらえた。持ち帰ったのは大変小さな砂粒だったが表面をそっとごくきれいに拾ってきたともいえる。表面物質の硫化がわかった。宇宙にさらされている物質は太陽風で変質している。
はやぶさ2が目指しているのは表面物質だけでなく露出していない新鮮な物質を採取する。そのためインパクタを開発。クレーターを作り内部物質を採取する。
表面と内部を比較して表面で起きていることをよりつぶさに分析できるだろう。

NHKおかだ:これから小さい小舟で出るというが改めてチームとしてどういう意気込みか

國中:我々が希望して育てた船である。それを使いこなすこともJAXAの仕事。新しい海に新しい船で新しい目標へ船出した。6年で戻ってくるようチーム一同念じている。

よみうり新聞ふなこし:打ち上げと分離の瞬間どうしていたか。ミッションを成功させる自信について

國中:分離のときはSFAというセンター内の建屋の中にいた。ここは相模原とつないでいてはやぶさ2とのテレメトリを受信できる。ロケット系の情報もテレビ画面で見ることができる。情報を得ていた。
クリスマス島からビデオデータが送られてきて分離画像を見ることができた。次にゴールドストン局の追跡が始まった。
成功するよう努力していくが約束されたものではない。たいへん難しい。小惑星の観察、着陸、離陸が必要。ひとつでも機会を失えば航海はあやうくなる。宇宙と言う大自然に小舟をほうり込んでしまった。気を引き締めて慎重に、かつ挑戦的にしなければ成功しないだろう。どうやって成功させるか緊張感をもって取りかかろうとしている。

NVSさいとう:MASCOTのドゥルーズさんに。フィラエと同系統の観測器を乗せている。フィラエは大バウンドした。優しく下ろしてといった要望はあるか。彗星とC型小惑星を同じように観測できることについて

ドゥルーズ:フィラエは着陸してからアンカーだがMASCOTははやぶさから切り離されたあとバウンドするようになっている。15~20分程度で体勢を立て直す。
どこに降りるかはわからないが降りてから表面を移動して調べることができる。

フリーランス大塚:これから3軸制御の確立やイオンエンジンの点火など今後のシーケンスについて

國中:クリティカルフェーズは約2か月、RWをランアップ、サンプラーホーンの伸展などを計画。要注意のオペレーション。そのあと時間は比較的猶予があり各機器の初期チェックを実施。それにはイオンエンジンの点火も含む。
姿勢制御装置の調整も初期運用フェーズで。各チェックと試運転。2月くらいまで。

大塚:探査機の状態は

國中:ゴールドストン局のデータを見る限り探査機は健全。

南日本新聞たかの:二村さんへ。第2段再着火の難しかった点と感想を

二村:これまでの最長の再着火はJAXAと開発している第2段高度化の技術を使っている。中身はJAXAに聞くのがよいが開発・設計に参加させていただいた第2段が無事機能してとても安堵している

JAXA東京会場へ)

ニッボン放送はたなか:打ち上げに際して川口先生とやり取りはあったか、なかったら伝えたいことはあるか

國中:川口先生からは開発中もたくさんのアドバイスをいただき作りこんできた。出荷前審査、射場作業審査、打ち上げ完了審査など。資料を見ていただきコメントをいただいている。メールでも指示やアドバイスをいただいて作業を行ってきた。
打ち上げ後はとくに話していないがこれまで陰に日向にアドバイスいただき感謝している。

日経サイエンスなかじま:國中先生へ。ひとつの大きな危険の可能性が太陽フレアだと思うが来ると分かったときの対策は

國中:対策はない。CMEといった放射線の嵐を耐える、乗り越えるしかない。太陽は11年周期で活動する。これから太陽活動が活発になってくる。はやぶさ1もくしくも11年前に出発、半年後に大きな太陽フレアを受けた。今回も同じような可能性がないとはいえない。とはいえ放射線耐性がある部品で構成しているため数回の太陽フレアには耐えられるだろう。

NVSかねこ:二村さんへ。高度化の適用範囲について

二村:無事打ち上げに成功し安堵している。高度化については衛星に対する負担を軽減できて商用衛星のオペレーターにアピールできる。海外のライバルであるほかの打ち上げ輸送サービスに対抗できる力になる。今後もアピールして事業を発展させたい。

JAXA相模原キャンパスへ)

赤旗新聞なかむら:はやぶさ2が地球とどのような相対速度でいるのか、通信ができた地点でもよいがどのくらいの距離など位置や動きが分かる数字を。また開発は短かったがやきもきや苦労について思い起こすことはあるか

國中:はやぶさ2の速度は秒速数キロメートル/秒で離れている。1Wの送信電力で通信しているが20Wまで電力を上げて通信していく。
当初の1年間は地球近傍…といっても0.1~0.2AUと比較的近くを飛行する。1年後地球に舞い戻りスイングバイ、一路小惑星に向かう。こうなると1天文単位。到着時は太陽を離れて3億キロ離れる。
開発条件は厳しくて平成23年着手。プロジェクトとしては3年半で作った。1年間は設計フェーズ、ハードウェアの開発にはとりかかれない。1年後のレビューで承認後に開発するため開発期間は実質2年半。はやぶさ2は多くの機材を積んでいる。多くを日本国内だけでは製造できず海外に頼らざるを得ないところもありタフなネゴをしつつ機器を作りこんできた。これができるのも宇宙技術にたけているから。
日本が誇っていい技術と思う。
人工衛星を作る数が日本はアメリカより少なく部品の多くを海外に頼らなければならない。それでも機器がどういう作りこみをされているか、フィロソフィーを熟知しているからこの期間で開発できた。

サイエンスライター青木:渡邊先生に。今回のミッションでサイエンス面で期待できること、また不安なところは

渡邊:ヨーロッパではロゼッタが彗星に行きフィラエを下した。小天体へのさまざまなアプローチが進んでいる。はやぶさ2はやぶさの成果の元小惑星へ行く。
さまざまな小天体に行くことで比較できるようになり太陽系の起源、物質の進化などが明らかになると考えている。はやぶさ2だけでなくほかのミッションと合わせることで知識が広がっていく。国際協力が大切。だからMASCOTを乗せることができた。
不安な点はいろいろあるが目的地に到着するまで時間がある。探査機を自在に動かせることが必須。それの練習をしたりさまざまな状況を考えて計画を立てていく。不安が少しでも少なくなるようにしていきたい。

フリーランス秋山:ドゥルーズさんへ。DLRのコメントの中に「MASCOTははやぶさ2の着陸地点の選定に資する」とあるが

ドゥルーズ:MASCOTに搭載されているマイクロメガという機器が小惑星の表面を分析する。それによってはやぶさ2タッチダウンする場所を選定する役を担う。

渡邊:補足したい。サンプルリターンの質を決めるのはどういう場所にどういう分布をしているかという観測、さまざまなに組み合わせることが大事。
着陸点の選定だけでなくほかにも使えるためマイクロメガはたいへん重要な機器。

sorae.jpとりしま:ドゥルーズさんとランゲさんへ。フィラエとMASCOTという独創的な着陸機を作ったが今後への希望や期待は

ドゥルーズ:CNESとしてはこのような着陸機をまた開発していきたい。国際協力という形で進めていきたい。

ランゲ:DLRは彗星にまず降りたので彗星を調べる。また2つの小惑星についても調べていきたい。そのために着陸機を開発していきたい。

種子島会場へ)

中京テレビよこお:二村さんへ二点。はやぶさという国民的関心の高い衛星を打ち上げる責任の重さ、打ち上げを終えての感想。延期を決めたのも二村さんと思うがその時の心境は

二村:今回のペイロードはやぶさ2は皆さんの期待が大きくさまざまな思いが詰まっていると思う。そういうものを宇宙へ運ばせていただく。少なくとも期待に添えることを目指す。少し緊張した思いもあるがはやぶさ2という注目度が高いものでなく国民目線で大事な衛星もある。同じように打ち上げに臨んだ。
延期については期限が12月9日と決まっていて天候も厳しかった。プレッシャーに感じた。最善を尽くして打ち上げたため今日と言うチャンスを必ずものにする思いで心を一つにして臨んだ。

(東京会場)

NVSかねこ:國中先生へ。地上局の更新の計画などあれば

國中:現在日本で深宇宙と通信できるのは臼田と鹿児島の2つ。鹿児島は比較的新しいが臼田の64メートルは1985年のさきがけ・すいせいのために作り古くなってきた。交信したいと考えて相談している。
通信電波についても昔の探査機はSバンドを使ってきた。のぞみまで。
はやぶさではSバンドではなくXバンドを使うようになってきている。宇宙通信は高周波に移行する傾向。はやぶさ2ではKaバンドを使う。しかしKa波は日本に受信局がない。NASA局、ESA局でダウンリンクする。ぜひ日本でも受信できるようにしたい。国際協力で。

(相模原会場へ)

(終了)


第三部:公募小型副衛星 技術説明

登壇者

  • 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 沢田恭兵(ARTSAT2-DESPATCH)
  • 九州工業大学大学院 先端機能システム工学研究系 教授 奥山圭一(しんえん2)
  • JAXA研究開発本部研究推進部 次長 渡戸満(わたんど・みつる)
  • (相模原会場)東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 准教授 船瀬龍(PROCYON)

現在の衛星の状況について

船瀬:(衛星の紹介)プロキオンは50キロ級と小さな人工衛星東京大学JAXAが共同運用。超小型衛星で深宇宙探査をするためのバス技術を実証。うまくいけばはやぶさ2とは違う小惑星へ行くことも目指す。

まずプロキオンについての質問

共同通信すえ:プロキオンの現状について

船瀬:ロケットから分離信号が正常に送出されたと報告を受けた。地上局の可視が1910ごろから。そこで状態を確認する。(そのために会見を早めに抜けます)

(東京会場へ)

NVSかねこ:プロキオンの目標小惑星の決定時期は

船瀬:フライバイする対象小惑星の選択にはさまざまな条件がある。投入軌道、イオンスラスタの性能など。初期運用の結果を総合して狙う小惑星を決定し軌道計画を立てる。計画通りに行けば打ち上げから1年後ないし2年後に地球スイングバイ、目指す小惑星をフライバイする軌道へ。

(相模原会場へ)

フリー××:プロキオンの運用ははやぶさのような自律性はあるのか

船瀬:はやぶさ2は深宇宙用の地上局として臼田や鹿児島のアンテナを使う。プロキオンもその点は同じ。

(船瀬准教授、退席)

渡戸:小型副ペイロードの状況について。しんえん2は今日の1516に分離信号送出、分離されたことを画像で確認。ARTSAT2は1520に分離信号、同様に画像で分離を確認。プロキオンは1524に分離信号、画像が送られてきたが視野の中に太陽が入り逆光になって画像では分離を確認できていない。間もなく可視に入り受信ができるだろう。
しんえん2やARTSAT2も追って受信できるだろう。
多くの成果を期待している。

沢田:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)ARTSATは宇宙と地球を結ぶメディアとして衛星を作った。多摩美術大学東京大学のコラボレーション。芸術面を多摩美術大学、衛星の製作を東京大学
ARTSAT1は先日打ち上げられ大気圏に再突入した。
ARTSAT2は重さ35キロ。

  • 「深宇宙彫刻」(芸術作品を宇宙に展示)
  • 「宇宙生成詩」(センサーの値をもとに詩を生成し宇宙を感じやすい言葉に変換し地球へ送る)
  • 「共同受信」(地球から遠ざかっていくため電波は微弱と考えられる。アマチュア無線家に協力を仰ぎ受信データを断片的に集め復元を目指す)

深宇宙彫刻について。無事分離され画像でも確認したため達成。
残りの2つは受信待ち。

奥山:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)鹿児島大学と共同で開発。50センチほどの球形、18キロ。今回の副ペイロードではもっとも小さい。ミッションは3つ。

  • 月より向こうの深宇宙を開発するにあたって重要なのは通信。大学や民間企業は大きなアンテナを持たないがアマチュア無線を使う技術を開発する
  • 強化プラスチックを採用。初めて宇宙で主構造として用いる
  • NASAとテキサス大学が作った放射線センサーで宇宙放射線を計測

これらのために宇宙の飛行を開始した。

第三部質疑応答

読売新聞ながの:分離確認で信号が返ってくるのを待っているとのことで共同研究者とのやりとりを

奥山:共同研究の相手は鹿児島大学。我々は構造と熱、コンピュータ、鹿児島大学は通信と電源装置を担当。2つの大学が1つの大学であるかのように仲良くやってきた。ほかの衛星もそうだが1年間という短い開発期間で苦しいこともあったがチームワークがよかった。
分離してからのやりとりは…本来鹿児島大学の先生方がいらっしゃるはずだがちょうど今日本からしんえん2の受信のため研究室にいる。このようにチームワークがよいため信頼関係があり吉報を待ちたい。

沢田:共同開発したところは渦巻の部分、15キロほどで3Dプリンタで製作。ソライズに依頼。それを支える下の金属パーツは難しい曲面、ゆうき精密株式会社。送信機は7W、にし無線。企業と大学というだけでない共同で一致団結して開発した。
いま日本の可視時間に入って電波を待っているところ。わくわくとはらはら。

フリーランス大塚:超小型衛星で深宇宙との通信はどこまで可能と考えているか

奥山:しんえん2は地球からのアップリンクについては月の3倍くらい、100万キロくらいまで可能、ダウンリンクは300万キロくらいまで可能と考えている。3日や7日くらい通信期間があるだろう。
しんえん2とDESPATCHは1年後に地球に近づくのでそのときまた通信したい。

沢田:我々はダウンリンクのみで地球からの送信はない。距離は100万キロ程度を目指す。太陽電池を積んでおらず深宇宙へ行くため割り切って太陽電池を積まずバッテリーで1週間のみのミッション期間となる。それが終われば宇宙をさまよう彫刻となる。

読売新聞でみず:奥山先生へ。九州工業大学鹿児島大学、地方の大学で衛星を開発することの意義は

奥山:しんえん2は九州で作ってきた。我々の研究室は半分が留学生で国際色豊か。九州にこだわらず世界中の人々とともに作った。小さな探査機だが留学生たちは国に帰れば宇宙開発をするだろう。それぞれの国でがんばってもらいたい。
世界で仲良くやっていってほしい。

(東京会場へ)

日経サイエンスなかじま:渡戸さんへ。3つの副ペイロードの軌道。はやぶさ2を追いかける似たような軌道をとるのか

渡戸:はやぶさ2は推進系を持っていて軌道を変えていける。
3つの副ペイロードのうちプロキオンをのぞく2つのペイロードは推進系を持たないため放出されたらそのまま慣性で動くため軌道が変わっていく。

NVSかねこ:宇宙に行くものとして難しかったところは

奥山:変わったサッカーボールのような形をしている。回転しながら宇宙を飛んでいく。太陽からの熱入力を一定にして宇宙への表面積を一定にするには球が一番良いが真球では太陽電池を貼れない。0度から40度におさまるよう設計。熱可塑性の強化プラスチックを採用。前例がないため苦労したところはある。JAXAと知恵を絞りつつ解決した。

沢田:わたしはDESPATCHの構造を担当。ロケットに搭載するために振動や耐荷重の条件をクリアしなければならず解析が大変だった。形状がばねのようになっているため振動条件を満たすように中心の棒の材料や位置を調整するのがつらかったなど。
丸い穴はすべて3Dプリンタの構造物と金属をつなぐねじ穴。どこにどう開けるかの決定が大変だった。

日経サイエンスなかじま:奥山先生へ。しんえん1の教訓が生かされていたりするところは

奥山:しんえん1は金星探査機のあかつきとともに打ち上げられ今は行方不明。2つの教訓。深宇宙通信を成功させること、構造が複雑で部品の数が多く設計、製造、品質保証とも大変だった。そこで熱可塑性の強化プラスチックを採用した。ボルトの数を劇的に減らせた。将来的にはさらに減らせるだろう。
バッテリ量や通信機の改良なども。

(相模原会場へ)

フリーランス秋山:渡戸さんへ。深宇宙への相乗りはなかなかないと思うが世界からの反応はあるか
またプロキオンが成功するとGTO静止軌道)から深宇宙への相乗り可能性が上がることへの期待は

渡戸:他国からの問い合わせは残念ながらいまのところない。
GTOについてもわたしの範囲では聞いていない。

種子島へ)

南日本新聞ゆきまつ:しんえん2のアマチュア無線の受信状況について。分離後南米で通信が可能になる可能性があり5時間後には36000■で通信が可能になると聞いたが

奥山:分離の5分後くらいから電波を出し始める。オーストラリアなどの国々では受信可能になるが今のところ受信報告はない。
今しんえん2の電波を日本で受信しようとしている。
いま月軌道へ向かっている最中。

NVSさいとう:奥村さんと沢田さんに。しんえん2には3億年もつという石英ガラスが乗っているという。ARTSAT2はだんだん宇宙放射線などで崩れてくると思うが意見を

奥村:哲学的な質問で難しいが…いずれにしても鹿児島大学の先生が音頭をとって石英のプロジェクトをしてきた。1万年後の人類がしんえん2を見つけて感慨にふけるかもしれない。それは1万年後の人間にまかせたい。

沢田:MEMSメモリにマイクロ加工によって設計図やメンバーの写真を入れている。それは何千年も残るだろう。崩れるところははかないのがよいところだろう。

(東京会場へ)

NVSかねこ:渡戸さんへ。推進系を持つ副ペイロードの苦労は

渡戸:一般的には推進系があると安全性で厳しい網がかかるが問題がないようがんばっていただいた。苦労はプロキオンチームにぜひ。

(相模原会場へ)

赤旗新聞なかむら:プロキオンの分離確認ができるスケジュールについて

渡戸:画像では分離を確認できなかったがいま運用中で受信中。受信によって分離を確認できるだろう。その時点でアナウンスする。

種子島会場へ)

フリーランス大塚:渡戸さんへ。今年から有償の相乗りを始めたが反応や感触は

渡戸:この4月に募集、H-IIAの相乗りと「きぼう」からの放出がある。
H-IIAは7機の応募があった。I/Fできちんと乗るのは4機。調整の結果1機について手続きを進めている。
「きぼう」は3件の応募。契約も結んでいる。有人宇宙システムが仲介してブラジルのキューブサットを3件契約している。すでにJAXAが引き取っている。米国での打ち上げに向けている。
キューブサット10×10×30cmのを2つ。ブラジルとメキシコの衛星。
年内打ち上げで作業を進めている。
早ければ年内に有償の打ち上げで放出があるだろう。

大塚:4月のリリースの段階で試行的とあったが本格的には

渡戸:今後どうするかは今回の募集をもとにこれから考える。

(以上)